HOLLYWOOD TRIO
オルガンに特化してプレイした方がGOLDINGSの個性がより発揮できるのではないかと思った
"UP FOR AIR"
LARRY GOLDINGS(p), DAREK "OLES" OLESZKIEWICZ(b), ADAM CZERWINSKI(ds)
2002年3月 スタジオ録音 (GATS PRODUCTION : GPTS 018)

このCDも前掲の"BIRD ALONE"(JAZZ批評 629.)と一緒に購入した1200円CD。
LARRY GOLDINGSのアルバムを僕はほとんど聴いていないのだけど、探したら1枚だけあった。BILL STEWARTがリーダーとなり、ピアノにKEVIN HAYS、オルガンにこのLARRY GOLDINGSを加えた変則トリオの"INCANDESCENCE"(JAZZ批評 483.)がそれだ。このアルバムではBILL STEWARTの真骨頂とも言うべきシンバリングの妙を堪能できないという、彼らしくないアルバムだったので中古の買取に出してしまって既に手元にはない。
本アルバムではGOLDINGSはオルガンではなくて、全てピアノを弾いている。ベースには前掲のアルバムでも弾いていたDAREK "OLES"。因みに、このアルバムも前掲と同じGATS PRODUCTIONの制作だ。

@"CON ALMA" 
今やスタンダード・ナンバーとなったD. GILLESPIEの書いた曲。極めてオーソドックスな展開で、アドリブでは心地よい4ビートを刻む。ベースの"OLES"はMICHAL TOKAJのアルバムの時とは別人のアプローチを見せている。。
A"PASSAGES" 
GOLDINGSのオリジナル。テーマに反してアドリブは小難しい演奏。なんかすっきりしない。途中で心変わりした抽象画のよう。
B"BALLAD FOR KATE" 
ドラムスのCZERWINSKIの書いた内省的なバラード。ピアノのGOLDINGSは、むしろオルガニストとしての方が名を馳せていると思うが、ここでは美しいピアノを披露している。
C"MR. ELVIN" 
これもCZERWINSKIの書いた曲であるが、多分にELVIN JONESへのトリビュート・チューンであろう。ピアノ〜ベース〜ドラムスとソロがわたってテーマに戻る。このアルバムの中では最もバップ・テイストのある曲。
D"UP FOR AIR" 
GOLDINGSの曲で明るくて軽快な4ビートを刻んで進む。
E"SWEET FANTASY" 
DAREKのオリジナル。タイトルどおりの甘口の演奏だが、GOLDINGSのピアノは煌びやかですっきりした味わいだ。後半部に"OLES"の長めのベース・ソロを挟んでテーマに戻る。
F"PHONE A FRIEND" 
GOLDINGSのピアノ・プレイは、もし、本業がオルガンだとするならば、もう1回オルガンでプレイしているアルバムを聴いてみたいと思った。

GOLDINGSが3曲、CZERWINSKIが2曲、DAREK "OLES"が1曲。それにD. GILLESPIEの曲が1曲という構成になっている。どの曲も7分前後の曲ばかりで、総じて長めの演奏だ。その分、曲数が7曲と少ない。それでもアルバム・トータルでは51分の演奏時間がある。
Aを除けば、どちらかというとすっきりと明るめの演奏スタイルである。GOLDINGSのピアノに違和感はない。オルガンもピアノも同等に弾けるプレイヤーというのも珍しいかもしれない。
端的に言えば、競争相手が少ない分、オルガンに特化してプレイした方がGOLDINGSの個性がより発揮できるのではないかと思った。過去にも、ギターのJOHN SCOFIELDやPETER BERNSTEIN、ドラムスのJACK DEJOHNETTEやBILL STEWARTとのトリオ・アルバムを出しているので、このあたりのアルバムをもう一度聴いてみたいと思った。
というわけで、GOLDINGSがPETER BERNSTEIN(g)、BILL STEWART(ds)とやっている"MOONBIRD"を注文したが、入荷までにはしばらく時間がかかるだろう。   (2009.01.20)

参考サイト : http://www.myspace.com/larrygoldingsmusic



独断的JAZZ批評 530.