ベース・トリオと思えば五つ星だし、
ピアノ・トリオと思えば少し辛口になる
"BASS TRIO"
BREND HEITZLER(b), 
ANDREAS ERCHINGER(p)
BDFIJ / WALTER LANG(p) @ACEGHK, MEINHARD"OBI"JENNE (ds) ABCDGH/ TORSTEN KRILL (ds) EFJK
2003年2月 スタジオ録音 (LAIKA-RECORDS LC 07577)

HMVをぶらついていたらジャズコーナーの店内に流れていたアルバム。"OLEO"で、果たして誰が演奏しているのだろうと疑問に思った。店員にアルバムを教えてもらったが全然知らないプレイヤーだった。アルバムの中にはスタンダード・ナンバーが多いが陳腐な印象はなかった。で、購入した。
ドイツのプレイヤーらしい。ピアノとドラムスにそれぞれ二人を起用し、その組み合わせを替えてトリオのアルバムを作った。ピアノとドラムスが替わっても、それほど大きな演奏スタイルの違いは見つからない。

@"ALL BLUES"
 ベースのイントロが始まると「これは!」と期待感が湧く。そして期待を裏切らないブルージーな演奏となる。
A"ONE NOTE SAMBA" A.C.JOBINの名曲。軽いノリのボサノバ。JにもA.C.JOBINの曲が入っているが、本当にHEITZLERがやりたいと思ってやった曲かどうか?
B"OLEO" もっともモダンな演奏となった、このピアニスト若い頃のCHICK COREAを彷彿とさせるような、流麗でありながらも切れ味の良いピアノを弾く。

C"GEORGIA ON MY MIND" ベースがテーマを弾くが、これがなんとストレートなシングル・トーン!ベースがシングル・トーンで弾くというのは相当勇気があるか、相当の自信がなければ出来ない。普通は装飾音を沢山入れて誤魔化したくなるものだ。まさに、正々堂々とベースを弾いてみた。凄く良いベースの音がしているので、出来れば良いオーディオ装置で聴かれんことを願う。
D"BYE BYE BLACKBIRD" 切れのあるピアノとベースとドラムスの会話。

E"TEENTOWN" JACO PASTORIUSの名曲をアコースティック・ベースで弾いてみたけど、かつてのWETHER REPORTの名演を知るものには多少なりとも違和感がある。
F"MY ONE AND ONLY LOVE" 最初の16小節をピアノで叙情たっぷりに演った後、サビの17小節目からイン・テンポになる。ピアノの乗りも良いし、ベースのソロも良く歌っている。僕の「お気に入り」だ。
G"A NIGHT IN TUNISIA" ミディアム・テンポの意表を突く展開。こういうのも「あり」なんだ。
H"I HEAR A RHAPSODY" テーマ〜アドリブとベースのソロが続く。ブラッシュからスティックに持ち替えると同時にピアノがソロをとる。

I"IN A SENTIMENTAL MOOD" 今度はアルコ弾きだ。でも、やはりアドリブでみせる太い音のピチカートが良い!ピアノとベースのデュオ。
J"CORCOVADO" 息抜き。
K"SO WHAT" テーマが下手上手(へたうま)調で面白い。真面目に聴くと、コケてしまう。アドリブに入るとピアノもビンビン、ガツンガツン来て最高潮に達していく。

L"ALL BLUES" ベース・ソロ。約5分、バリバリ弾きまくる。実に良い音だ!

ほとんどの曲のテーマをベースが奏でるが、それが嫌味にならない。自然体のベースが好ましい。
このアルバム、結構評価が難しい。ベース・トリオと思えば五つ星だし、ピアノ・トリオと思えば少し辛口になる。総合評価という意味では4.5★が妥当だろうか。でも良いアルバムだ。   (2004.02.12)



BREND HEITZLER

独断的JAZZ批評 179.