MADS VINDING
爽快、痛快、愉快!
ジャズって楽しい!
"SIX HANDS THREE MINDS ONE HEART"
CARSTEN DAHL(p), MADS VINDING(b), ALEX RIEL(ds)
1999年6月 ライヴ録音 (STUNT RECORDS STUNT 00052)

DAHL、VINDING、RIEL
ヨーロッパの役者が揃った
COPENHAGEN JAZZHOUSEでの緊迫のライヴ

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宮崎県のジャズ友に紹介してもらったアルバムだ。CARSTEN DAHLがリーダーでないので見落としていた。このアルバム・リーダーはベースのMADS VINDINGだ。
MADS VINDINGといえばDUKE JORDANの"FLIGHT TO DENMARK"(JAZZ批評 48.)を思い出す。当時、25歳のVINDINGはいかにも繊細そうな美青年という姿で写真に記録されていた。このアルバムの録音は、それから26年経った51歳の時の録音だ。VINDINGも良いオヤジになり、図々しさと逞しさを備えた。
最近では、PETER ROSENDALの2002年録音の"LIVE AT COPENHAGEN JAZZHOUSE"(JAZZ批評 162.)と2004年"WONDERING"(JAZZ批評 233.)のアルバムでその勇姿を聴くことが出来る。ともに素晴らしいアルバムだった。そのVINDINGのリーダー・アルバムとあれば、いやが上にも期待感は募る。
ピアノにCARSTEN DAHL、ドラムスに、これも一癖あるベテランのALEX RIELという豪華メンバーだ。今やヨーロッパの第一人者とも言える3人が揃い、COPENHAGEN JAZZHOUSEで繰り広げた白熱のライヴ盤だ。極上のライヴはCD化してもその雰囲気を全然損なうことがないし、何回聴いても聴き飽きることもない。逆に言うと、ライヴ盤というのは極上モノしか聴けないね。

@"I HEAR A RHAPSODY" 中盤からの躍動感が素晴らしい!RIELの切れのあるドラムス・ソロの後、ベースとピアノの8小節交換のインタープレイに思わず「ニヤッ」としてしまう。エンディング・テーマで、更にもう一工夫あって、「いやあ、参ったなあ!」という感じで終わる。いやあ、参った!

A"SALME VED VEJS ENDE" DAHLのオリジナル。良い曲だ!しっとりとした美しさに躍動感のスパイスが効いている。心憎いね!Aから続いてDまで連続で演奏される。
B"KRISTALLEN DEN FINA" 
C"BASS TRANSITION" 
D"DEN BLA ANEMONE" 

E"ALL BLUES" 
アブストラクトなタッチでインタープレイが始まるが、少しずつ、"ALL BLUES"が現れて、一気にテーマへと進み、更には、躍動感漲る4ビートへと猛進する。最後も洒落て、爽快、痛快、愉快!ジャズって楽しい!聴衆の笑い声が聞こえる。

F
"TRIO INTERLUDE" 謂わば、イントロ。FからJまで一気に進む。
G
"BLUE IN GREEN" 
H
"PIANO TRANSITION" 
I
"AUTUMN PRELUDE" 
J
"AUTUMN LEAVES" 階段を上るが如く次第にテンションを上げてきて、ここでクライマックスを迎えて終わる。

K"I CAN'T GET STARTED" 

近年のVINDINGは「少々弾き過ぎ」の嫌いがあるが、DAHLとRIELの二人がガッチリと受け止めているので、「弾き過ぎ」が「弾き過ぎ」に聴こえない。むしろ抑止力が働いているという感じ。
何と言っても、CARSTEN DAHLが素晴らしい!最近の若手ジャズ・ピアノの3羽ガラスといえば、このDAHL、STEFANO BOLLANI、KASPER VILLAUMEと思っているのだが、その期待に見事、応えてくれた!
気分爽快、痛快、愉快!これは極上の白熱ライヴだ!ウ〜ン!COPENHAGEN JAZZHOUSEに行ってみたい!!!
これを「厳選」に入れずに何とする!「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2006.02.09)



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独断的JAZZ批評 322.