KEITH JARRETT
「躍動感」、「緊密感」、「美しさ」に溢れ、心潤し、幸せを呼ぶ2枚
誰もがハッピーになれるはず
"STANDARDS,VOL .1 & VOL .2"
KEITH JARRETT(p), GARY PEACOCK(b), JACK DEJOHNETTE(ds)
1983年1月 スタジオ録音 (ECM POCJ-2004 & ECM 1289 825 015-2)

ピアノ・トリオの原点。
今更ながらに思う、「躍動感」、「緊密感」、「美しさ」

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VOL .1
@"MEANING OF THE BLUES" ピアノのイントロからベースの絡みで始まるオープニング。同時にKEITH、PEACOCK、DEJOHNETTEの3人が繰り広げるJAZZの世界が目の当たりに広がる。
A"ALL THE THINGS YOU ARE" これは、もう最高!躍動感溢れるアップテンポでグイグイと迫ってくる。DEJOHNETTEの素晴らしいブラッシュ・ワークとスティック・ワークが堪能できる。3者の奏でる昂揚感が素晴らしい!
B"IT NEVER ENTERED MY MIND" 
C"THE MASQUERADE IS OVER" 
D"GOD BLESS THE CHILD" 8ビートの曲をアコースティック・ベースでこれほどの演奏をしてしまうPEACOCK っていうのは本当に凄いベーシストだ。むしろ、アコースティックでしか出せない色合いを見事なまでに表現してみせたのが凄い。

VOL .2
@"SO TENDER" 
A"MOON AND SAND" 
こちらはピアノ・トリオの名演。ピアノとベースのデュオの名演はTERJE GEWELTの"HOPE"(JAZZ批評 275.)をお聴き頂きたい。
B"IN LOVE IN VAIN" 
蛙を潰したようなKEITHの唸り声も相当、気合が入っている。
C"NEVER LET ME GO" 
D"IF I SHOULD LOSE YOU" 
E"I FALL IN LOVE TOO EASILY" 
JAZZ批評 318.で、この曲を代表する名演として、このアルバムの、この演奏を紹介しようと思ったら、この2枚のアルバムが未掲載だったことが判明した。これは僕の大きなチョンボだ。

どの曲をとっても超一級品。恐らく、ここで演奏された11の曲はそれぞれが、その曲の名演として刻まれることだろう。
これほどのピアノ・トリオはそうそうあるものではない。「幻だ」、「レアモノだ」という前に、この素晴らしいジャズをとことん聴いて欲しい。いつ聴いても、何回聴いても、聴き飽きることがない。ここにはジャズの真髄が凝縮されて一杯に詰まっている。
「躍動感」、「緊密感」、「美しさ」に溢れ、心潤し、幸せを呼ぶ2枚。誰もがハッピーになれるはず。
このアルバムを5つ★にすると、ほかのアルバムに5つ星が点けにくくなる。心情的には6つ★が相応しいと思う。それだけ飛び抜けたアルバムと言えるでしょう。
僕の中では、とうの昔に「厳選」入りしていたアルバムだったのだが、前述したようにひょんなことで未掲載だったことが分かった。時同じくして「幻だ」、「レアだ」、と世の中かまびすしいので、タイミング的には丁度良かったかなあと思っている。
今回はVOL .1とVOL .2を同時に掲載したが、どちらも甲乙点け難い。もしも、予算の関係でどちらか1枚というならば、VOL .2をお奨めしたい。どちらを選んだとしても問題はないと思うが、8ビートが好きならば、"GOD BLESS THE CHILD"の入っているVOL .1を選べば良いと思う。
ジャズ史に永遠に刻まれるピアノ・トリオの傑作として、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2006.02.04)



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独断的JAZZ批評 321.