DUKE JORDAN
ヨーロッパ・ジャズのハシリ

デューク・ジョーダンはメジャーになりすぎた
マイナーで寡作の方がよく似合う
DUKE JORDAN "FLIGHT TO DENMARK"
DUKE JORDAN(p), MADS VINDING(b), ED THINGPEN(ds) 1973年11、12月録音

デューク・ジョーダンがヨーロッパに渡り1973年に録音したこのレコードは、ヨーロッパ・ジャズが広く日本でも脚光を浴びるきっかけを作ったピアノ・トリオの名盤である。
ジョーダンのピアノは「ブルージー」というのとはまた違った味わいがあるピアノで、哀愁を帯びた旋律がいかにも日本人受けするというタイプだ。
特に、オリジナル曲の "NO PROBLEM" や "JORDU" はテーマそのものが哀愁を感じさせ、日本人に広く愛されている曲のひとつだろう。

当時、アメリカのプレイヤーがヨーロッパに渡り、異文化に接っするうちに今までと違った新しい匂いのするジャズ演奏を数多く録音している。このジョーダンのほかに、ケニー・ドリュー、フィル・ウッズなどもそういうプレイヤーだ。このジョーダンなどは、むしろ、ヨーロッパに渡った後の演奏の方が評価されているくらいだ。

確かに、当時受けた印象は極めて刺激的で、今までになかった新鮮さと洗練されたヨーロッパの匂いを感じたものだった。
しかしながら、初めての驚きも毎回、このパターンだと流石に飽きるし、辛いものがある。沢山の引出しを持っているというよりは自分のスタイルに磨きを掛けていくタイプ---無骨者タイプ---なので、そういう意味で少しメジャーになりすぎたきらいがある。マイナーな姿の方が似合っていると僕は思う。寡作であった方がもっと評価を高めただろう。

ともあれ、ヨーロッパ・ジャズを広めた功績は賞賛に価するし、ピアノ・トリオの名盤として推挙することに躊躇はない。  (2002.01.29.)


独断的JAZZ批評 48.