PETER ROSENDAL
それに比して、今回は少し小さくまとまった感じがするのだが、その分、色香と色彩に富んでいる
"WONDERING"
PETER ROSENDAL(p), MADS VINDING(b), MORTEN LUND(ds)
2004年4月 スタジオ録音 (SOUNDHILLS SSCD 3011) 

PETERE ROSENDALの最初のリーダー・アルバム"LIVE AT COPENHAGEN JAZZHOUSE"(JAZZ批評 162.)には正直ぶっ飛んだ!これが初のリーダー・アルバムとは思えない円熟さと巧みさを見せつけてくれた。それに加えて、お洒落で小粋だった。今回と同じサイドメンのVINDINGもLUNDも素晴らしいサポートを披露していた。ライヴならではのノリの良さも加えておこう。
そのROSENDALのほぼ1年ぶりの2枚目のリーダー・アルバムである。いやが上にもその期待感は高まる。今回は前回とは違ってスタジオ録音だ。
EとHのスタンダード・ナンバーを除く全ての曲がROSENDALのオリジナル。
このアルバムをHMVの店頭で見つけた時は嬉しかった。先ずは、何曲か試聴して、即、購入。躊躇はいらなかった。

@"ALTANEN" カリプソ風なメロディライン。VINDINGのベースが大いに歌う。
A"NATSVAERMEREN"
 32小節の歌もの。ミディアム・ファーストの快い4ビートを刻んでいく。ドラムスとの8小節交換を挟んでテーマに戻る。
B"BALLADE" ベースのイントロから始まる美しくも印象的なバラード。これぞ北欧系バラードの典型か?美しく爽やかな印象に品の良さを感じる。「甘い」というのとは微妙に違うのだ。この加減が良いね。「心安らぐ」と言ってもいいかも知れない。よく歌うベース・ソロも聴きものだ。

C"SWEETS FOR GEORGIA" ひょうきんな印象のオリジナル。
D"WONDERING" このアルバムのタイトル曲。Bと同じく牧歌的な美しい曲で心が洗われる。
E"MOON RIVER" ご存知のスタンダード・ナンバー。下手な小細工せずに正々堂々と弾いてみましたと。好感が持てる。
F"HU HEJ VILDE DYR" 全体を通しての印象としても若干、ドラムスが控えめという印象。こういうテーマにはもっとハード・ドライブでも良かったかも。

G"FINE FORNEMMELSER" クラッシクにもありそうなワルツ。
H"IT COULD HAPPEN TO YOU" 僕はこの曲を聴くといつもJAZZ批評 49.のKENNY DREWの演奏を思い出す。それほどこの曲におけるDREWの演奏は印象的だった。今もCDを引っ張り出して聴き比べしている。ヨーロッパに渡り、最強のサポートを得てブローとも言えるアグレッシブなDREWの演奏は今もって新鮮だ。一方、このアルバムの演奏は適度な快いスウィング感とドライブ感に溢れている。本当にお洒落で小粋なのだ。
I"GODNATSANG" メルヘンチックな1曲をどうぞ。

今回のアルバムも前作と比べて甲乙つけ難い。違うのはライヴとスタジオのノリの違いといっていいだろうか。前作の方が初リーダー・アルバムということとライヴという環境が相俟って、怖いもの知らずの逞しさや豪胆さがあった。兎に角、ベースのVINDINGが煽っているのだ。その煽られたことがいい結果となって表れていると思う。
それに比して、今回は少し小さくまとまった感じがするのだが、その分、色香と色彩に富んでいる。なかなか魅力的な出来映えだと思う。特に
BDHがお奨めだ。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2004.11.27)



独断的JAZZ批評 233.