GERMAN KUCICH
「幻の名盤に名盤なし」は今回も払拭できなかった!
"Y DESPUES・・・QUE?"
GERMAN KUCICH(p), CARLOS IBANEZ(b), JUANMA BARROSO(ds)
2001年6月 スタジオ録音 (INGO MUSICA)
「幻の名盤に名盤なし」と思っていたのだが、
果たして?
* * * * * *
これを「魅惑の脚ジャケ」というのだそうだ。このアルバム、発売して直ぐにレコード会社が潰れて、入手が難しいとされていたらしい。今回、復刻ということで予約を入れてゲット。
いわゆる「幻の名盤」とか「レアモノ」には全く興味はないのだが、復刻により通常価格でゲットできるというので購入してみた。
最近は「幻」とか「レアモノ」とかで売るアルバムの多いこと!つい先日もSTEVE
KUHN "1960"(JAZZ批評 303.)で騙されたばかりだ。
「脚ジャケ」ついでに言うと、SONNY CLARK "COOL STRUTTIN'"(JAZZ批評 105.)の「脚ジャケ」はもっと雰囲気があった。「脚」の後方に映っている「オヤジのトボトボ歩き」がいかにもその時代とその世相を伝えていて良いジャケットだった。
「美脚」で売るのもいいが、兎に角、アルバムは中身!中身が良ければ何でも良しなのだが・・・。
ということで、早速、CDをトレイに載せてみた。
結論から先に言おう!、このアルバム、積極的にはお奨めしない。
推奨しない理由としては、
1.KUCICHのオリジナル(A、C、D、F、G、I)はどれもテーマが面白くない。ピアノのプレイも単調でメリハリがない。硬派なんだか軟派なんだか良く分からない。硬派ならもっとアグレッシブでガッツのある演奏をして欲しいし、軟派ならもっと潤いや艶っぽさがなくてはならない。
2.アンプの増幅に「おんぶに抱っこ」のモゴモゴ・ベース。
3.配慮が働きすぎたと言うべきか、腰が引けていると言うべきか、平凡で鋭さのないドラムス。
4.「躍動感」、「緊密感」、「美しさ」、どれをとっても満足出来ない。
というのが、その理由。
@"BEMSHA SWING"
A"Y DESPUES QUE"
B"GIANT STEPS"
C"DUAS LUAS"
D"NEGRA Y PUNTO"
E"I SHOULD CARE"
F"UNA Y OTRA VEZ"
G"LIGHT RHYTHM"
H"I LOVE YOU PORGY"
I"TRIO BLUES"
なんで、この程度のアルバムで大騒ぎするのか?希少性だけでこれほど話題になってしまうほど、今のジャズ界に魅力がないのか?僕もその騒ぎに乗ってしまった口だけど、後悔、後悔!そして、懺悔。「魅惑の脚ジャケ」に目が眩んだわけでもあるまいに・・・。「幻の名盤に名盤なし」は今回も払拭できなかった。
硬派のジャズなら同じスペイン発のMARTI VENTURA "PAS DEL TEMPS"(JAZZ批評 287.)をお奨めしたい。 (2006.02.02)