語り尽くされた名盤だが、
改めて聴き直すのも耳の保養になる
"COOL STRUTTIN'"
ART FARMER(tp), JAKIE McCLEAN(as), SONNY CLARK(p), PAUL CHAMBERS(b), PHILLY JOE JONES(ds) 1958年スタジオ録音 (BLUE NOTE 7243 4 95327 2 4)

このところ1990年代以降のアルバムを聴く機会が多かった。こういう状態が続くと、また昔のCDを引っ張り出して聴きたくなるものだ。リマスター盤がキャンペーン価格で売り出されたのを機会に購入した。まさに「温故知新」というヤツだ。

というわけで、今回は「泣く子も黙る」ハード・バップの定番中の定番。ジャズ喫茶全盛時代には、かからない日がないと思われるほど頻繁にかかった超人気アナログ・レコード"COOL STRUTTIN'"の登場である。
名盤の宝庫、1950年代後半の録音。この時期、SONNY CLARKにはLEE MORGAN(tp)との共演盤"CANDY"(JAZZ批評 64.)という傑作もある。どちらもこの時代の代表作。良かかりし時代の良かかりしJAZZといえる。

ジャケット・デザインも秀逸だ。一目で、その時代の世相やら雰囲気が伝わってくる。気取って歩く女の脚とその後方に見える「オヤジ」のトボトボ歩き。このジャケットを見ながら"COOL STRUTTIN'"を聴けば時代の世相や雰囲気までもが脳裏にイメージできる。

@タイトル曲"COOL STRUTTIN'"。当時のハード・バップを代表するFのブルース。ファンキーな雰囲気と泥臭いブルースに人気があった。トランペットとアルトサックスの2管編成というのもファンキーな味わいを強調している。
A"BLUE MINOR"。ブルージーではあるけどAA'BA'形式の32小節の歌もの。特に、サビの8小節(B)の哀愁を帯びたメロディーが印象的だ。このテーマにおける McCLEAN(as)とFARMER(tp)そして、CLARK(p)のアドリブは水を得た魚のよう。このCDのベスト・トラックだ。
B"SIPPIN' AT BLUES"。MILES DAVISの書いた曲。ピアノ→アルト・サックス→トランペット→ベースと順にソロをとる。
C"DEEP NIGHT"。CLARKのアドリブがご機嫌。いつも通りに右手1本のアドリブに左手のバッキングをほんの少し加えるだけ。ホッと出来るトラック。
更に、今回のリマスターでは2曲が追加になって全6曲。
D"ROYAL FLUSH"、E"LOVER"。

何と言っても@とAの2曲がこのCDのベストと言って良いだろう。
語り尽くされた名盤だが、改めて聴き直すのも耳の保養になる。

(余談だが、SONNY CLARKは前述のように、この時期、LEE MORGANと"CANDY"というアルバムを出しているが、改めて、聴きなおしてみると"CANDY"の素晴らしさにも感激を覚える。このアルバムはLEE MORGANのリーダー・アルバムとなっているが、当時、弱冠19歳のトランペッターの凄さを思い知る!「天才」の名に相応しい。
これについてはそのページに追記した)  (2002.10.22)


SONNY CLARK

独断的JAZZ批評 105.