GINMANBLACHMANDAHL
図書館でジャズ!
そういうシチュエーションに遠慮したのか、録音が悪いのか、いつもの切れ味がない
"THE LIBRARY BAR CONCERTS"
CARSTEN DAHL(p), LENNART GINMAN(b), THOMAS BLACHMAN(ds)
2003年9月 ライヴ録音 (VERVE 9807424) 

このアルバムはかつて紹介した"GINMANBLACHMANDAHL!"(JAZZ批評 221.)と録音の時期をほぼ同じにしている。先のアルバムが2003年の1月と2004年の1月に録音されているので、このアルバムはその中間で録音されていることになる。
ABHが両アルバムに共通して演奏されている曲目だ。ライヴにおけるシチュエーションの違いはあるが、やろうとしている音楽に共通性がある。このことは発売元のレコード会社の制作姿勢にも影響を受けているのだろう。

因みに、"MOON WATER"(JAZZ批評 246.)はSTUNT REDORDSで、ミュージシャンのやりたい音楽を好きなようにやらせたという感じ。STUNT RECORDSには、ほかにもSTEFANO BOLLANIやKASPER VILLAUMEなど僕のお気に入りアルバムが沢山ある。
"MINOR MEETING"(JAZZ批評 261.)と"BLUE TRAIN"(JAZZ批評 267.)はMARSHMALLOW-RECORDSで4ビート・ジャズをメインにスタンダード・ナンバーを新しい感覚で演奏してみせた。真面目なレコード制作を感じさせる日本のレコード会社だ。
そして、このアルバムと前述のJAZZ批評 221.のレコード会社はVERVEでスタンダード中心に一癖もふた癖もあるライヴ演奏となった。あたかも自由奔放と傍若無人が紙一重で存在しているようだ。
いずれもアルバム毎にDAHLを除くサイド・メンが少しずつ違う組み合わせになっている。どれが好きかは皆さんの判断に任せたいと思うが、このアルバムが一番「らしくない」と僕は思う。演奏にいつもの「切れ」がないのだ。このアルバム、タイトルに"THE LIBRARY BAR CONCERTS"とあるように、そして、ジャケットにある写真を見る限り図書館での演奏のようだ。図書館でジャズ!そういうシチュエーションに遠慮したのか、録音が悪いのか、いつもの切れ味がない。何となくひねくれた感じだ。率直に言って、面白くないし、DAHLの作品とは思えない駄作だ。このアルバムなら、"GINMANBLACHMANDAHL!"(JAZZ批評 221.)の方がズット良いと思う。

@"ESTHER #1" 
A"CARAVAN" 
B"BLUE'N GREEN" 
C"NO MATTERS" 
D"AUTUMN LEAVES" 
E"THE SHAPE OF JAZZ" 
F"ESTHER #2"
G"MEMORIES"
H"MILESTONES"
I"HELSINKI"
J"PEARL RIVER DELTA"
K"AFTER DARK"

CARSTEN DAHLの日本ツアーが9月9日から始まる。近々、僕もこのコンサートに行くべくチケットをゲットしたが、このアルバムと同じメンバーだけに少しの不安を感じた。STUNT RECORDSのノリでいくかMARSHMALLOW-RECORDSのノリで行くのか、そのどちらかにして欲しいというのが偽らざる心境だ。   (2005.09.08)


独断的JAZZ批評 293.