JAN LUNDGREN
あえて全曲をオリジナルで構成した制作者に拍手!
恐らく、商売の打算が働いたら作ることは難しいだろう
"FOR LISTENERS ONLY"
JAN LUNDGREN(p), MATTIAS SVENSSON(b), RASMUS KIHLBERG(ds)
2000年12月 スタジオ録音 (SITTEL SITCD 9271) 

今、日本でも人気のJAN LUNDGRENの全編オリジナルの意欲的作品。確かに、この人のアルバムはどれをとっても平均点以上でこれといった欠点がなくて、安心して聴いていられる。
今回のアルバムを構成するプレイヤーは今まで紹介してきたアルバム(JAZZ批評 152.185.204.)とはメンバーが異なる。ベースはJESPER LUNDGAARD→MATTIAS SVENSSONへ、ドラムスはALEX RIEL→RASMUS KIHLBERGへと替わっている。
JAN LUNDGRENのピアノ・トリオには以上の二つのタイプが多いが、ドラムスにMORTEN LUNDの場合もある。どちらが良いかはほとんど好みの問題だろう。
更には、こういうアルバムは作る側も勇気がいると思う。誰もが好むスタンダード・ナンバーを入れれば保険は効くだろう。あえて全曲をオリジナルで構成した制作者に拍手!恐らく、商売の打算が働いたら作ることは難しいだろう。
聴く側もスタンダード・ナンバーがないアルバムというのはジックリと時間を掛けて聴きたいものだ。そのオリジナルを理解するまでにある程度の時間を要するからだ。僕はこのアルバムを1ヶ月以上に渡ってジックリと聴き込んできた。

@"DO IT YOURSELF" 躍動する4ビートを堪能いただきたい。
A"THE EXPATRIATE" 
B"WALTZ FOR PHILLIP" 
C"THE TIME IS NOW" アップ・テンポの軽快な曲。ベースが逞しくビートを刻み、ピアノが軽やかに歌う。
D"A TOUCH OF YOU" ボサノバ調で明るく楽しく・・・・と。
E"WALTZ FOR ADLON" サクサクとブラッシュがワルツを刻む。アドリブからスティックに持ち替える。
F"BELGIAN BLUES" ブルース臭いブルース。こういう曲を作り、こういう曲をこともなくブル-ジーに演奏してしまう北欧のピアニストは珍しいのでは?!エンディングが素敵だ。
G"TIME TO LEAVE AGAIN" ボサノバ調。
H"AVENUE DE WAGRAM" しっとり系バラードをピアノ・ソロで。

オール・ラウンドなLUNDGRENの魅力を隙間なくみせたアルバムだと思う。もう、これは個人的見解であるが、僕としてはJESPER LUNDGAARD、ALEX RIELのトリオの方が好みだ。どちらのユニットも実力者揃いだと思うが、LUNDGAARDのベースに味がある。良く歌うといってもいいだろうし、抑揚が豊かといってもいいだろう。
かと言って、MATTIAS SVENSSONのベースに味がないと言ってるわけではないが、少し無機的であり、抑制的であろうか。この微妙な差は個人的な好みの問題なのでこれ以上は表現しにくいのではあるが・・・。   (2005.01.10)



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独断的JAZZ批評 242.