KENNY BARRON TRIO "THE MOMENT"
KENNY BARRON(p),RUFUS REID(b),VICTOR LEWIS(ds) 1991年8月録音
この1ヶ月、僕は
JAZZ批評 16.と
22.に既掲載のバロンの2枚のCDに痺れっぱなしだった。もとはといえば今日紹介するこのCDを探していたのだが"HMV"にも、"VIRGIN"にも置いてなくて代替として調達したのが既掲載の2枚という次第である。
3週間かけてやっと探し当てたこのCDは寺島靖国氏の「JAZZ最高の楽しみ方」にも絶賛されている1枚である。(一度探してなかった渋谷のHMVに置いてあった)
2曲目のスティング作の"FRAGILE" はこの上なく、切ないほどに美しい!原曲の美しさもさることながら、その上にのるトリオ演奏のアドリブは言葉に言い表せない。ただただ、聴いてもらうしか方法がない。
3曲目のバロン・オリジナル "SILENT RAIN" はピアノ・ソロ。この曲といい、6曲目の
"TEAR DROP" といい、バロンの作になるバラードは曲自体が美しい。
4曲目 "I'M CONFESSIN' " 、9曲目"HOW DEEP IS THE OCEAN"
のミディアムテンポの4ビートも快調な演奏だし、8曲目のバラードも美しい。8曲目の
"SOUL EYES" で見せるルーファス・リードのアルコ弾きのベースソロにも耳を傾けて欲しい。出来れば、重低音を再現できるオーディオ装置があれば尚のこと最高だ。
欠点を敢えて挙げれば、アップテンポの1、5曲目でドラムスが少しバタついて余裕がなくなることと、ベースが左の指をスライドさせる弾き方が鼻(耳)につくことかな。
"FRAGILE"のみならず "TEAR DROP" と "SOUL EYES"
を加えた3曲はバラード好きには堪らない演奏だと思う。勿論、バラードといっても単に美しいだけでなく、緊迫感と躍動感に満ち溢れていることは言うまでもない。
いずれにしても、ここで紹介したBARRONの3枚のCDはそれぞれの方向性やコンセプトが異なっており、どれをとっても甲乙つけがたい作品である。 (2001.08.28.)
.