3者がお互いに刺激し合い、
各々の潜在能力が遺憾なく発揮された1枚
トリオの相乗効果といってもいいだろう
"PAGE TWO"
PETER BEETS(p), LARRY GRENADIER(b), WILLIE JONES V(ds)
2002年スタジオ録音(CRISS 1237 CD)

PETER BEETS。NEW YORK TRIOのデビュー盤(JAZZ批評 63.)ではアイデンティティと次回作への期待感を持たせる良い演奏を披露した。今度はベースがGRENADIERに替わっている。これだけで期待感は一気に湧き上がってくる。

このGRENADIERというベーシストはオリジナルグループとしてはBRAD MEHLDAUと一緒にやっている。最近はAKIKO GRACE(JAZZ批評 101.)や山中千尋(JAZZ批評 113.)のトリオに参加して、いずれも、素晴らしい作品に仕上げた実績がある。今や、押しも押されぬ名ベーシストと言えるだろう。強靭なピチカートから生まれるドライブ感が凄い!これこそベースの原点。
特に、6曲目の
"SO WHAT"が凄い。この1曲のために購入しても損はないと思う。でも、安心して!他の曲も十二分に素晴らしいから。

GRENADIERの参加によりBEETSの潜在能力が100%開花したという感じ。併せて、ドラムスのJONES Vも刺激されて素晴らしいドラミングを披露している。これぞ、トリオの相乗効果。

@"THE GROOVE MERCHANT" 5/4拍子。変拍子を違和感なく陽気に演奏。
A"PARADOX" しっかりしたベースラインの上でピアノが跳ねる、ドラムが踊る。
B"FOR SIMON" BEETSが甥っ子のために書いたオリジナル。ミディアム・テンポのノリの良い曲。JONESの歌うかのようなドラミングが印象的。

C"WHITHOUT A SONG" しっとりとバラード。
D"IT HAS HAPPENED" BEETSオリジナルのワルツ曲。センシティブで軽快なブラッシュワークがご機嫌。ピアノも粒立ちの良い音色。力強くビート感溢れるベースのソロを経てテーマに戻る。

E"SO WHAT/IMPRESSIONS" テーマはブラッシュ。アドリブになると同時にスティックに持ち替えて超速のフォービートを絶妙のシンバリングとドラミングで引っ張る。更に、このときのGRENADIERのベースが凄い。唸りを上げているのだ。3人が渾然一体となって怒涛の演奏を繰り広げる。BEETSの潜在能力が100%引っ張り出された瞬間でもある。何回も繰り返し聴きたくなる!

F"CHELSEA BRIDGE/UPPER MANHATTAN MEDICAL GROUP" 名曲を華美に溺れることなくシンプルな美しさで応える。途中から曲が変わりスウィング感満載のアップテンポになって、また元に戻る。
G"IN A HAZY MOOD" ボサノバ調で小粋に。
H"NIGHT MIST BLUES" ブルース・フィーリグたっぷりに歌う。

3者がお互いに刺激し合い、各々の潜在能力が遺憾なく発揮された1枚。トリオの相乗効果といってもいいだろう。
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加するのに躊躇はいらない。  (2003.05.11)



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PETER BEETS

独断的JAZZ批評 133.