実験的な意味合いが強い
これは聴く側に相当の忍耐と苦痛を強いることもしばしばあることだ
"COMMON DIFFERECES"
MARK AANDERUD(p), AGUSTIN BERNAL(b), GABRIEL PUENTES(ds)
2001年〜2002年スタジオ録音(agave records 01)

MARK AANDERUDの大傑作"trio '02"(JAZZ批評 126.)から50日後のスタジオ録音。メンバーはがらりと替わった。レコーディングもAANDERUDの祖国、mexico cityで行われている。

このCDはdisk union新宿JAZZ館からのメールによって知った。前作"trio '02"の素晴らしさに痺れていたから、この新譜(輸入盤)をあわてて買いに行った次第だ。だから、試聴もしていない。結果はいかに?

ウ〜ン、これは前回の作品とだいぶ趣が違うぞ。前回の美しく、リリカルでありながらも躍動感を擁した演奏は影を潜め、どちらかという実験的な色彩が強い。同時に、3者間のインタープレイ重視の即興的演奏姿勢がみえる。

@"HORCHATA" 3者のスローなインタープレイで始まり、徐々にイン・テンポになって行き4ビートを刻む。この手の演奏はやっている方は楽しいが聴くのは今ひとつ。
A"COMMON DIFFERNCES" このピアニストは音の一つ一つが綺麗。洗練された演奏。
B"SNIK SNAK SNORUM" フリーな3者の絡み。近年のKEITH JARRETTの影響を色濃く感じる。前半は冗漫だが、後半のテンションの高まりは凄い。10分の長尺もの。

C"SOLAMENTE UNO AL MES" これもフリーでスタートし終わりまで。わけ分からん。
D"PINA" ドラムス以下3人のご愛嬌。疲れる!
E"NO SE BLUES" このブルースはいいぞ!多分、3人がしかめっ面を解いて楽しくスウィングしているのだと思う。
F"I GOT A BATH" こういうパターンもほどほどにしないと本当に疲れるね。

G"MELON DE AGUA" フリー・テンポからイン・テンポに入って、ドライブ感のある4ビートへ。
H"RETRATO" ボサノバ調の哀愁を帯びたいい曲だ。
I"SOFTLY" このタイトルだけでは分からないが、実は"SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE"が正しい。アレンジしまくっているので「朝日のようなさわやかさ」とは裏腹のグルーヴィな演奏になっている。
J"GUANABANA" フリー・テンポの絡み合い。

日ごろから構想を練って、やってみたいと思っていたことを実現したという印象が強い。実験的な意味合いが強い。これは聴く側に相当の忍耐と苦痛を強いることもしばしばあることだ。そういう意味では辛口にならざるを得ない。まっ、もし試聴できたなら絶対買わない1枚だね。
だからといって、AANDERUDの価値が落ちたわけではない。  (20003.05.18)


MARK AANDERUD

独断的JAZZ批評 134.