はからずもヨーロッパ・ジャズの
質の高さを証明した1枚。
今、ヨーロッパが熱い。
"TRIANGULAR EXPRESSIONS"
ZSOLT KALTENECKER(p), JOZSEF HORVATH BARCZA(b), ANDRAS MOHAY(ds)
2002年スタジオ録音(KCG HCG 007)

このCDを購入する際に試聴した他のCDは
@NEW YORK TRIO(BILL CHARLAP)「過ぎし夏の思い出」
ACHRIS MINH DOKY "CINEMATIQUE"

@はJAZZ批評 30.の第2弾。残念ながら前作の域を超えていない。タイトル曲はいい曲なんだけどなあ・・・。ビーナス・レコードお得意の女性のヌード・ジャケット。いい加減に卒業したら。
Aはタイトル通りの映画音楽集。ベーシストのリーダー・アルバム。"GOD FATHER" "GOLDFINGER" 等のお馴染みの曲を演奏している。買うほどのものではないか・・・。

ということで、今回紹介するのはハンガリーのピアノ・トリオ。2曲目の WAYNE SHORTER 作の "YES AND NO"を試聴して決まり!
この曲では KEITH JARRETT ばりの長いピアノのイントロの後にテーマが始まるが、意表をつくテンポ・ダウンやテンポ・アップが織り込まれている。アドリブはドライブ感のあるアップ・テンポ。最近、JAZZ批評 66.の JOERG REITER や JAZZ批評 81.の ESBJORN SVENSSON のように、ヨーロッパのピアニストの演奏からは強烈なドライブ感のほとばしりを感ずる。

3曲目にSTING の "A THOUSAND YEARS" が入っている。名曲 "FRAGILE" を彷彿とさせる哀愁を帯びた旋律と、メジャー・コードとマイナー・コードの使い分けが印象的。
6曲目が KALTENECKER の手による美しいオリジナル曲。アルバムにはオリジナル曲が半分の5曲入っているが、どの曲も作曲家としての非凡さを感じさせる。
7曲目の "ONE FINGER SNAP" はHERBIE HANCOCK の曲。軽快なドラミングに乗ってベースが4ビートを刻み、その上をピアノが踊る。
8曲目はテーマが粋だ。ミディアム・テンポのスウィング感溢れる演奏が楽しい。聴いているものをご機嫌にさせてくれる1曲。
最後の曲が BUD POWELL の"TEMPUS FUGIT"。パワー溢れる力強い演奏で最後を締めくくっている。ノリノリの1曲!

全10曲、どの曲も甲乙つけ難い素晴らしさ。ご機嫌にさせてくれる1枚だ。
はからずもヨーロッパ・ジャズの質の高さを証明した1枚。今、ヨーロッパが熱い。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。  (2002.07.26.)



ZSOLT KALTENECKER

独断的JAZZ批評 84.