KEITH JARRETT の影響がそこかしこに見えるが
今後の可能性を期待させてくれるプレイヤーだ
"E.S.T. LIVE"
ESBJORN SVENSSON(p), DAN BERGLUND(b), MAGNUS OSTROM(ds)
1995年ライヴ録音(11曲目のみ1999年ライヴ録音)(DICT-24018)

HMV にショッピングに行った際に店頭の PIANO・TRIO 試聴コーナーに並んでいたのが、この @"E.S.T. LIVE" と AROLAND HANNA "MILANO, PARIS, NEW YORK" と BALAN BROADBENT "YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC" の3枚。
Aはベースが GOERGE MRAZ だったので少し心が動いたが、暫く試聴した上で止めた。それとジャケットデザインに「あざとさ」が見え隠れして嫌いだ。ジャケットに女性を使えば中年は転ぶとでも思っているのか!「如何にもビーナス・レコード!」と言えばそれまでだけど・・・。
Bのベースも BRIAN BROMBERG で魅力的だが、同様に暫く試聴して止めた。ピアニストを知らないのと価格が\2857は如何にも高い!(ハリー・ポッターのDVD2枚組みが買えてしまう!)慌てて今買うこともないと思った。

結局、このCDを購入した。
勿論、このCDも試聴してから購入した。全編試聴しているわけには行かないので最初のさわりくらいをちょっと聴く程度になってしまう。このCD、最初と最後は「イケル」けど、真中の何曲かはいただけない。色々とお試し状態なのだ。そういう意味で、やれることは何でもやってみたという感じで、アルバムとしての統一感はない。

1曲目の美しいスローの曲 "SAY HELLO TO MR.D(TO MR.S)"、超速4ビートの2曲目 "THE RUBE THING"、同じく超速の10曲目 "MR.& MRS.HANDKERCHIEF" 、それと最後の'99年モンタルー・ジャズ・フェスティバルのライヴ "DODGE THE DODO" がお気に入りだ。

2と10曲目のアップテンポの4ビートではベースのウォーキングが唸りをあげ、ドライブ感と緊張感がある。これだけの演奏をしているのに他の曲では遊んでいるような気を抜いた演奏があるのがいけない。もったいないと思う。
最後の曲は如何にも白人でないとできない音楽かなと思ってしまう。ピアノは弦を押さえて打楽器的にリズムを刻み、ブラッシュ・ワークの中をベースのアルコが空間を切り裂く・・・・。その後に訪れる美しいピアノの旋律。

KEITH JARRETT の影響はそこかしこに見える。未だ型に嵌っていない分、色々チャレンジしているが、その分まとまりがないのも事実。しかしながら、今後の可能性を期待させてくれるプレヤーでもある。   (2002.07.06)


ESBJORN SVENSSON

独断的JAZZ批評 81.