兎に角、5曲目の"MY FUNNY VALENTINE"が絶品!
ビル・スチュワートが刻む4ビートはそれだけで
ウキウキしてくるのだ。
NEW YORK TRIO "BLEUS IN THE NIGHT"
BILL CHARLAP(p),JAY LEONHART(b),BILL STEWART(ds), 2001年6月録音
僕はこのCDをHMVの視聴で聴いて、躊躇なく購入を決めた。1曲目のタイトル曲
"BLUES IN THE NIGHT" のブルース・フィーリングの素晴らしさもさることながら、CDの帯に書かれた寺島靖国氏の「今回もベースがゴリゴリとしゃしゃり出て、ブラッシュもサクサクはしゃいだりして、音のうれしさ、たのしさが満開だ。そのリズム・セクションの間を縫うようにしてチャーラップのピアノが嬉しげに乱舞してゆく模様。・・・・・」という文章が背中を強く押したことは間違いない。
まさにその通りに演奏は進んでいった。
録音も良い。ブラッシュ・ワークが本当にサクサクと小気味良く聞こえるのだ。
僕には、このトリオのメンバーで知っているのはドラムスのビル・スチュワートだけで、ピアノのチャーラップもベースのレオンハートも聞いたことがない。
新たな1ページに加えておかなければ・・・。
2曲目の「一晩中踊れたら」は聞いてみると「あ〜っ、この曲か!」と誰しも知っている曲。軽快にスィングしまくるご機嫌な1曲である。
5曲目の "MY FUNNY VALENTINE" はいきなり4ビートで始まる。ベースとドラムスのコンビネーションがとても良い。特に、スチュワートの4ビートのシンバリングはとてもいい音がしている。ミディアムテンポの4ビートが実に心地よいのだ。これだけでもう自然に体が揺れてくるのだ。こういう 解釈の"MY FUNNY VALENTINE" は初めて聴くけど、なかなかなものだ。この1曲だけでも十分にこのCDを買う価値があると思う。僕はこの曲で、ビル・スチュワートのドラムマーとしての素晴らしさを再認識した。それほど素晴らしい4ビートである。
この後、曲は "TENDERLY" ,"EMBRACEBLE YOU" と、おなじみのスタンダード・ナンバーが続き、聴く者を飽きさせない。
最後の曲が "DON'T EXPLAIN"。この曲は、JAZZ批評 11.で紹介したWYNTON KELLY の名演があるが、ここでの演奏はベースを中心に聴くと良いかもしれない。
このCDはオーディオ・ファンにもお勧めできるジャズの楽しさを堪能させてくれる1枚である。中にはこういう5つ星のCDがあっても良いではないか!「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。 (2001.10.06.)
BILL CHARLAP