独断的JAZZ批評 962.

YARON HERMAN
アルバム全体を俯瞰すると見えてくる
YARON'S MAGIC !
"EVERYDAY"
YARON HERMAN(p, vocals on L),
ZIV RAVITZ(ds, percussions, vocals on A), JEAN-PIERRE TAIEB(vocals on L), HELGI JONSSON(vocals on G)
2015年9月リリース スタジオ録音 (BLUE NOTE : LC 00133 472074-3)

微妙だ。
ピアノ・トリオではないし、ピアノ・ソロでもない。だから、デュオ・アルバムってことになるのだろうけど、その相手がドラムス(パーカッション)。この編成のアルバムとしてはBRAD MEHLDAUの"TAMING THE DRAGON"(JAZZ批評 855.)が記憶に新しい。はっきり言って、厭な予感がしたけど、ここはYARON HERMANのこと。どういう風に料理してくれるのか興味があった。
面白いことに、MEHLDAUとデュオを組んだMARK GUILIANA(ds)はAVISHAI COHENの"GENTLY DISTURBED"(JAZZ批評 543.)に参加しており、かたや、このZIV RAVITZもイスラエルのピアニスト・SHAI MAESTROのトリオ(JAZZ批評 763.)に参加していたのだ。イスラエル繋がりって訳だ。勿論、YARON HERMAN自身もイスラエル人であるわけだし・・・。

@"FAST LIFE" 煌びやかなピアノ・ソロ。
A"VISTA" 
イメージとしては、ピアノ・トリオからベースが消えたというのではなく、ソロ・ピアノにドラムスが加わったという感じ。
B"POINTS OF YOU" 
C"NETTISH" 
変拍子!5拍子?10拍子?この不安定なリズムの上でピアノがしっかりと踊っている。
D"WITH OPEN HANDS" 
E"EVERYDAY" 
弦を押さえて打鍵する。二つの打楽器が織りなすやり取り。
F"FIVE TREES" 
G"VOLCANO FEAT HELGI JONSSON" 
この1曲の価値!凄いな!YARON HERMANの凄さを目の当たりにした1曲。アルバム全体を俯瞰した時に分かる。
H"PRELUDE NO4 OPUS 74" 
ロシアのALEXANDER SCRIABINの曲。
I"CHLDREN DON'T ALWAYS PLAY FAIR" 
RAVITZとの共作。
J"RETROGRADE" 
イギリスのシンガー・ソングライターJAMES BLAKEの曲。
K"CITY LIGHTS" 
RAVITZとの共作。
L"18:26"
 RAVITZとの共作。

昨年の丁度、今時分に南青山の"BODY AND SOUL"でトリオ(勿論、(ds)はZIV RAVITZ、(b)にHAGGAI COHEN MILO)を、そして、その数日後に渋谷の白寿ホールでソロを堪能した。僕の手帳には「個の技量、アンサンブルとも最高!星5つ!近年最高のライヴ!」と記してあった。ソロは観客席の1/3程度しか埋まっていない寂しいものだったが、演奏は熱かった。最後に、少ないオーディエンスが全員スタンディング・オベーションでその演奏を讃えあった。その記憶も生々しい。

9月にBLUE NOTE移籍第1弾ということで、様々な曲、様々な試行錯誤を繰り返したという。そして、シンクロしたと・・・。
ある意味、摩訶不思議なアルバムである。アルバム全体を俯瞰してほしいアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。



試聴サイト:https://www.youtube.com/watch?v=TCzHstESeYs



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