独断的JAZZ批評 943.

GIUSEPPE BASSI / DOMENICO SANNA
1+1=2、もしくは、3-1=2
"JUST YOU, JUST ME"
DOMENICO SANNA(p), GIUSEPPE BASSI(b)
2015年6月リリース スタジオ録音 (LBCD ALBORE : ALBCD 026)

GIUSEPPE BASSI(b)は現代イタリア・ジャズシーンの牽引するベーシストで脂の乗った44歳。一方のDOMENICO SANNAは1984年生まれの31歳で次世代を担うピアニストとある。
元々、イタリアはジャズ・ミュージシャンの宝庫で、ENRICO PIERANUNZI(JAZZ批評 487.)やSTEFANO BOLLANI(JAZZ批評 264.)、GIOVANNI MIRABASSI(JAZZ批評 307.)、ANTONIO FARAO(JAZZ批評 315.)などの優れたジャズ・プレイヤーを輩出している。
宣伝文句には「骨太で雄々しい」とか、「男気」なんて言葉が躍っている。果たして?


@"HUMBOLDT STREET #63" 
リリカルなピアノに柔らかでふくよかなベース音が絡む。ややアンプによる増幅が強いのが惜しい。硬質でアタック感の強いピチカートが好みの僕には少々甘いベース音だ。まあ、現代ヨーロッパ・ジャズでは主流の音色かも知れないが・・・。
A"CIRO CHI?" 
ミディアム・テンポの4ビートを刻む。ベース・ソロを挟んでテーマに戻る。
B"LUSH LIFE" 
B. STRAYHORNの書いたしっとりとした名曲。固唾をのむデュオというよりは和気あいあいのデュオ。
C"ZHONG KUI BLUES" 
4ビートを刻むブルースなのだけど、デュオというフォーマットの持つスリリングさや緊迫感が薄い。3-1=2 になっているのだ。
D"ISFAHAN" 
D. ELLINGTONとB. STRAYHORNの共作とされる曲。あくまでも穏やかな演奏に終始する。
E"NYC SUBWAY LOVE SONG" 
ニューヨークの地下鉄をモチーフにしたBASSIのオリジナル。始めと終わりに地下鉄の電車音が入る。これもリリカルなワルツ。段々、眠くなってきた・・・。
F"TOO CLOSE FOR COMFORT" 
既定路線通りで羽目を外さない(外せない?)二人がいる。
G"REGINELLA" 
穏やかな演奏でいつの間にか終わっている。
H"JUST YOU, JUST ME" 
心地良い4ビートを刻むが、これならドラムスが入っていた方が面白かったのでは?
I"CATTIVA'S LULLABY" 
「おやすみなさい!」
J"DAY DREAM" これも、D. ELLINGTONとB. STRAYHORNの共作とされる曲。アルバム全体を通して、最後まで穏やかな演奏に終始した。


終始穏やかない演奏だからといって目くじらを立てることはないのだけど、デュオ特有の丁々発止のインタープレイを期待すると裏切られる。
それと演奏が1+1=2、もしくは、3-1=2といった感じでプラスαが生まれてこないのが残念。僕にはあまり「男気」とか「雄々しい」とかのイメージは浮かんでこなかった。むしろ、穏やかでリリカルな演奏だ。BGMとして食事のお供に、あるいは、読書のお供には最適かもしれない。   (2015.06.19)

試聴サイト:http://www.qobuz.com/fr-fr/album/just-you-just-me-giuseppe-bassi-domenico-sanna/4560312310267#item



.