独断的JAZZ批評 942.

JOE ENDO
兎に角、音が良い
ビートがあって軸がしっかりした感じ
"IT'S NOW OR NEVER"
今村 真一朗(p), 遠藤 定(b), 津田 ケイタ(ds),
<GUESTS>中村 誠一(ts/cl on C,G,H), 堀 秀彰(p on B)
2015年1月 スタジオ録音 (CHIGUSA RECORDS : CGS-0004)

若手ベーシスト・遠藤定のファースト・アルバムである。「ちぐさ賞」受賞の一環としてレコーディングが実現したようだ。
その「ちぐさ賞」とは?サイトから引用すると・・・現存する日本最古のジャズ喫茶「ちぐさ」(横浜市中区野毛町)は、店主・故吉田衛の生誕100年を記念し、2013年10月、ジャズ専門レーベル「CHIGUSA Records」を設立、同時に優秀な新人を発掘、表彰する「ちぐさ賞」を制定しました。本賞は「日本に若いジャズミュージシャンを育てたい」という吉田衛の思いを継承し、日本のジャズシーンに一石を投じることを願って制定したものです。
・・・とあった。因みに、第1回受賞者はボーカルの金本麻里だという。


@"THEME FOR JOE" 
ブルース・フィーリング溢れる歌モノ。外連味のないベース・ワークがとてもいいね。
A"ONE AFTERNOON" 
これも遠藤のオリジナル。小洒落たテーマの曲でいかにも気怠い午後の雰囲気。 
B"TRISTE" 
A. C. JOBIMの曲で堀秀彰とのデュオ。堀のピアノはカラッとしていて華がある。遠藤のベースはまず音色がとても良い。これって良いベーシストの必須条件だよね。そのうち、この二人が組んだトリオ・アルバム何ていうのもリリースされるに違いない。
C"STARDUST" 
今度はクラリネットとのデュオ。ここではアルコ奏法も披露している。多少、硬い感じがするけど、経験を積めば伸びやかさが出てくるだろう。
D"EINS BIER BITTER!!!" 
遠藤のオリジナルで「ビールを一杯ください!」という意味らしい。4ビートでグイグイ進む。
E"DONNA LEE" 
ピアノとベースのデュオ。この曲を聴きながらPETER BEETSの"FIRST DATE"(JAZZ批評 182.)の中にある"TRICOTISM"を思い出した。ベースとピアノがユニゾンでテーマを奏でる。強いビートとドライブ感満載の4ビートが実に爽快。
F"WALK IN" 
3拍子なのだけどグルーヴ感満載の演奏。
G"THIS I DIG OF YOU" 
テナー・カルテット。昔懐かしい演奏だ。良かかりし時代の良かかりしジャズって感じだ。
H"A WONDERFUL ENCOUNTER" 
遠藤、5つ目のオリジナル。なかなかのメロディ・メーカーでもあるね。前ノリの4ビートでズンズン進む。
I"BOHEMIA AFTER DARK"
 トリオ演奏。先に紹介した"TRICOTISM"の作曲者でもあるベーシスト・OSCAR PETTIFORDの書いた曲だ。アップ・テンポの4ビートで突き進む。長めのドラム・ソロの後、テーマに戻る。

1989年生まれというから未だ26歳。若者らしい外連味のないベース・ワークで今後の成長が期待できる。兎に角、音が良い。ビートがあって軸がしっかりした感じ。
今回は賞に伴うレコーディングという性格上、色々な制約もあったかもしれない。次は遠藤自身が作るCDだ。くれぐれも全部オリジナルで固めました何ていうアルバムは作らないで欲しい!数曲はスタンダードかカバー曲を入れてもらいたいものだ。
勝手な想い込みだが、PETER BEETS(JAZZ批評 877.)とかBILL MAYS(JAZZ批評 637.)なんていうピアニストの組み合わせも面白いかもしれない。
ポスト・安カ川大樹を目指して、頑張れ!   (2015.06.12)

試聴サイト:https://www.youtube.com/watch?v=a3GUSEA2Qt4



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