独断的JAZZ批評 939.

OHISHI MANABU PIANO TRIO
"JUST TRIO"と呼ぶに相応しい
"JUST TRIO"
大石学(p), 米木康志(b), 則武諒(ds)
2014年11月 月下草舎ライヴ録音 (月下草舎 : GEKKA004)

本アルバムの録音場所である月下草舎は山梨県の小渕沢にあるペンションだという。2011年には、不慮の事故で亡くなった盟友・CECIL MONROEを追悼したピアノ・ソロ・アルバム"REQUIEM"(JAZZ批評 745.)、2013年には米木康志とのデュオ・アルバム"DUO"(JAZZ批評 890.)を録音している。
本アルバムでは新進気鋭の若手ドラマー・則武諒を迎い入れたトリオ・アルバムとなっている。当面、レギュラー・トリオとして活動していくらしい。

@"TIME REMEMBERED" BILL EVANSの曲。リリカルなテーマだけど、リリカルだけで終わらないのが大石らしい。アドリブでは力強いベースのウォーキングと軽快なシンバルレガートで昂揚感を増してくる。
A"THE WAY YOU LOOK TONIGHT" 
誰でも一度は聴いたことがある曲で、聴けば思い出すだろう。このアルバムも大きめのボリュームで聴いてほしい。ホールみたいな録音環境でドラムスがオフ気味だ。この則松のドラミングを堪能するには少々ボリュームを上げる必要がある。すると、3人が良く噛み合っている様が分かる。何よりも大石のピアノが楽しそうにイキイキと輝いている。
B"CLOUDY" 
C"MASCUT" 
D"NEBULA" 
大石のオリジナルで、"WISH"(JAZZ批評 643.)でも演奏されている。フリーのインタープレイで始まる。進むほどに昂揚感を増してきて最後はそのピークで終わる。間髪入れずに入る「イェイ!」は余分だけど・・・。
E"WREATH" 
ピアノのしっとりとしたイントロで始まる。僕はこの曲から次の曲の演奏が好きで、何回もこの2曲を繰り返して聴いた。
F"FRASCATI" 
実際にこのトラックが何番目に録音されたのかは分からないが、多分、終わり近くだったのではないだろうか?3者のアンサンブルが素晴らしい!もっともっと聴いていたくなるような演奏だ。これはまさに"JUST TRIO"でしょう!

例によって、本アルバムはネットとFBで100枚限定だという。一部のお店やライヴ会場でも扱うようだけど極めて限定的だ。録音した月下草舎の自主制作盤みたいなものだから大手流通に乗せないのは理解できる。いずれにしても、早い者勝ちってことだ。
盟友・CECIL MONROEを亡くした後はフランス人ドラマー・SIMON GOUBERTの参加を得て澤野工房から"GIFT"(JAZZ批評 760.)と"ETERNAL"(JAZZ批評 803.)をリリースしているが、レギュラー・ドラマーでトリオを組むのが望みだったことは想像に難くない。
新進気鋭のドラマー・則松諒を迎えて、大石の嬉しそうな顔が目に浮かぶし、演奏にもそれが表れている。
本アルバムには"JUST TRIO"と呼ぶに相応しい演奏が凝縮されているということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2015.05.24)

試聴サイト:特になし



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