独断的JAZZ批評 940.

YOSHIAKI OKAYASU & SHUICHI NOMOTO
癒し系デュオ
"THE FEELING OF JAZZ"
野本秀一(p), 岡安芳明(g)
2015年2月 スタジオ録音 (WHAT'S NEW RECORDS : GWNJ-2001)

二人とも初聴きのプレイヤー。ライナーノーツによれば、岡安はKENNY BURRELLを継承する日本を代表するギターリストであるし、野本は一貫して九州を拠点として活動してきたバップ・ピアニストとある。
ピアノとギターのデュオと言えば、BILL EVANS & JIM HALLの"UNDERCURRENT"(JAZZ批評 122.)をその代表格として思い出す。
他にも、BRAD MEHLDAU & PAT METHENY"METHENY MEHLDAU"(JAZZ批評 366.)やSTEFANO BOLLANI & LUIGI TESSAROLLO"HOMAGE TO BILL EVANS AND JIM HALL"(JAZZ批評 326.)というのもあった。
さて、初めてのピアノとギターの和製デュオはどんなものだろう?
ほとんどの曲が日頃慣れ親しんだ曲ばかりで、二人が1曲ずつオリジナルを提供している。

@"THE DAYS OF WINE AND ROSES" 言わずと知れた「酒バラ」 ゆったりとしたテンポで進む。
A"THE FEELING OF JAZZ" 
ジャズ良かかりし時代の空気を感じさせる曲でグルーヴィだ。
B"DARK EYES" 
テーマから二人の掛け合いで始まる。アドリブではお互いのプレイを尊重し、ソロと裏方に徹するプレイ・スタイルだ。
C"HOMAGE TO MONK" 
野本のオリジナル。ピアノ・ソロ。
D"ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET" 
明るい曲想に乗って穏やかに。アーシーさやグルーヴはないけど、健康的な清々しさ。
E"ONE O'CLOCK JUMP" 
12小節のブルース。お互い、サポート時はバッキングに徹する。
F"THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU" 
一世を風靡したBURT BACHARACHの書いた曲だ。ここでは岡安のオクターブ奏法を堪能できる。
G"I KNOW WHY (AND SO DO YOU)" 
明るくて濁りのない演奏だ。まるで、健康優良児みたいな・・・。
H"AUTUMN LEAVES" 
ゆったりとしたテンポ。ジャズを志す若い人たちが音使いのお手本とするのにいいね。
I"BLUE RAIN"
 岡安のオリジナル。ゆったりとくつろぎのギター・ソロ。

明るくて健康的で仲睦まじい・・・そんなデュオ・アルバムだ。アーシーさやグルーヴ、丁々発止のインタープレイを期待すると肩透かしを喰らう。あくまでも、健全で健康的なのだ。
前述の3枚のアルバムに比べ、緊迫感や刺激的なインタープレイというのはないが、癒し系としてリラックスしたいとき聴くには最適かもしれない。   (2015.05.30)

試聴サイト:特になし



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