独断的JAZZ批評 929.

KOJI GOTO
己が心のままを演奏に投影した音楽
"LA RENCONTRE"
後藤浩二(p)   2014年4,6月 豊川市小坂井文化会館録音 (PIANOHOUSE.MMG : PMMG 1002 [SONG X 0271])


昨年リリースされた後藤浩二のソロ・アルバム"ONTOLOGY"(JAZZ批評 875.)は長年の盟友・岡田勉へのトリビュート・アルバムだった。そのアルバムの中で、全8曲のうち6曲を岡田の書いた曲を採用し、自らの曲を2曲提供していた。このソロ・アルバムは2013年12月の録音で、僕は2014年のベスト・アルバムの1枚(JAZZ批評 910.)に選定している。
そのピアノ・ソロからわずか半年後に録音されたのが本アルバムである。後藤浩二、音楽生活20年目の節目に当たるという。
ACJK以外は後藤のオリジナル。

@"NOCTURNE NO. 2" アルバムのトップに「夜想曲」と名の付いたオリジナルが挿入されているところを見ると、ジャズという括りに固執していないのだろう。
A
"LOGOS" 後藤と親交の深いFEBIAN REZA PANE(東京芸大出身、インドネシアとのハーフ)の曲だという。しっとりとした情感の曲。
B"PRELUDE NO.1"
 今度のオリジナルは「前奏曲」だから、クラシックとかジャズとかの垣根のない音楽を目指しているのかもしれない。
C
"WE WILL MEET AGAIN" BILL EVANSが亡き兄に捧げた曲だという。悲しみとともに激しさを内包した演奏だ。
D"LA RENCONTRE"
 フランス語で「めぐり逢い」を意味するという。
E"FAIRY TALE"
 空を舞う妖精のよう・・・。
F"SAN SAN"
 この"SAN SAN"が何を意味するのかは分からないが、この曲想を聴いていると、大地を包み始める朝の優しい太陽の光と感じてしまう。
G"ANGEL'S WALTZ"
 一人称における右手と左手の会話。おしゃべりな右手に合いの手を打つ左手。絶妙に飛び跳ね、踊るピアノの音色。
H"L'ECUME DES JOURS"
 フランスの小説「日々の泡」がモチーフになっているのだろうか?
I"HOPE"
 後藤のオリジナルで、心に沁みる佳曲。LARRY GRENADIER(b)とHERVEY MASON(ds)を従えた傑作アルバム"HOPE"(JAZZ批評 465.)にも挿入されていた曲。良い曲はソロでも素晴らしい!後藤浩二の名前を世に知らしめた曲と言っても過言ではないだろう。
J
"WE WILL MEET AGAIN, var." Aに比べると抑え目な感じ。
K
"TWO FOR THE ROAD" HENRY MANCINIの書いた美しいバラード。一音ずつ丁寧に紡いでいくそのメロディが心に沁みる。PAT METHENYとCHARLIE HADENのデュオ・アルバム"BEYOND THE MISSOURI SKY"(JAZZ批評 686.)の演奏と聴き比べてもらうのも一興かもしれない。

本アルバムの中に挿入されている後藤のオリジナル曲のタイトルを拾ってみると。「夜想曲」、「前奏曲」に始まり「めぐり逢い」、「妖精」、「燦々?」、「天使」、「泡」、「希望」などの単語が拾い出される。そして、このアルバムで演奏された曲想も全てが同義語で語られているのだ。つまり、後藤の前向きな姿勢がアルバムに表現されていると言っても良いだろう。
クラシックやジャズといった括りはなくて、己が心のままを演奏に投影した音楽ということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。

試聴サイト:http://www.e-onkyo.com/music/album/rme0005/
        https://www.youtube.com/watch?v=E9M70ElDqgk



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