ANTONIO SANCHEZ
現代アメリカの最先端のジャズかも知れないが・・・。
"THREE TIMES THREE"
CD-1: BRAD MEHLDAU(p), MATT BREWER(b), ANTONIO SANCHEZ(ds, Akeyboards)
CD-2: @, A, B JOHN SCOFIELD(g), CHRISTIAN McBRIDE(b), ANTONIO SANCHEZ(ds) C,
D, E JOE LOVANO(ts), JOHN PATITUCCI(b), ANTONIO SANCHEZ(ds)
2013年10〜12月 スタジオ録音 (CAMJAZZ : CAMJ 7879-2)
アメリカ・ジャズ界を牽引するドラマー・ANTONIO SANCHEZが3つのトリオを3つの編成で3曲ずつ演奏した2枚組。
今や、ANTONIO SANCHEZと言えば八面六臂の活躍だ。PAT METHENYのUNITY GROUP(JAZZ批評 852.)然り、ENRICO PIERANUNZIのAMERICAN TRIO(JAZZ批評 876.)然り・・・。いずれも今年のジャズ界を揺るがした問題作ばかりだ。
本アルバムでも現代アメリカの錚々たるメンバーを集めた。恐らく、アメリカン・ジャズ・シーンの最先端を進もうというアルバムであろう。
CD-1
ピアノ・トリオ。BRAD MEHLDAU、久しぶりのトリオ演奏でもある。ベースは初めて聴くMATT BREWER。
@"NAR-THIS" 曲そのものはMILES DAVISの"NARDIS"なのだけど・・・?現代風なアレンジが施されている。テーマの後にBREWERのベース・ソロが配置されているが、これがなかなか良い。音数少なめで深くて重い音色だ。今後、注目していきたいベーシストだ。
A"CONSTELLATIONS" SANCHEZは手数の多いドラマーだが、それを多いと感じさせないところが流石だ。SANCHEZのオリジナルであるこの曲も現代アメリカのジャズの方向性を象徴するかのようなテーマだ。美しさや艶っぽさというのは皆無だ。
B"BIG DREAM" 陰影の深いSANCHEZのオリジナル。ところで、MEHLDAUのピアノであるが、最近(ここ4年くらい)は何か変調気味だ。それこそ"SONGS"(JAZZ批評 2.)や"LIVE IN MARCIAC"(JAZZ批評 684.)では溢れんばかりの歌心と躍動感、そして、艶っぽさがあった。対して、本アルバムのMEHLDAUは少々無機質な匂いがする。前作、星一つと酷評した"TAMING
THE DRAGON"(JAZZ批評 855.)をはじめ、ここ数年、こういう傾向が続いているのは成長のための一里塚なのだろうか?僕は、ここにあるMEHLDAUの演奏をあまり良いとは感じていない。
CD-2
JOHN SCOFIELDと CHRISTIAN McBRIDEを組み合わせたギタートリオ。
@"FALL" いきなりの変拍子。こういうのを事も無げに弾いてしまうプロっていのは凄い!ジョンスコらしい節回しと音色。ファンには堪らないだろう。
A"NOOKS AND CRANNIES" SCOFIELDの真骨頂!SANCHEZのドラミングが素晴らしい。McBRIDEのベースは多弁だ。ギターのように弾いてしまうのは凄いけど、ベースにそういう役割って必要なのか?
B"ROONEY AND VINSKI" SANCHEZの良く歌うドラミングは素晴らしい!
JOE LOVANOとJOHN PATITUCCIとの組み合わせたワンホーン・トリオ。
C"LEVIATHAN" ハーモニー楽器がないトリオ。その分、ベースは多少饒舌でも良いのだろう。PATITUCCIはそういう意味でピッタリ嵌っている。LOVANOのテナーは聴いている方が息苦しくなってしまいそう。
D"FIRENZE" SANCHEZのブラシ・ワークも軽快だ。
E"I MEAN YOU" PATITUCCIが良いところ突いている。
本アルバムではANTONIO SANCHEZの素晴らしいドラミングが堪能できる。ドラムスのファン、および、SANCHEZのファンには堪らない1枚だろう。
ピアノのファンとしては結構、難しい問題だ。BRAD MEHLDAUの演奏が一時の輝きを失っているからだ。でも、これが現代アメリカ・ジャズ・シーンの最先端を行くアルバムであることは錚々たるメンバーをみても分かるところだ。
まあ、奏でられる音楽そのものとの相性があまり良くなかったということかな? (2014.11.16)
試聴サイト : http://www.camjazz.com/labels/cam-jazz/antonio-sanchez
/8052405141415-three-times-three-cd.html
このサイトでは全曲、フルに試聴できる。
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