独断的JAZZ批評 905.

JURAJ STANIK TRIO
ジャズって、殊更難しくする必要はなくて、シンプルでノリが良ければ、それが最高さ!
"WOW"
JURAJ STANIK(p), FRANS VAN DER HOEVEN(b), JOOST VAN SCHAIK(ds)
2014年6月 スタジオ録音 (O.A.P.RECORDS : OAPR1403)


JURAJ STANIKのアルバムは久しぶりだ。かつて、2003年録音の"SHAKEN NOT STIRRED"(JAZZ批評 170.)はブルース・フィーリングに溢れる素晴らしいアルバムで、5つ星を献上した。
このSTANIKはオランダで活躍するピアニストで、ヨーロピアン・テイストの中にブルース・フィーリング兼ね備えたプレイヤーだ。今までに3枚のアルバムを紹介しているが、いずれもオランダの名ベーシスト・MARIUS BEETS(PETER BEETSのお兄さん)との共演だった。本アルバムではFRANS VAN DER HOEVENに替わっている

@"WOW" ベースが「そこのけそこのけお馬が通る」式にどかどかと4ビートを刻む。いいね、痛快だ!
A"THERE WE GO" 
ベースが良く歌っていてピアノとのアンサンブルも良い。躍動感もあって、シンプルに楽しめる。
B"CONSTRUCTION" クラシカルなテーマ。
C"IF I SHOULD LOSE YOU" 
有名スタンダード。テーマは2ビート。アドリブから4ビートを刻む。太くて重いベースに乗ってズンズン進む。
D"LAMENT" 
多くのミュージシャンが取り上げるJ. J. JOHNSON(tb)の書いたしっとりとしたバラード。
E"THE END OF A LOVE AFFAIR" 
これもスタンダード。アップ・テンポで軽快にスイング。
F"COMPENSATION" 
KENNY WERNER(p)の曲だそうだ。シンプルだけどいいテーマだ。ミディアム・テンポで心地良くスイングしている。これこれ!こういうのがいいんだよね!奇抜なことも、こけおどしもいらない。
G"FOR OLD TIMES SAKE" 
ミディアム・スローの佳曲。3者のアンサンブルを楽しみたい。
H"UMMG" 
BILLY STRAYHORNの書いた曲で"UPPER MANHATTAN MEDICAL GROUP"の略。DUKE ELLINGTONの主治医で親友だった個人医師が主催する医療ボランティア団体に捧げた曲だという。軽快な4ビートで進む。
I"SUMMER WALTZ" 
STANIKのオリジナル・ワルツ。これもシンプルな演奏だ。いいね。
J"A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE" 
ピアノ・ソロ。"NIGHTINGALE"は小夜鳴鳥(サヨナキドリ)と言われ、ヨーロッパに生息するツグミに似た小鳥で夜更けまで美しい声で鳴くそうだ。大好きな曲。大げさにならず、むしろ、淡々と弾いているのがいいね。

最近のジャズはいたずらに難しくなった。変拍子あり、ポリリズムあり、加えて、アレンジに凝る。難しくて、とても、口ずさめない。
もっとシンプルに楽しめないものかと思う。その点、本アルバムにはシンプルで良いテーマがあり、従って、シンプルな良いアドリブがありスイングしている。これで十分!これが良いのだ!
「ジャズって、殊更難しくする必要はなくて、シンプルでノリが良ければ、それが最高さ!」ということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。    (2014.11.18)

試聴サイト : https://www.oaprecords.com/index.php?id=29&no_cache=1&L=0&tx_ttp
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