独断的JAZZ批評 903.

MASAHIKO TOGASHI / MASAHIKO SATOH
二人の間に発生する殺気立ったインタープレイを楽しむ音楽なのかもしれない
"EMERGE LIVE AT HALL EGG FARM 2001"
佐藤允彦(p), 富樫雅彦(percussion)
2001年7月 ライヴ録音 (STUDIO SONGS : YZSO-10028)


デュオ・シリーズ、第6弾。
日本人のデュオ・アルバムも入れないと片手落ちというもんだ。最近、発売になった2001年のライヴ録音盤。ピアノとパーカッションのデュオというのも珍しい。
富樫雅彦は日本のフリージャズ界を代表するドラマーだったが、2007年に帰らぬ人となった。その富樫を偲んで縁とゆかりのあるミュージシャンが富樫の書いたバラードをデュオというフォーマットで追悼したのが"MY WONDERFUL LIFE TOGASHI Masahiko"(JAZZ批評 591.)であった。そのアルバムを、僕は2009年のベスト・アルバムの1枚に挙げている。
翻って本アルバムは盟友・佐藤允彦とのデュオである。

@"PALLADIUM" のっけからトレースしない。興が醒めるなあ。輸入盤では時々あるけど、日本盤でトレースしないというのも珍しい。フリージャズの先鋒だった富樫らしく(?)アヴァンギャルドの展開だ。ドラムスのアヴァンギャルドというよりはピアノのアヴァンギャルドという方が正しいような気がする。
A"REMINISCE-'63" 
以下、どれも同じように聞こえてしまう。
B"THE ARCH" 
C"SONG FOR DOMINGO" 
聴けるテーマとアドリブだ。
D"WALTZ STEP" 
E"VALENCIA" 
F"SCROLLIN'"
 

こういうアルバムは、率直に言って苦手だ。
フリー、アヴァンギャルド、抽象画・・・表現はいくらでもあるが、僕の耳に心地よく響くかというとそうではない。このアルバム、ライヴ録音なのでオーディエンスもいる。当然、拍手する人々がいるわけなので、これが好きだっていう熱狂的なファンも沢山いるのだろう。
パーカッションはともかくとして、ピアノがつまらないと感じてしまうのであるが、つまるとかつまらないとか言うレベルではなくて、二人の間に発生する殺気立ったインタープレイを楽しむ音楽なのかもしれない。
先に紹介したアルバム"MY WONDERFUL LIFE TOGASHI Masahiko"における佐藤のプレイと比べると天と地ほどの差があるのだ。当然、アルバムにおける「求めるもの」が違うのだろう。同じピアニストが弾いているとはとても思えないのだから・・・。
試聴も出来ずに購入しているので、時にはこういうこともあるだろう。ふー!疲れた!   (2014.11.08)

試聴サイト : 見つからず



.