独断的JAZZ批評 885.

MICHEL BISCEGLIA
ヨーロピアン・ジャズが好きな方にも、そうでない方にも超お勧め!
"SINGULARITY" & "MY IDEAL"
MICHEL BISCEGLIA(p), WERNER LAUSCHER(b), MARC LEHAN(ds)
2013年8月 スタジオ録音 (PROVA RECORDS : PR 1401-CD22)

MICHEL BISCEGLIAは今までに4枚のアルバムを紹介しているが、中でも2006〜2007年録音の"INNER YOU"(JAZZ批評 428.)が圧倒的に素晴らしかった。しっとりと心に染み入る演奏だった。
本アルバムは昨年録音されたものだが、この間、メンバーに変動はない。10年以上にわたりメンバーが固定しているというのも珍しい。当初、このアルバムは2枚組かと思っていたのであるが、入手してみると1枚ずつパッケージされたアルバムが1セットになっているものだった。価格も通常の国内盤の1枚分よりも安かったし、内容も素晴らしいものだったので偉く得した気分だ。

"SINGULARITY"
@"PUCCINI" 
このタイトルが「蝶々夫人」をかいたイタリアの作曲家のPUSSINIを指すのか分からないが、とても良い曲だ。音数少なめで「間」がある。静かであって情熱的。3者のインタープレイも申し分ない。
A"MEANING OF THE BLUES" 
この曲とGがスタンダード。こういう曲が入っているのは嬉しい!決して弾き過ぎないLAUSCHERのベース・ワークもいいね。
B"JASMINE" 
牧歌的な匂いのするテーマ。
C"LONELY WOMAN" 
これもBISCEGLIAのオリジナル。どのオリジナルも素晴らしくて、なかなかのメロディメーカーでもある。
D"CHOOSING" 
E"SINGULARITY" 
F"AUGMENTED TREE" 
ピアノのソロで始まりベースとドラムスが合流するその瞬間がいいね。
G"DON'T EXPLAIN" 
8ビートで演奏されていて斬新だし、とてもノリが良い。まるで違う曲のように生き生きとしている。この曲というとWYNTON KELLYの"PIANO"(JAZZ批評 11.)のバラード演奏を思い出す。
H"PASSIO THEME"
 しっとりとしたバラード。このしっとり感が堪らない!

"MY IDEAL"
@"MY IDEAL" 
適度なテーマ崩しがあり、とてもお洒落。奇を衒うこともなくシンプル。グルーヴ感もあっていいね。
A"THE EPIC" 
リリカルで神秘的なテーマ。音数少なめで3者のインタープレイがスリリング。
B"OUT OF SEA" 
先に紹介した"INNER YOU"にも入っていた佳曲。BISCEGLIAを語る上で象徴的な曲だ。しっとり感があって躍動感もある。
C"RED EYE" 
D"PAISELLU MIU" 
この曲も先の"INNER YOU"に挿入されていた曲。哀愁があってラテン調のテーマが印象的。日本人が大好きな曲調かも知れない。
E"A WHITER SHADE OF PALE" 
一世を風靡したプロコル・ハルムの「青い影」 懐かしさと同時に大ヒットした美しい旋律が軽快なワルツで奏でられているのは実に嬉しい。
F"
N'N SIATA" 

MICHEL BISCEGLIAは美メロのジャズ・ピアニストとしても名を馳せているが、勿論それだけではない。このトリオは10年来の固定したメンバーでやってきたグループで緊密感と同時に絶妙なバランスを持ち合わせている。何よりも、BISCEGLIAの空間を上手に使った「間」の取り方が素晴らしい。
そして、この2枚、どちらも甲乙付け難い良作に仕上がっているのでお買い得感たっぷり。ALAN PASQUA(JAZZ批評 845.)あたりを好きな方にも気に入ってもらえるのではないだろうか?
ヨーロピアン・ジャズが好きな方にも、そうでない方にも超お勧めということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2014.07.06)

試聴サイト : http://www.michelbisceglia.org/discography/



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