独断的JAZZ批評 886.

PRYSM
一気に全部を聴き通すにはアルコールの力を借りないと駄目かもしれない・・・
"ON TOUR"
PIERRE DE BETHMANN(p), CHRISTOPHE WALLEMME(b), BENJAMIN HENOCQ(ds)
1999年6月(NEW ORLEANS), 10月(PARIS), 2000年4月(PARIS) ライヴ録音 (BLUE NOTE : 7243 531575 2 4)

このPRYSMというグループは初耳だった。ジャズ友に教えていただき、試聴サイトで聴いてみたら、これは面白そうということでゲットした。1999年録音でリリースされてから15年近く経っているので新品は皆無。中古盤をゲットしたが少々高くついた。試聴して良いなと思ったCDをどうしても入手したくなるのは人情というものだ。
メンバーはフランス人の3人で構成されており、本アルバムを最後に活動を停止したが、その後、2009年に再結成され5枚目のレコーディングを行ったという。
全曲メンバーのオリジナルだ。

@"SECRET WORLD" 難しい曲だ。数えてはいけない。こういう曲をいとも簡単にやってのけるプロは凄いとは思いうけど生理的に気持ち良くない。
A"EXTENSION" 
何拍子か分からない変拍子でベース・ソロが延々と続く。それでも躍動感が満載なのだ。複雑なリズムの中、アンサンブルがピタリと合っているのが不思議なくらい。
B"TEMPS DENSE" 
これも難しいテーマに難しいアドリブのモーダルな演奏。
C"VOICE OF ANGELS" 
彼らには拍子を刻むという概念があるのだろうか?小節という括りもないのではないかと思ってしまう。
D"THE WAY" 
これも数えてはいけない。変拍子から生まれる緊迫感はあるが、それが心地よいかどうかは別問題だ。後半にドラム・ソロが延々と用意されている。
E"SUSPENDED TIME" 
ピアノ・ソロ。比較的聴き易いバラードだけど面白みに欠ける。
F"REFLECTION" 
こういう難しい変拍子でアンサンブルが取れるという彼らの頭の中の構造はどうなっているのだろう?しかし一方で、段々、皆同じように聴こえてきた!こちらの頭がついていけない!
G"PATIENCE" 
バラード。ちょっと骨休み。
H"UN DES SENS"
 アドリブでは高速の4ビートを刻む。理屈抜きで楽しめる本アルバムのベスト。最後に長目のドラム・ソロで終わる。

本アルバムを一気に聴き通すことは結構、骨の折れる、そして、忍耐を必要とする作業だ。確かに、一つ一つのトラックは緊迫感と躍動感に溢れたものだが、反面、聴き疲れするのも事実。
兎に角、変拍子が多い!終いには、皆同じような演奏に聴こえてしまうのもオリジナルばかりを集めた弊害だろう。気分転換のスタンダードが数曲入っていれば、アルバム全体がグッと締まっただろうに・・・。
オーディエンス全体がハイテンションになっているライヴなら違和感はないかもしれないが、一人で一気に全部を聴き通すにはアルコールの力を借りないと駄目かもしれない・・・。   (2014.07.13)

試聴サイト : 
http://www.musicme.com/#/Prysm/albums/On-Tour-(Live)-0724353157524.html



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