皆が愛するWYNTON KELLYの最高傑作
モダンジャズの全盛期・1950年代後半を代表する1枚。
ドラムスの遅刻が思わぬ結果をもたらすことに!

独断的JAZZ批評 11.







WYNTON KELLY

WYNTON KELLY "PIANO"
WYNTON KELLY(p),KENNY BURRELL(g),PAUL CHAMBERS(b),PHILLY JOE JONES(ds)
1958年1月録音(RIVERSIDE VICJ-23558)

本来、このアルバムはギターのケニー・バレルを加えたクァルテットで演奏する予定だったが、録音時間になってもドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズが来なかった。痺れを切らした3人がドラムスなしのギタートリオで演奏したのがこのアルバムのいわくつきなところ。
したがって、ギター・トリオの演奏とクァルテットの演奏が半分ずつになっている。
そして、それが思わぬ結果をもたらすことになる。
ドラムレスの
CF曲目は選曲の良さと相俟って、むしろ、新鮮な、そして、薫り高い印象を抱かせる。
ケリーのピアノはシンプルでいつもリラックスして聴けるのが身上。特に、ドラムレスの演奏はツボを押さえた歌心溢れた演奏になっている。

@"WHISPER NOT" この曲からBまでとGがカルテットの演奏。
A"ACTION" 
B"DARK EYES" 
C"STRONG MAN" この曲からFまでがドラムレス・トリオ。
D"ILL WIND" 
E"DON'T EXPLAIN" 
F"YOU CAN'T GET AWAY" 
G"DARK EYES (take 2)" ボーナス・トラック。

"STRONG MAN" "DON'T EXPLAIN"はその真骨頂とも言うべき歌心を発揮している。
そして、ドラムスが入った時の演奏がちょっと控えめな感じのするケニー・バレルが、ここでは、ギターによるバッキングを含めて実に「いい仕事をしている」のである。
実に伸び伸びと歌っているんだなア。
ベースのポール・チェンバース大先生も文句なしに良い!

僕は、このCDをかけると、大概、クァルテット演奏を飛ばして、このギター・トリオばかりを聴いてしまう。
スローバラードの"DON'T EXPLAIN"は泣かせます。美しいメロディに加え、ピアノ、ギター、ベースが三位一体になって織り成す演奏はJAZZの楽しさと素晴らしさを堪能させてくれる。
理屈抜きで楽しむ1枚と言える。

良かかりし時代を象徴するWINTON KELLYの最高傑作と同時に、KENNY BURRELLの代表作である。
                                             (2001.07.01)

<追記>
明日は「JAZZ大音量の会」があり、持っていくCDを選定していたのだけど、古いところではこのCDを持っていこうと思う。改めて聴くと、やはり、実に良いなあ。特にドラムレス・トリオの演奏ではBURRELLのギターがが絶妙な間合いで合いの手を入れているし・・・。
これはどう考えても5つ★。何で4.5★にしていたのだろう?「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。  (2002.08.10)




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