独断的JAZZ批評 845.

PETER ERSKINE ALAN PASQUA with DAVID CARPENTER
美しいテーマ!美しいアンサンブル!
リリカルだけど心地よい躍動感がある
これがこのアルバムのすべて!
"LIVE AT ROCCO"
ALAN PASQUA(p), DAVID CARPENTER(b), PETER ERSKINE(ds)
1999年10月 ライヴ録音 (FUZZY MUSIC : PEPCD0007)


ALAN PASQUAというピアニストは名前だけで、実際に音楽を聴いたことがなかった。
これも松山のジャズ友の紹介してくれたYouTubeがきっかけだった。このピアニストは結構多くのアルバムを残しているが、そのほとんどがドラムスのPETER ERSKINE名義か連名だ。決してERSKINEがでしゃばることもなく非常にバランスの取れたグループと言えるだろう。
ベースのCARPENTERもこの二人に引けを取らず、まさにピアノ・トリオの理想の姿を形成している。
以上のこともあって、このアルバムはALAN PASQUA名義のアルバムとしてラインナップに加えた。

<WEST SIDE>

@"TO LOVE AGAIN" 
まず、この最初の曲を聴いて、このトリオの世界に引き摺り込まれる。美しいテーマ!美しいアンサンブル!リリカルだけど心地よい躍動感がある。これがこのアルバムのすべて!
A"RIFF RAFF" 
CARPENTERのオリジナル。CARPENTERのグルーヴィなソロがいいね。このグループになくてはならい存在だ。
B"CARIBE(INTRO)" 
ピアノ・ソロ。
C"CARIBE(BODY)" 
二人が合流してトリオ演奏に。過去に遡って調べてみたが、このCARPENTERというベーシストは初登場だ。アメリカにはまだまだ名の知れていない凄腕が五万といるのだろう!?
D"LIFE TODAY" 
ERSKINEの書いた美しい曲。CARPENTERのベースがいい音で鳴っている。
E"JERRY GOLDSMITH" 
このアルバムの中ではハードな演奏だ。こういうのも中にはないとメリハリがつかない。キレのあるERSKINEのドラミングが小気味よい。
F"GRETA" 
一転して美しく静謐なバラード。
G"BULGARIA" 
ERSKINEの2分余りのドラム・ソロで始まるが、残る二人が合流して躍動感溢れる演奏にシフトしていく。後半部にもERSKINEの腕の見せ所が控えている。そして3人の見事なアンサンブルで終わる。

<EAST SIDE>

@"HOW ABOUT YOU?" 
とてもベース・ワークが良くて曲全体を盛り上げている。ベース・ソロの後に4ビートが刻まれガンガン高潮感が増していく
A"AUTUMN ROSE" 
ここでもベースの重低音と小気味よいスティック捌きが効果的だ。
B"PURE & SIMPLE" 
JOHN TAYLOR(JAZZ批評 535.)の曲。最後にガーと盛り上がって終わる。
C"ALL OF YOU" 
聞古されたスタンダード・ナンバーも何故か新鮮だ。インタープレイに唸るね!CARPENTERのベースはビートの強いピチカートで、これまた唸ってしまう!ベースはかくありたい。
D"CHILDREN" 
泣かせるなあ!!!
E"MILAGRO" 
マレットを使ったドラミングでアブストラクト風にスタートする。やがて、美しいテーマが現れる。
F"TAIOWA" 
モーダルでハードな演奏だ。ERSKINEの気持ち良い叩きっぷりもいいね。

2枚組であっても硬軟取り揃えて、最後まで飽きさせない素晴らしいアルバムだ。何よりも、3者のバランスが良くてアンサンブルも素晴らしい。
泣かせるような美しい曲があるかと思えば、ERSKINEのハードな叩きっぷりを楽しませてくれるトラックもある。
願わくば、こういう素晴らしいアルバムは大音量で聴いてほしいものだ。
ALAN PASQUAを紹介してくれた松山のジャズ友に感謝。まだまだ未知の優れたプレヤーたちが埋もれているということを実感した。
美しいテーマ!美しいアンサンブル!リリカルだけど心地よい躍動感にも溢れているということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。
もっと、もっと聴きたいということでALAN PASQUAのアルバムを更に3枚も注文してしまった。順次、紹介していきたいと思う。   (2014.01.19)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=OIEqXE0YVio                  
          http://www.youtube.com/watch?v=BfTRGa2DPEY



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