『ディファイアンス』(Defiance)['08]
監督 エドワード・ズウィック

 当地でもオフシアター上映されながら観逃していた作品だ。『グローリー』マーシャル・ローラストサムライブラッド・ダイヤモンドなどのズウィック作品らしく、真面目で外連味のない筆致で綴られるドラマを観ながら、最終的に1200人もの逃亡ユダヤ人を三年近く森のなかで養った彼らの物資調達がどのような形で行われたのか、不思議な気がした。とりわけ武器調達と訓練の実際は、どのようなものだったのだろう。ベラルーシの山中で避難民を率いたビエルスキ兄弟のことを僕は知らずにきたが、どこかジェシー・ジェームズを想起させるようなところがあり、公開当時のチラシの裏面に記された「シンドラーは、もう一人いた…」というのとは違うような気がしてならなかった。

 映画では村人たちからの徴用というか、食糧強奪も描かれていたが、なにせミネソタ強盗団とは比較にならない規模だ。頼ってくる難民をどんどん受け入れるトゥヴィア・ビエルスキ(ダニエル・クレイグ)に無責任だと異議を唱えるズシュ・ビエルスキ(リーヴ・シュレイバー)の姿も描かれていたが、彼の懸念も尤もだという気がした。トゥヴィアに出エジプト記のモーゼを重ねるような描き方だったけれども、愛馬一頭つぶしただけでの食糧事情の激変も、象徴的な描き方に過ぎないとは承知しつつも、少々気になった。

 長兄のトゥヴィアを演じたダニエル・クレイグ以上に、次兄ズシュを演じたリーヴ・シュレイバーが印象深かった。そして、ゲットーから救出してきたユダヤ人たちのなかから見初めて、トゥヴィアが妻にしたリルカを演じたアレクサ・ダヴィロスが目を惹いた。
by ヤマ

'24. 6.14. NHKBS録画



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