『星空の用心棒』(I lunghi giorni della vendetta)['67]
『南から来た用心棒』(Arizona Colt)['66]
『荒野の用心棒』(A Fistful Of Dollars)['64]
監督 フロレスタノ・ヴァンチーニ
監督 ミケーレ・ルーポ
監督 セルジオ・レオーネ

 四週連続の特集放映の最初に観た真昼の用心棒の翌年の作品『星空の用心棒』は、物語にもジュリアーノ・ジェンマの演じたテッド・バーネットにも覚えがなかったが、見世物看板に“ワイルド・ダルシー”と記されていた娘(ガブリエラ・ジョルジェリ)と歯医者を自称する胡散臭い“叔父”には観覚えがあったので、子供時分にTV視聴しているような気がする。

 まるで怒りのガンマンのような話だったが、クレイトン保安官(リー・ヴァン・クリーフ)と違って、本作のダグラス保安官(フランシスコ・ラバル)は、紛れのない悪役だった。この手のマカロニに似つかわしくなく、判事(ペドロ・バウサリ)が、町を牛耳る大地主コッブ(コンラード・サン・マルティン)とグルではなかったことに意表を突かれてしまった。

 どこが星空で、どこが用心棒よ、と棺桶屋すら登場しない映画の邦題に呆れたが、野性味あふれる勇ましいダルシーは、なかなか好かった。裏事情を知らぬままテッドに不義理を重ねてしまったことを悔いて、その名誉回復に貢献し結果的に命を懸けた艶っぽいドリー(ニエベス・ナバロ)以上に、目を惹いていたように思う。テッドをおびき出す釣り餌として広場に吊られていた姿には、まさしくマカロニ風味の真骨頂があったような気がする。


 三週目の『南から来た用心棒』は『星空の用心棒』と同じくジュリアーノ・ジェンマが刑務所を脱獄して活躍する話だったが、星空も棺桶屋も出てこない『星空の用心棒』と違って、しっかり棺桶屋は出てきた。だが、相変わらず、刑務所がなぜ南になるのか、訳がわからない邦題だった。

 申し出を受けるたびに「考えないと」の決まり文句で返していたアリゾナ・コルトを名乗る男(ジュリアーノ・ジェンマ)が何度もそれを繰り返した挙句、最後に「考えナイト(騎士)」になる話だったように思う。

 何故を問うても詮無いマカロニだけれども、爆薬遣いのウィスキー(ロベルト・カマルディエル)が、恐ろしい首領ゴルドン・ウォッチ(フェルナンド・サンチョ)を裏切ってまでアリゾナを救出したのは、おそらくゴルドンの余りに無節操な残虐さに嫌気が差すとともに、自分もいつやられるか判らないリスクよりは、アリゾナを相棒にするほうが、先々安心だと彼の腕を見込んだということなのだろうと納得した。

 「賞金500ドルじゃ5000ドルには全然足りない、その分、ジェーン(コリンヌ・マルシャン)を一夜限りの妻にさせろ」などという不埒な代償を抜け抜けと要求していたアリゾナが、最後に「貸しにしておこう」とキスだけ交わして去っていくことにも、それなりに納得感があって、マカロニには珍しいことだと妙に可笑しかった。


 四週連続特集の最後は、マカロニの「用心棒」の魁『荒野の用心棒』とのことだが、それなら同じくBS日テレでの録画を二月に観たばかりだ。十年前に【午前十時の映画祭】で観たときには、遂にスクリーンで観たぞ!(嬉) イーストウッド、若い!かっちょいい!「むかし助けられなかった女のためだ」だってよ(笑)。 あと、息子の横面を引っぱたくバクスターの女房(マルガリータ・ロサノ)もなかなか良かったなー。100ドルの次は500ドルと気前も良かったし(笑)。とメモしていた。

 七年前に再見したときは、バクスターの女房ではなく、マリソルを演じたマリアンネ・コッホについて僕の記憶にある姿よりも年増っぽかった。まぁ、子持ちなんやし、あれでええんかもしれんが(笑)。などと記し、濃い顔の男たちの面構えが時代掛かっていて好いとか、棺桶屋が飄々としていてよいと加え、痛めつけられた後のイーストウッドのメイクがなかなか凝っていて、かなり痛ましく目も潰れていたことに対して、実にマカロニらしいと感心していた。

 半年前に観たときは、ちょうどセルジオ・レオーネによる夕陽のガンマン』['65]、『続・夕陽のガンマン』['66]と続けて観たところだったので、三つ揃えて観ると、やっぱり『続・夕陽のガンマン』が最もヘンで、面白い。と記しつつ、ジョーと呼ばれる名無し男(クリント・イーストウッド)には、三十郎と違ってとぼけたユーモアがないのが残念だが、若い!かっちょいい!(笑)と添えていた。
by ヤマ

'21. 6.13. BS日テレ録画
'21. 6.19. BS日テレ録画
('11.12.11.)('14. 5.16.)('21. 2.21.)
 TOHOシネマズ4・BSジャパン録画・BS日テレ録画



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