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『グランド・マスター』(The Grandmaster[一代宗師]) | |||||
監督 ウォン・カーウァイ | |||||
ヤマのMixi日記 2013年6月9日 21:38 何作か観ているウォン・カーウァイ作品は、『花様年華』の拙日誌に綴ったように、僕とあまり相性が良くなくて、近作の『マイ・ブルーベリー・ナイツ』を観たときも、新味はなかったなどと記していたから、あまり食指が動いてなかった。 でも、友人が「ウォン・カーウァイ監督の最高傑作。映画史に残る名シーンあり!」などと書いていたものだから、観に行ってみた。こんなカンフー映画、観たことないという新味は、イップ・マン(トニー・レオン)とルオメイ(チャン・ツィイー)の武闘場面で匂わせていた官能性のなかに『花様年華』ばりの不倫物語への展開を予感させたあたりに大いに感じられたのだが、カーウァイ節という点では、新味とは逆(笑)。だが、カンフーものとも歴史ものとも恋愛ものともつかない斬新さは感じた。 アクションシーンは、武闘場面というよりも舞踏場面といったほうがいいような外連味溢れる映像美で綴られていたが、カーウァイ的な思わせぶりが目につき、同じ外連味溢れる映像美なら、やはり僕はチャン・イーモウの『HERO(英雄)』や『LOVERS(十面埋伏)』のほうがいいと改めて思った。 友人の書いていた“映画史に残る名シーン”がどれのことなのか、ちょっと思い当らなかったが、十五年余ぶりに再会したときに、ルオメイが「恩も恨みも碁盤のように残していく」と言ったのに対し、「囲碁と人生は違うと思う」とイップ・マンが返していたことに気を留めた。ルオメイのいう“碁盤”の意味しているところは、中国語の慣用表現なのかもしれないが、どういうニュアンスなんだろう。 コメント 2013年6月9日 23:28 (ケイケイさん) >アクションシーンは、武闘場面というよりも舞踏場面といったほうがいいような ヤマさん、上手いなぁ〜。 確かに強そうと言うより、上手く振り付けているなぁって感じでしたもんね。 私はルオメイの物語としての印象が深く、肝心のイップ・マンの事は、 はて???という感じで印象に残っていません。 あんまり面白味のない人だったし(笑)。 イップ・マンより妻の愛らしさや心情の方を、強く感じました。 ヤマ(管理人) ◎ようこそ、ケイケイさん ケイケイさんの映画日記にも「印象に残った戦いは、イップ・マンVSルオメイの 濃密なラブシーンのような戦いと、マーサンとルオメイの名誉と家名をかけた戦い」 とお書きですね(笑)。 映画日記にお書きのイップ・マンの奥さん、確かにとても魅力的でした。 子もなしているのに、 なにゆえ彼は家族の元に帰ろうとしなかったのか、謎なんですが、 カーウァイは不倫でないと興味を示せないのか、深入りしませんよね(笑)。 (ケイケイさん) 私も思いました。 歴史的な背景に疎いので、帰るのを逸したのかと想像しましたが、 どうなんですかね? ヤマ(管理人) イップ・マンが帰るのを逸したのは、 歴史的な背景よりも個人的なもののように感じました。 映画のなかで「香港と大陸の間が自由に行き来できなくなったのは、 共産党政権ができてから」というような説明がされていたように思います。 彼が、病死した妻を見とれなかったことの説明になるような形で出てきた と思いますので、帰れる時期に帰らなかった理由は、よくわからないままでしたね。 カーウァイの趣向からすると、 ルオメイへの“ナルシスティックなまでの禁欲不倫思慕”ゆえにって感じですが(笑)。 それはともかく、ケイケイさんの日記の 「思い出すのはグランド・マスター争奪戦以外の事ばっかり」 というのが可笑しかったです。 僕のいう「こんなカンフー映画、観たことないという新味」の部分ですな(笑)。 ルオメイにしても、どういうことで医の道に進むようになったのか、 さっぱり不明でした。 (ケイケイさん) 記憶が不確かなんですが、最初の方で父親にそう勧められていたような。 素直に従ったと思いました。 ヤマ(管理人) マーサンとの闘いから帰ってきたときに見せていた吐血は、 やっぱ病気のほうなんでしょうか? あの闘いで受けたダメージが原因で死に至ったけれども、 病死とされたという話じゃあないんですよね? (ケイケイさん) >そういうことで逃げ出していたのかもしれませんね。 私はそう感じました。 戯れに不倫や略奪愛もしたでしょうし、独身同士のお付き合いもあったと思います。 それが真剣に変わりそうになったら、きっと逃げ出していたんだと思います。 マーサンとの戦いのせいで、肺にか何かが傷ついた →治らない。痛い→それで痛みを和らげるためアヘンに手を出す →結果アヘン中毒となって、死・・・。 かな?と思ったんですけど。ヤマさんはどう思われました? ヤマ(管理人) 病に冒されて自身の死期がそう遠くないことを、医者であるゆえに知った彼女が、 父親の遺言の禁を犯して、今生の想いを遂げに行ったということなのかな というふうに思うのと、上記したように闘いのダメージだと思うのと、 ふたつの場合を映画を観たときは思いました。 病の後先がちょうど正反対なのですが、 そのどっちつかずのモヤモヤ感がいつものカーウァイ作品のテイストで、 ちょっとやれやれなんですよね(笑)。ま、慣れっこですが(あは)。 推薦テクスト:「チネチッタ高知」より http://cc-kochi.xii.jp/hotondo_ke/13061602/ 推薦テクスト:「映画通信」より http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10442&pg=20130602 推薦テクスト:「TAOさんmixi」より http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1904702753&owner_id=3700229 | |||||
編集採録 by ヤマ '13. 6. 9. TOHOシネマズ1 | |||||
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