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『続・エマニエル夫人』(Emmanuelle, L'Anti Vierge)['75] 『華麗な関係』(Une Femme Fidele)['77] | |||||
監督 フランシス・ジャコベッティ 監督 ロジェ・ヴァデム | |||||
昨年ちょうど還暦の歳で亡くなったシルビア・クリステルは、僕の世代のセックスシンボルとして名を馳せた女優だけれども、同時代で僕が観ている官能系作品は『チャタレイ夫人の恋人』['81]くらいで、大ヒット作『エマニエル夫人』['74]さえきちんと観たことのないままに来ているうちに、先に第2作のほうを、五十路の今頃になって観ることになった。 観てみると、白い服やシーツをまとうことで却って際立つくらいに美しい色合いの肌をした肉体と表情の素晴らしさに大いに魅了された。動きの変化に乏しい写真やポスターでは捉えきれない、映画ならではの魅力で、彼女が世界を席巻し、一世を風靡したのも道理だと今更ながらに感じ入った。 ストーリー的には、さして刺激的なものは何もないけれども、エキゾチシズムを取り入れているところが目を惹いた。おそらくは、アジア人種の肌とは根本的に異なる彼女の肌の美しさがあっての舞台設定なのだろう。交わる男たちも黒い肌やら刺青肌など、彼女の白い肌の美しさを引き立てるものが多用されていて、三人の船員たちが着衣のまま彼女の裸身を翻弄する場面での上気した肌と白い船員服の対照も絶妙だったように思う。また、性感を刺激すると思しきツボに長い鍼を打たれて陶然としているさまも印象深かった。とても23歳とは思えない成熟感に瞠目させられた。 また、アジア女性がマッサージサービスをする入浴場のようなところで、エマニエル夫人夫妻と富豪の娘アンナマリア(カトリーヌ・リヴェ)が、日本のソープランドのボディ洗いのようなサービスを受ける場面が登場して、少々驚いた。日本の風俗業界の手の込んだサービスというのは、'70年代半ばに既に国際的認知を受けていたのだなと、『やわらかい手』を観たとき以上に感心した。 『続・エマニエル夫人』の二年後の作品となる『華麗な関係』は、邦題の“華麗”とは程遠いだらけた作品ぶりにがっかりした。ナタリー・ドロンとシルビア・クリステルの競演との触れ込みながら、まるで活きてなかったような気がするし、ドラマ的にも凡庸で、演出はかったるいしで、いやはや何とも呆れた。かといって、不愉快になるわけでもなく、ただ毒にも薬にもならない薄味に退屈していたような気がする。ラクロの原作小説の映画化作品は何作もあるようだが、そのなかでも出来映えに見劣りがするほうの作品ではなかろうか。韓国版の『スキャンダル』['03]もさして面白くなかったような気がするから、映画化自体がむずかしい作品なのかもしれない。 | |||||
by ヤマ '13. 6. 2. ムービープラス録画 '13. 6. 2. イマジカBS録画 | |||||
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