『アイズ・ワイド・シャット』(Eyes Wide Shut)をめぐって
タンミノワさん
TAOさん
DAY FOR NIGHT」:Fさん
Gatta@Pegasoさん
ミキさん
ドンドコ屋さん
BELLET'S MOVIE TALK」:belletさん
たどぴょんのおすすめ映画ー♪」:たどんさん
camela con vista」:ようこさん
ヤマ(管理人)


  *それは、妄想ネタから振られて始まった。

(タンミノワさん)
 ちょっと違いますが、「アイズ・ワイド・シャット」にも、かなり間違った期待をしてて、裏切られて帰ってきました。一緒に観た友人と「これは、Hなものを期待した人にキューブリックがいじわるした、という意味がこめられているのだろうか」と話してました。(なんとも浅い解釈ですみません)

(ヤマ[管理人])
 あ、『アイズ・ワイド・シャット』か。これこそが妄想が主題の映画やったですやん。
 Hなものを期待した人にキューブリックがいじわるした、というよりか、彼には、もともと性を扱っても官能とは無縁の作品しかなかったのでは?(笑)
 『ロリータ』も観ずにこんなこと言うのも無謀ですが、性に関しては、寺山修司の日誌において綴ったことに似たものを僕は、キューブリックに感じているみたいです。

(TAOさん)
 ヤマさん、キューブリック嫌いの私ですから、本来なら大賛成!といきたいところですが(笑)、「アイズ…」の予告編を見る限り、じつは彼、官能もわかってる男だと思いました。クリス・アイザックのベースが効いたサウンドに載せて、夫婦の寝室を覗き見させるようなあの予告編、あんまりセクシーとは思えないあの夫婦(笑)がとってもエロに見えましたもんね。

(ヤマ[管理人])
 予告編はそそりましたよねぇ。特にニコール・キッドマンの視線!ちょっとした腰のくねらせ方。楽しみに観に行ったら、ダンスのシーンだけがねちっこく官能的で、そのほかは、意図的に排している感じでしたね。
 騙されてガックシ(笑)。もっとも官能とは晒す晒さないではないってことで、流石わかってらっしゃるってことなんですかね〜。

(TAOさん)
 そうそう、腰のくねりが良かったですよねえ。キャミソール姿のキッドマンが眼鏡をかけてるところも好み〜。あ、これは極めて個人的な趣味ですが(笑)。

(ヤマ[管理人])
 これ、僕もそうなんですよ(笑)。こういう趣味がTAOさんと一致してどうよって気もしますが。

(TAOさん)
 ヤマさんも眼鏡、お好きでしたか(笑)。もしかして女教師好きとか…。

(ヤマ[管理人])
 えぇ。看護婦さんも..(笑)。

(TAOさん)
 ヤマさんと女の趣味が一致してるなんて、困ったもんだ(笑)。

(ヤマ[管理人])
ふんとに、そりゃあ、困ったもんですよ、姐さん。

(TAOさん)
 それから、バイオレンスがらみのエロなら、彼は得意なんじゃないかと思います。でも、けっして官能に寄り添ったりはせず、冷笑したがる人ですよね。そこがよけいゆるせん!(笑)

(ヤマ[管理人])
 あぁ、これ僕も個人的趣味として苦手なんですよ。嗜虐被虐っていうメンタリティの部分が大きいとOKどころか、大いに関心を引くのですが、バイオレンスってのはダメですね。あまりエロを感じたことがありませんわ。
 冷笑したがるって、まぁ、赦すの赦さないのってもんでもないんですが(笑)、なんにしてもキューブリックは、クール&シャープって看板、掛けてるような気はします。

(Fさん)
 TAOさん、キューブリックって官能も分かってる人ですか。TAOさんは女性だし、かつての実績も伺いましたから(笑)、官能はお手のものだろうと察しはつきますが、ヤボてん男の僕にはどうも官能という領域は苦手みたいで(笑)。
 ヤマさんのほうが、官能の世界は詳しいと思います(笑)。

(ヤマ[管理人])
 でも、肝心の手記は見せてもらってませんよね、我々(笑)。
 どっちにしたって女性にかなうはずもないところで、競り合ってみても仕方がないのですが、アップされてる文章で見る限りは、Fさんのほうが断然お手のものと観るのが、むしろ自然なんじゃないでしょうかね(笑)。

*夫婦像としてのリアリティ

(Fさん)
 僕なんか「アイズ・ワイド・シャット」は、何だか夫婦善哉みたいに思っちゃったりしてねぇ。あの夫婦の痴話喧嘩があったでしょ。あれって身につまされるカップル(特に男)は数知れずだと思うんですよ。

(ヤマ[管理人])
 僕は倦怠夫婦の女の妄想と男の妄想の違いってな観方してましたね。

(Fさん)
 何の気ないたわいのない話してじゃれてたら、いきなり女からドッキリすること言われて、よせばいいのに意地張ってたら、女に今までの恨みつらみ並べられて、あんたなんか何も分かってないのよ!なんて言われるハメになってフテる(涙)。

(ヤマ[管理人])
 ほ〜ら、詳しいじゃありませんか、Fさん(笑)。Fさんがここに至る遥か前段には、めくるめく官能の世界が広がってたんでしょ(笑)。

(Fさん)
 でも、男としては結構ショックで、畜生俺だってモテるんだ、遊んでやるぅ〜と、大した度胸も度量もないくせに飛び出し、スケベ根性出していい気になってたら、キモを冷やすようなことに巻き込まれて、ヤベ〜っ(笑)。
 こういう経験、男なら一度や二度はあるでしょう(涙)。あの夫婦ケンカでの女のリアクションって妙にリアルで、キューブリックも女では苦労してたんだなと共感しました(笑)。

(ヤマ[管理人])
 そうでしたよねぇ。男の自信や自負なんてものが如何に脆く儚いものかってとこも妙にリアルでしたね(笑)。

(Fさん)
 何せ「2001年宇宙の旅」のリアリティで夫婦喧嘩を描くんですからね。身につまされるわけですよねぇ(涙)。
 最後それでも元サヤに戻るんですけど、何となくホロ苦い。このへんが「夫婦善哉」たるゆえんで(笑)。いやぁ、女には敵わないっす(涙)ちゅうことで。

(ヤマ[管理人])
 ホロ苦いのは、戻ったのがサヤだけであって、男からすると自信も自負も全く取り戻してませんからね(笑)。

(タンミノワさん)
 そうですかあ。私、そこまで夫婦の実感というものを、この映画に呼び起こされなかったのですが・・修行が足りないんだろうか。
 恥ずかしながら、ほんとこの映画に関しては、理解というモノができなかったんですよ。“トム・クルーズが「オレは医者だ」と名刺見せながらN.Y案内する映画”としか認識できなくて。
 やっぱりキューブリックとは合わないのかな。私。あるいは、今見たらもう少し違う見方ができるのかなあ。

(Fさん)
 タンミノワさん、失礼いたしました。僕は独身なんで、夫婦の実感など分かるわけもありません(笑)。ちょっと耳年増でしたね(笑)。
 ただ、いわゆる男女のナニって部分ではリアリティあるかなと。いや、そっちも自信ないです(笑)。

(タンミノワさん)
 いや〜、私も自信ないです。・・ってなんかカミングアウト大会に。
 私は結婚経験ありですが、男と女のことって永遠のなぞです。今でもさっぱりわかりますせんねぇ。
 この映画で、一番よくわからなかったのが、奥さんが性的な妄想を持ったことで、衝撃を受ける夫、です。別に頭で考えただけで実際にしたわけでもないのに、どーしてそんなにショックを受ける??  僕じゃ不満なのか!とでも言いたいんだろうか・・と・・

(Fさん)
 男ってのは、自分の女は他の男に目もくれないって思いたいとこありますからねぇ。でも、大概それほどの器じゃない(涙)。
 キューブリックはそのへん、自戒を含めて苦々しく思って描いているんじゃないでしょうか(笑)。
 実感が呼び起こされないとしたら、そっちのほうが正解かも。本当に分かってる人の方が、あれはリアルじゃないと感じるような気もします。そこがキューブリックらしいかも。
 僕も分かったようなこと言ってますが、ソッチのことは分かってませんよねぇ・・・って、お互いずぅっとこれを繰り返してても仕方ないんで(笑)。

(ヤマ[管理人])
 Fさんへの横入りになってしまいますが、これって性的なこと以上に、自分の想像の埒外だったことに動揺したのではないかと僕は思いました。「自信家ね」と揶揄されるタイプの男にはありがちなことで、訳の分からないことに直面させられると滅法弱いんですよ。
 警告を受けても謎を探ろうとするのも、腑に落ちないことに耐えられない性分というものが影響しているような気がします。

(Fさん)
 ただ、あの夫婦のからみって全然リアルに感じないっていうのは、本当かもしれないと思ったんですよ。一見、リアルに見えるけど、実はよく出来たウソだっていう。キューブリックはリアルな映像を捉える作家と言われるけど、実は全然リアルじゃなくって、明快なビジュアルを捉えたいだけ。
 だから物事を大胆に単純化してしまう。当然、リアルに見えるけど本当はあるべきあいまいさとか、グレーゾーンを極力排除した映画になっているから、実はリアルでも何でもない単純化された世界になっているかと。
 話題はず〜っと先にいってしまったのに、この話やっててもご迷惑かもしれないんですが。こぼれ話をひとつ(笑)。
 あの映画に出てくるニューヨークの場面って、ロンドン郊外のスタジオに建設したセットらしいんです(笑)。だから、何だか妄想というか、不思議な感じがしたのか。
 そういう効果を狙ったんじゃなくて、単にキューブリックがイギリスから出たくなかったようですが(笑)。
 でも、僕はキューブリックってみんな神棚に上げてると思ってたので、逆にこんなに多くの人に嫌われているのかと、ちょっとビックリ。なるほど映画が当たらないわけだよなぁ。

(タンミノワさん)
 あのラスト、おわかりになりました?
 私、さっぱり、なんのこっちゃわからなかったんですが・・
 うう。やっぱりこの映画は理解できなかった。官能に弱い私。修行が足りない。

(Fさん)
 あのヒョットコのお面みたいなやつでしょう(笑)?
 僕も実は分かってなかった。

(ヤマ[管理人])
 僕もよくは判りません。でも、夫のお面だと思ってました。
 少なくとも夫はそう感じてたとみるのは原作と一致するのですが、映画では夫の驚く姿と涙して告白する姿だけですから、何とも言えませんけどね。

(Fさん)
 でも、クルーズがすごい性の深淵を探究してひでえ目にあったとヒ〜ヒ〜言ってたら、嫁さんはとっくにそんなの通過済みと、そういうことじゃないでしょうかね(笑)。

(ヤマ[管理人])
 こういうふうに観るのも面白いですね。夫、ますます立つ瀬ないけど(笑)。

(Fさん)
 最後、一応嫁さんの一言で仲良く終わるけど、ぜ〜んぜん女の方が上にいっちゃってるという(涙)。

(ヤマ[管理人])
 これは、お面をどう観るかによらず、同感です。

(Fさん)
 自分でもこれはいつも思い知らされている事です。男のプライドなんてボロボロズタズタ(涙)。

(ヤマ[管理人])
 ホントにねぇ。とってもかなわないですよねぇ(笑)。

(Fさん)
 そのへんのところは、ヤマさんの方がよくご存じでしょう(笑)。

(ヤマ[管理人])
 お見込みのとおりでございます、ハイ。

(TAOさん)
 Fさん、タンミノワさん、ちょっと仲間に入れてください。私には「アイズ…」の夫婦はとってもリアルに思えました。
 そろそろ倦怠期を迎えてるのに、夫はまるでわかってない。だから、妻はドッキリ発言で脅すんですよね。わかってるの? 私をほっとくと危ないわよって。

(ヤマ[管理人])
 効果覿面!
 いや〜、それ以上の効果をあげ、立場逆転しちゃいましたね。

(TAOさん)
 でも夫は、妻のSOSに気づかず、妄想に囚われてしまう。

(ヤマ[管理人])
 それも明後日の方角でね(笑)。

(TAOさん)
 これ、Fさんがおっしゃるように、普通の男は、自分の妻だけは絶対に浮気なんかしないと思ってるからでしょう。

(ヤマ[管理人])
 ましてや、あの自信みなぎる成功者の医者男ですもんね。

(TAOさん)
 妻ってのは、もう女じゃないと思ってる。フランス男の爪の垢を煎じて飲んで欲しいですね(笑)。で、夫はふらふらと性の冒険の旅に出るんだけど、命からがら戻ってきてみたら、妻はぜんぶお見通し。(と夫には思えた)

(ヤマ[管理人])
 思ってるか思ってないかってだけで、所詮男ですから、フランス男でも、結果は大して変わってないようにも思いますが(笑)。
 まぁ、あんなふうな泣きを入れたりはしないというだけでしょ。

(TAOさん)
 まるでお釈迦様の手のひらで暴れる孫悟空みたい。性の冒険はファンタジーだけど、心理描写はいやになるほどリアルで、ラストは苦〜い。

(ヤマ[管理人])
 おかげで妙に身につまされ、愉快じゃありませんでしたね(笑)。

(TAOさん)
 ヤマさんのおっしゃるように、夫は自信も自負も取り戻してないし、妻にしたって、結局自分の気持ちは理解してもらえず、たぶん一生わかってくれない夫を、ただ子供のように受け止めるだけだなんて。

(ヤマ[管理人])
 少なくとも立場逆転し、妻の引け目は解消されたじゃありませんか。そう多くを望まないでおくんなまし(笑)。閉塞感に満ちた倦怠からすれば、関係性の回復への第一歩と見てあげましょうよ、涙も流したんだし。

(TAOさん)
 せめて、最後に夫はようやく妻の本音に思い至るとか、「Let's FUCK!」じゃなくて、「Let's make LOVE」にしてくれないかなあ。

(ヤマ[管理人])
 え? そんな嘘臭い安直な結末にしちゃうんですか? それって、キューブリックが実際にそうしてたら、真っ先にTAOパンチの餌食になってたような気がしますが(笑)。
 その台詞って確か妻の側のものでしたよね。立場逆転にしても「Let's FUCK!」じゃ、あまりにも品がないってこと(笑)?  でも、凄みがあっていいんじゃないですか?

(TAOさん)
 これがアキ・カウリスマキだったら、どんなにボロボロになっても、ラストでは夫婦が静かに寄り添ってるだろうし(彼の場合、最初から妻が挑発なんかしないでしょうけど)、

(ヤマ[管理人])
 寄り添うなら静かにでしょうね、とても哀しげにね。

(TAOさん)
 ケン・ローチだったら、二人は少し離れたところを歩いているけど、でも、近い将来、歩み寄りそうな希望をかすかに持たせて終わるはず。

(ヤマ[管理人])
 ジョーのようにですか。

*ラストの意味するもの

(TAOさん)
 これ、ほんとに自戒なんでしょうか、Fさん!(笑)
 余命幾ばくもないとわかっていて自戒?
いーや、私には死ぬまでいやーな奴だったとしか思えませんね(笑)。
 ま、夫婦なんて所詮こんなもんよ、わしはもう関係ないけど、みんなよう気をつけーや、夫婦がへたに会話しようとすると命取りになるで〜といってるとしか思えんのですが…(笑)。
 しかし、なんだかんだいって、キューブリックの映画となると、やたら語りたがる私って…(笑)
 ハンドルを<スタンリーTAO>にしようかな。

(ヤマ[管理人])
 やはり近親憎悪なんでしょうね(笑)。←軽く流して下さい(詫)
 それはそうと『アイズ・ワイド・シャット』の日誌は、'99.8.5.のものなんで順番から行くとまだまだ先になるんですけど、もしかしたら、今がアップどきなのかもしれませんね(笑)。

(TAOさん)
 ハンドルを<スタンリーTAO>にしようかな、なんて。やっぱ近親なのかしらね(笑)。
 まるでリングネームだ(笑)。

(ヤマ[管理人])
 あ、それだったら、<パンチ・タオ〜>でしょ(笑)。

(タンミノワさん)
 こんばんわ。
 なんか皆様の解釈を読んでて、「おおそうかあ」と口をぽかんと開けております。
 TAOさまパンチによると、要するに、最後にニコ妻は開き直って「Let's FUCK」と言ったということなんでしょうかね?  「も〜しょうがないわね〜」と言った心境で・・

(ヤマ[管理人])
 このときの妻の心境を読み取るのは、なかなか難しいですね。女性の観客でも種々意見が分かれそうです。まして 我々男どもは、ほう、なるほどぉと拝聴するのみですね(笑)。
 でも、しょうがないわね〜ってよりはもっと主導的な感じがしなくもなかったですが、心境的にはどうなんでしょうねぇ。  女性ははかりしれません(笑)。

(タンミノワさん)
 ヤマさんが「“自信家ね”と揶揄されるタイプの男にはありがちなことで、訳の分からないことに直面させられると滅法弱いんですよ。」とおっしゃるように、あの映画の夫トム君も、「俺は医者だぞ」と名刺見せながら歩いているキャラでしたね。

(ヤマ[管理人])
 うん、ちょっとおめでたいほどの馬鹿さ加減をトム・クルーズがよく演じてましたね。

(タンミノワさん)
 しかし、理不尽な理解不能な出来事に出会って、人は成長していくもんなんで、ここは一つ乗り越えてもらいたいもんだ、と私は思うのですが。

(ヤマ[管理人])
 あの馬鹿医者は、成長したんだと思いますよ。少なくとも人の心や現実には計り知れぬ世界があることを学んだはずなのです。

(Fさん)
 男ってのは、自分の女は他の男に目もくれないって思いたいとこあるって言ったのには、自信満々ってとこもあるんですけど、そう信じたいってもろいプライドみたいなとこもあるんだと思うんですよ。

(ヤマ[管理人])
 現実の大半の男の場合、かの夫のような形での自信満々になれる材料を持ってないとしたもんですから、「もろいプライド」や願望だったりしますよね。

(Fさん)
 男がみんながみんなそうだと言うのは違うかもしれないけど、女性から見て、自信過剰のアホって見えるのは、実はそんなに分かりやすいもんでもないわけでして。
 例えばこの主人公だったら、自分は浮気なんかしないし、仮に(!)したとしても、必ず女房のとこに戻ってくる、それは愛してるからだ・・・と、こう確信してると思うんです。

(ヤマ[管理人])
 あの性の迷宮をさすらいながらも、結局のところ何もいたさずに帰ってきてましたね。でも、僕はそれを虚弱さとして観てたんですけどね。

(Fさん)
 でも、あのカミさんの雰囲気はそんな自分と同じようには夫からは見えなかったわけで、ヤバい・・・と思っちゃうんですよ。

(ヤマ[管理人])
 根性勝負になったとき、男は女の強さの前にひるみ、びびってしまいがちですね(笑)。

(Fさん)
 男には女が必要で、これは必需品なんですよ。だけど女には男は必ずしも必要じゃなくて、なくてもいい。時に、ないほうがいい。まぁ、嗜好品ってなとこでしょうか(笑)。そのへんの不安定さの崖っぷちにいつも男はいるんですよ。時にそれを忘れてデカイ態度に出ますが(笑)。

(ヤマ[管理人])
 デカイ態度を許容してもらうことで、嗜好に留まらぬ必要性を幽かな手応えとして感じようとしているのかもしれませんよね。そして、そのほんのささやかな手応えで、時として女性のきまぐれ次第に左右される受容を手がかりに妄想的な自信を深め、もろいプライドをからくも支えているのかもしれませんね(笑)。

(Fさん)
 あの映画のクルーズが代表する男に成長を願ってもそれは無理です(笑)。男だから(笑)。ちょっとばっかし用心深くなる程度でしょう。

(ヤマ[管理人])
 こりゃあまた身も蓋もない(笑)。

(Fさん)
 それと同時にキッドマンの女も成長は出来ないのです。女って大人だから。大人って決して自分が悪かったと反省しないですからね(笑)。

(ヤマ[管理人])
 女性のあの揺るぎなき自己肯定感というものを初めて目の当たりにしたときは、確かに鮮烈なショックを受けますよね。懐疑的であることを少々気取っていたりする男の馬鹿さ加減が浮き彫りにされたようなカルチャーショックを受けた記憶が小学校時分にありますねぇ(笑)。あの時期に出会う「ジョシ」ってのは凄いですよ、ホンマ(笑)。

*男も女も己知らずの同類項

(TAOさん)
 でも、女もそんなには強くないんですよ(笑)。弱いからこそ、夫に妙なSOSを発してしまうわけで…。母親役ばかりやらされていると、ときには甘えたくもなるんですよ。まして、今の女性は、男性化しているだけに、昔の女のようには強くなれないんです。

(ヤマ[管理人])
 これ、実に説得力あり!ですな。それでもまだ、男よりゃ強いって気がするけど。

(TAOさん)
 女だって後悔もするし(ほんとはしてるけどしないふりをする(笑))、大人にもなれないから、男性の女々しさに対してよけい腹が立つんじゃないでしょうか。

(Fさん)
 いや。これはそうですね。男も女も大人になれない。というか、ここで思い出すのは、なぜか「シェルタリング・スカイ」なんですよ。
 あれも僕にとっては、分かってない奴らが分かった気になって、いい気になってたらドツボにハマって、あぁ、自分たちって分かってなかったんだなぁと分かったとこで、旅の終わりがやってくるってお話でして。

(ヤマ[管理人])
 おお、なるほど。連想力の豊かさはテクストで常々敬服しているところですが、これは実に刺激的な引用ですよ。

(Fさん)
 僕も含めて今の人間には、自分が「分かってない」ことが分かってない(笑)。

(ヤマ[管理人])
 「無知の知」って言葉がありますよね。これこそが最も到達困難な知の地平だと。

(Fさん)
 今の世の中、男も女も自分がバカだった、自分が悪かったと、認めることが出来なくなってきてますよね。悪いのもバカなのも、全部人のせいというか。

(ヤマ[管理人])
 ほんとにそうですね。...僕も自戒も込めて(笑)。

(Fさん)
 うまくは言えないんですけど、そのあたりに、この「アイズ・ワイド・シャット」に通じる何かを感じてしまうんですけどね。

(ヤマ[管理人])
 なるほど、なるほど。何かあの作品がまた少し違って見えてきそうな視線を示唆していただいたような気がします。

*意味深長なタイトル

(Fさん)
 「アイズ・ワイド・シャット」=目をでっかくつぶるって矛盾したタイトルの由来っていうのも、このへんの「分かってるつもりで分かってない」ということを意味してるのでは?と個人的には思っております。

(ヤマ[管理人])
 なんか触発されちゃったうえに、これを観て、思わず調べてみました。
 「シャット・アイズ」という言葉には日本語の「目をつぶる」と同義の不問に付すって意味があるようです。さらに「ワイド・アイズ」には「配慮を行き届かせること」という意味があったりするようです。しからば『アイズ・ワイド・シャット』とは?
 遠謀深慮ととも不問に付すってな意味深長なイメージが湧いてきましたよ、Fさん。
 分かってないことを思い知る、無知であることを知ることの帰結としては卑近と言えば、卑近ですが、身につまされますな(笑)。

(Fさん)
 ヤマさん、英語講座のお時間がやってきました(笑)。

(ヤマ[管理人])
 なんと大胆な! こちらには、Gattaさんも菜穂美さんも、おいでになるんですよ(笑)。

(Fさん)
 僕もあのカキコした後、ちょっと気になって辞書見たんです。考えてみると、単に目を閉じることを意味するなら、「close」が一般的ではないですか。「shut」って聞かない。

(ヤマ[管理人])
 ええ、ええ、また似たようなこと考えてたんですね(苦笑)。

(Fさん)
 だから、何か意味あるだろうと思ってたんですが。まして「でっかくつぶる」というんだから、英語としてもかなり特殊な言い方のはずですよね。
 「すべて承知の上で目をつぶる」なんですかね? そういや、世の中気付いていても知らないふりしたほうがいい、あえて見ないほうがいい、分からないほうがいいこともある・・・てな意味にも受け取れますよねぇ。
 何とも複雑怪奇なのは男女の仲(笑)。

(タンミノワさん)
 きゃ〜ぱちぱち。Fさん、「わかって」らっしゃる!

(ヤマ[管理人])
 Fさんの核心部分ですよ。サイトにアップされている数々のテクストを概観すると、この「わかってらっしゃる!」をきっと連発してしまいたくなります。
 TAOさんの発言「みんなよう気をつけーや、夫婦がへたに会話しようとすると命取りになるで〜といってるとしか思えんのですが…」ってのが今さらながらに効いてきますなぁ(笑)。

*わかり合うのが難しい男と女

(タンミノワさん)
 弱いもの同士、わかり合うのが難しい者同士、ってことがわかってないと癒しあえないですよね。 う。映画とは離れてしまいましたかね。

(Fさん)
 タンミノワさん、ご賛同いただき嬉しいです。「弱いもの同士、わかり合うのが難しい者同士、・・・」という意識って大切ですね。あらかじめ簡単には分かりあえないぞと覚悟しながらも、それでも分かりあおうとしなくちゃねぇ。でも、それがなかなか難しい。

(ヤマ[管理人])
 ほんと、これが存外むずかしいものなんですよねぇ(シミジミ)。

(Fさん)
 所詮決して分かり合えないのだ・・・というのが、この「アイズ・ワイド・シャット」のエンディングじゃないでしょうか?
 ちょっとペシミスティックすぎる意見でした(笑)?

(ヤマ[管理人])
 映画のもたらすものとしてはそういう苦さが籠もっていますが、僕自身の対女性観はもう少しオプティミスティックで、たとえ分かり合えはしなくとも交感できる楽しみや喜び、癒しのようなものは生きていくうえで掛け替えのないもので、その掛け替えのなさは、永遠に分かり合えはしない異質さこそがもたらしてくれるのだろうと思っています。

(TAOさん)
 そうそう、これですよね。共に弱い者同士、支え合って生きていけるといいなと思います。

(ヤマ[管理人])
 それぞれの強さ弱さが補い合える形でうまく凹凸が嵌まると気持ちいいですよね(笑)。
 強いとこ同士がぶつかりあったり、弱いとこ同士を舐め合ったりするのも、それはそれで味もあるのでしょうがね。

(Fさん)
 ええ。ええ。僕もそう思いたいんですが(笑)。スタンリーのキューちゃんの場合はどうだったんでしょうねぇ。実は僕もこのエンディングには揺れてるんですよ。

(ヤマ[管理人])
 ビミョーですよね。僕は、苦いものを含みつつ、オプティミスティックなラストでキューブリックにしてはってな感じで受けとめてました。

(Fさん)
 最初の頃は、僕もこの映画のエンディングはキューちゃんにしては意外にオプティミスティックでやり直せると言ってると。実はこのやりとりの中でも何度も論議に挙がってるセリフ、ラストのキッドマンの「FUCK」についても、僕はキューちゃん意外な楽観主義に照れに照れて、最後あんな柄にもない下品な一言でオトしたんではないかと。

(ヤマ[管理人])
 なるほど。ちょっと唐突だったように思ったんですが、ここに自分らしさを込めて一発くさびを打ち込んだってことですか。自分の日誌でも、ちょっと線の細さを感じると綴ったのでしたが、原作に忠実に映画化すると、なにせ前々世紀の小説ですもんね、今からすれば奇異なくらいの倫理感覚が気になっていたのかもしれません。
 基本線での原作に忠実に映画化する方針は崩さずに、どのように自分のものとしていくのか、腐心のくさびだったのかもしれませんね。

(Fさん)
 あれを英語で言うからいかんのです。「一発やっか?」と言えば何となく分かるでしょ(笑)?

(TAOさん)
 やーん、これ、とってもいいと思います。Fさん。

(ヤマ[管理人])
 今度お使いになってみてはいかが?(笑)

(TAOさん)
 Fさんのところで、台詞の正しい翻訳コーナーをつくりません?(笑)

(Fさん)
 うえ〜ん、僕ちゃん怖かったよぉ〜とキッドマンの胸に帰っても、不安が消えないクルーズくんへの最後の一言としては、何となくこの解釈が、自分としてはピッタリくるんですが(笑)。

*男女ともの表と裏

(Gatta@Pegasoさん)
 何だか難しそうなお話が続いていますね(^^)
 Gattaは、英語は専門じゃありませんので、菜穂美様にパスです。アホアホなGattaの頭の中ではShutもCloseも変わらないような気がしておりますけれど(どちらも使うような気がするのですが・・・)。アホアホなので間違っている確率高し(笑)。

(Fさん)
 そうなんですか。あまり「shut」って聞かなかった気がしたもんで(汗)。でも、このタイトルって考えれば考えるほど、ウンチクありそうで。

(ヤマ[管理人])
 俄か仕立ての辞書頼りの話ですから心許ないのですが、ともあれ日本語同様「不問に付す」という意味があるところにシビレたんですよ(笑)。

(Gatta@Pegasoさん)
 Shuteyeで睡眠とかいう意味もあったような気が・・・間違って覚えてるだけかも(笑)
 ところで「アイズ・ワイド・シャット」??これって、ラストは途中にあったんじゃないかって気がしておりますの。男女とも二面性を表しているような・・・。表と裏。

(Fさん)
 確かに「もう一つの目」ってセンもありかもしれません。

(ヤマ[管理人])
 妄想と現実、仮面と素顔、夜と昼、etc。その隔たりとどう折り合っていくのかってことですよね。

(Gatta@Pegasoさん)
 TAOさんの言葉を借りれば「Let's Fuck!」は人間の本能、裏の顔。「Let's Make Love」は表の顔なんじゃないかなっておもったりするんですが・・・。

(TAOさん)
 Gattaさんのこの意見、とてもいいなと思いました。そう考えたほうが、だんぜんいいですよね。

(ヤマ[管理人])
 二面性っていうか、観たまんまでは窺いしれない闇を抱えているのが人間だっていうのが、根底にあるのでしょうからね。

(TAOさん)
 医者のトム君も少しは社会勉強したんだし(笑)。

(ヤマ[管理人])
 そうそう。

(TAOさん)
 となると、「しょうがないわねえ〜」よりも、「いいから、私についておいで」って感じ?(笑)

(ヤマ[管理人])
 うんうん、これイイですね。こんな感じを受け取ったように思いますよ、確かに。でもって、やっぱ女にはかなわないよなぁなんてね(笑)。

(TAOさん)
 このときの妻の心理、もう少し付け加えるなら、あーあ、夫にあんな話をするんじゃなかった!仕切り直さなきゃ、という思いもあるんじゃないかな。

(ヤマ[管理人])
 前段はともかく、後段は同感ですね。見よ!この潔さってなもんだ(笑)。

(TAOさん)
 少なくとも、この時点で夫を見切ってはいないと思います。

(ヤマ[管理人])
 ええ、そうでしたよね。

(ミキさん)
 ヤマさん、ごぶさたしてました。
 「アイズ・ワイド・シャット」盛り上がっていますね(笑)。みなさんの、男女(夫婦)観が垣間見れて面白いです(笑)。

(ヤマ[管理人])
 僕も非常に刺激を受けてます(笑)。

(TAOさん)
 タイトルの意味も昨日からひどく気になっていたところでした。ここに来るとためになるなあ。

(ヤマ[管理人])
 お訪ね下さる皆様の賜物ですね(ニコニコ)。

(TAOさん)
 いくら目を見開いても、見えないことはいっぱいあるし、大事な物は往々にして見えない。(by星の王子様)
 つまり、みんな<あきめくら>ってことかしら? これで<心の目を開け>なんて意訳しちゃうと、「キューちゃん」っぽくないぞ(笑)。
 それにつけても、未消化で気になっている作品のことをしつこくあーだこーだと言い合うのって、とっても刺激的で楽しいですね。

(ヤマ[管理人])
 ホントにそうですね。ひとりであれこれ思いを巡らせるのもいいけれど、こんな刺激と触発は得られませんものね。ちょっと悪ノリして、前に『愛さずにいられない』の日誌をアップの順番を待てずに掲示板で臨時掲載した例に倣って『アイズ・ワイド・シャット』の日誌を掲示板に書き込むことにしますね。

  (ここで予定を繰り上げて管理人の日誌をアップしました。)

*様々な解釈のもたらすイメージの膨らみ

(ドンドコ屋さん)
 最近話題沸騰の「アイズ・ワイド・シャット」、僕はまだまだオコチャマなので、皆さんのお話に加わりにくいんですが、ヤマさんの号外日誌を拝読してひとこと。
 ヤマさんが最後の方で書かれてたことと関連するかと思うんですが、この映画、ニコールの告白とか、言葉で説明するところが多いような気がして、それがキューブリックにしては、とくに遺作としては、ちょっと残念でした。

(ヤマ[管理人])
 夫婦間の告白ものですから、そうなりがちですが、問題の仮面といい、ダンスシーンの異様な長さといい、性の迷宮の怪しさと不可解さといい、言葉での説明は相当に排されていたように僕は思ってました。だから、さまざまな解釈の生まれる余地があるように思います。
 僕も日誌を綴ったときは、あの台詞を唐突に感じたのですが、この掲示板でTAOさんから妻の心境を示唆され、Fさんからキューブリックの腐心のくさびのようなイメージも与えられ映画作品としては、あれでよかったのかなと思い直しております。

(ドンドコ屋さん)
 もちろん一瞬たりとも退屈することなく、ずーっと画面に見入ってたんですが、観終った後は、2時間40分もかけてこれだけかいな!? と、思ってしまいました。

(ヤマ[管理人])
 これは、確かにありましたよね。思い起こせば、まずこの印象があっての「線の細さ」なんて思いだったのかもしれません。

(Fさん)
 確かにねぇ、でも「2001年宇宙の旅」のボリュームで痴話喧嘩を描いてたと思うと、変に圧巻だったりして(笑)。

(ドンドコ屋さん)
 しかし……ヤマさんもトムと同じ目に見舞われていたとは、心中お察しいたします(?)。

(ヤマ[管理人])
 はぁ、困ったもんですよ。別に妻からの告白があったわけでなく、Fさんが書いてたような冒険を試みたわけでもなく、あくまで「無自覚に抱いていた確信ないしは現実認識を突如揺るがされたことによる動揺のもたらす不安と狼狽」ということなんですけどね。
 思い込みって思い込みの自覚がないとこがキツイんですわ(笑)。

(Gatta@Pegasoさん)
 先ほど興味深く号外日誌を拝見しました。
 Gattaはニコールのあの鏡張りのお部屋の鏡の目こそ、Eyes Wide Shutの状態のような気がしてならなかったのですけれど。

(ヤマ[管理人])
 おお、なるほど。

(Gatta@Pegasoさん)
 目を大きく閉じたことによって、生まれた本能の目(眼差し)という気が・・・(笑)この作品、本当に賛否両論飛び交っていましたから(^^)

(ヤマ[管理人])
 その場合の目を閉じることの意味は、不問に付すのではなく、夢・妄想・内面の世界へと目を開くことを意味するわけですよね。僕なんかも最初はこのイメージのほうが強かったように思います。ここでのやりとりのなかで、ダブル・ミーニング的にイメージが広がってきたということでしょうかねぇ。

*やっぱり女性にはかなわない?(笑)

(belletさん)
 ヤマさま、みなさま、こんばんは!「アイズ・ワイド・シャット」で盛り上がっているのですね。
 あの枕元の仮面、誰が置いたのでしょう。私はそれが、とっても気になっています。妻か、組織の手の者か・・・。どちらとしても、怖いですよね。

(ヤマ[管理人])
 どうにでもとれるようになってるところが効いてるんですよね。原作では、夫のうっかりを妻が発見しての問いかけの印のように書かれていたと思います。僕もbelletさんと同じような気がかりも抱きつつ、映画でも原作と同様に解していたと思います。

(belletさん)
 妻はあの会場に居て、仮面をはがされたぶざまな夫の一部始終も全て知っていたのでは・・・などと妄想しています。

(ヤマ[管理人])
 これはFさんもここに書き込んでおいででしたが、

(belletさん)
 これ以上夫にうろうろされては自分が羽根を伸ばせなくなるので、恐怖心を与えて黙らせ、釘を指したのだとすると・・。

(ヤマ[管理人])
 ここまではお書きになってませんでしたね(笑)。

(Fさん)
 それって怖すぎませんか? ひえ〜。でもありえる。あんたはあんたの器に合わせて遊びな、と(笑)。

(belletさん)
 ああ〜、何とも怖いではありませんか。

(ヤマ[管理人])
 全くそのとおりですね。やっぱ、女性にはかないませんや(笑)。

(TAOさん)
 ヤマさん、臨時の措置に感謝します。やっぱり今、読みたかったので、うれしいな。

(ヤマ[管理人])
 そう言っていただけると嬉しいです(ニコニコ)。

(TAOさん)
 「夫が妻の告白に捉われるとすれば、彼のキャラクターなら、映画で表現された見知らぬ下士官と妻の性行為のイメージよりも、妻が何故あえて自分にそのことを言葉にして表現してきたのかということのほうではないのかという気がする。そこにどんな思いと意図があるのかを探りたくなると思う。」
 私もまっ先にこう思いました。これがいちばん腹立たしいところです(笑)。こういうとんちんかんな男なら、トム・クルーズがぴったりだろう、とキューブリックが狙ってるんじゃないかと思って。

(ヤマ[管理人])
 そうですよねぇ。僕は腹まで立ちませんでしたが(笑)。

*トム・クルーズのキャラクター

(TAOさん)
 トム・クルーズって、とっても好きなんですよ。「ザ・ファーム」でも「ア フュー グッドメン」でも、最初はいかにもお馬鹿さんなのに、いつも意外な粘り腰で窮地を脱出するでしょう。

(ヤマ[管理人])
 僕もけっこう好きでして、『カクテル』なんぞが気に入ってます。あの小生意気なとこが嫌みにならない個性を羨んでおりました(笑)。どことなく漂うお馬鹿さが愛嬌になるんでしょうかね。

(TAOさん)
 これ、小賢しい女にはなかなか真似のできないところで、こういうところに「男の子」の底力を感じるんですよ。「ザ・エージェント」でも粘りに粘って「男になる」じゃないですか。

(ヤマ[管理人])
 うんうん。これって確かにあまり女の子的じゃないですね。男にもいいとこもあるんだ!(笑)

(TAOさん)
 この粘りこそが私にとってトム・クルーズの最大の魅力なのに、「アイズ…」ではちっとも粘らせてくれない。じつは私、そこがいちばん不満なのかもしれません(笑)。

(ヤマ[管理人])
 男は我慢と長持ちが肝心だって(笑)? う〜ん、つらいなぁ。

(TAOさん)
 やっぱり男は我慢と持続でしょう、ヤマさん(笑)。

(ヤマ[管理人])
 馬鹿でも何でもとにかく粘れ、持たせろって? コワイなぁ(笑)。

(Fさん)
 TAOさん、そうなんです。クルーズって青二才やらせると異常にうまいんですよね。彼もそれを分かってる。 僕が彼を買ってるのはそこなんですよ。
 でもって、男の子ってのは女の子がいないと、女の子と関わり合って初めて男になれるようなとこが
ありまして。いや、情けない。でも本当なんですね。

(TAOさん)
 「妻に仮面の存在を知られたのをきっかけに一夜の秘密の出来事をいとも簡単に自ら語り始めたのも少し唐突な気がした。」
 これに関しては、すこしわかる気がします。大人になるきっかけって、自分だけの秘密を持つこと、秘密の大きさに耐えることだと思うんです。

(ヤマ[管理人])
 同感ですね。異論ありません!

(TAOさん)
 それに耐える力がないと、大人にはなれない。つまり、彼はまだ子供なんだということを表現したかったんじゃないでしょうか。

(ヤマ[管理人])
 なるほど、トム・クルーズのキャラに即してますね、確かに。

*イヤな奴だが、すごい奴!

(TAOさん)
 しかし、なんだかんだいって、キューブリックはすごいですね。こんなにいろんなネタを提供してくれるんですもん。しょうがない、そこは認めましょう。イヤな奴だけど(笑)。

(ヤマ[管理人])
 あれこれ話し合っている内に遺作が認めてもらえて、キューブリックも草葉の陰で喜んでいることでしょう(笑)。

(たどんさん)
 ちょっと転がってるうちに、中味の濃いおはなしー♪で、一気読ませていただきました。

(ヤマ[管理人])
 ありがとうございます。僕にとっても実に刺激的なやりとりです。

(たどんさん)
 たどんは、ラストの一言に落涙しちゃったんだけど、おかしくないよねー?(勝手に納得・得意技)あぁ・・よかったー。
 たどんは、この作品見て、キューブリックさんて、肉親の女に囲まれて生活してたような気がしたんだけど(つまり、男兄弟や子供に♂がいないような)、何処探しても、経歴わからないんですけど、ご存知でしたら教えて下さいませm●m

(ヤマ[管理人])
 おっとこれはまた思いがけない切り口ですね。僕は、こういう方面の知識には全く疎いので、どなたかご存じの方、よろしくお願いします。

(Fさん)
 たどんさん、はじめまして。
 そう言えば、あのカミさんが執拗にからんでくるあたりの迫力。女を知らない奴だと描けないですよねぇ。

*『ザ・デッド』への連想

(TAOさん)
 もうひとつ、この話で思い出したことがありました。ジョン・ヒューストンの遺作となった「ザ・デッド」です。

(ヤマ[管理人])
 残念ながら、未見です。

(TAOさん)
 ご覧になってない方のために、ごく簡単に紹介すると、
 ささやかながら心のこもった、身内だけのパーティが終わって、主人公夫婦が馬車に乗って帰っていきます。夫はいつになく妻をいとおしく感じているのに、隣に座る妻は、片時も忘れることのない初恋の人、自分のために命を捨てた青年のことを考えている。長い間連れ添った夫婦の心の亀裂をさりげなく描くんです。
 妻の初めての告白を聞いた夫は底知れぬ虚無感にとらわれます。自分の人生はなんだったんだろう。自分は妻のどこを見てきたんだろう。
 このあたりはちょっと「アイズワイドシャット」に似てるんですよ。

(ヤマ[管理人])
 そうですね。

(TAOさん)
 でも、このあとがずいぶんちがう。
 夫のごく個人的な感慨は、いつしか生と死をみつめる深い洞察に変わり、やがて静かな諦念にも似た境地へと彼は導かれていきます。

(ヤマ[管理人])
 何だかそそられますねぇ。観てみたいな。

(TAOさん)
 そして、暗いダブリンの街に降りしきる雪が、生者と死者を等しく癒すように降り続けるのです。
 「アイズ」の夫婦がまだ若く壮年期であったのに比べ、こちらは初老を迎えているために、宗教的な救いが入ってくるのかもしれません。残酷だけど、でも癒しのあるとても美しい作品でした。

(ヤマ[管理人])
 その端境期にいる僕は、どっちがより身につまされるのだろうと大いに興味を覚えました。

(Fさん)
 「ザ・デッド」僕も好きなんですよ。例え何がどうあれ、生ける者にも死せる者にも平等に雪は降りつもるのだってラスト。そういう意味じゃあ、しょうもないけど男も女も一緒にやってくしかないんですよねぇ(涙)。

(ヤマ[管理人])
 確かに(笑)。『ザ・デッド』は僕、未見なんですけどね。

(Fさん)
 ところで、ヤマさん、号外うれしかったです。

(ヤマ[管理人])
 ありがとうございます。

(Fさん)
 「夫と妻が互いにそれまで知らなかった相手の一面を、それぞれが覗いてきた世界を語り合うことでショックを受けながらも、新たな出会いとして確かめ合う。そして、そのことによって関係性の再生を予感させるのだ。」
 これには泣けました。それしか出来ないんですよねぇ。って、そればっかし(笑)。

(ヤマ[管理人])
 機微にさどいFさんにそう言っていただけると嬉しいですね。

(タンミノワさん)
 こんばんわ。なんか、あまりにも読んでついていくのに必死で、入れなくなっておりました。

(ヤマ[管理人])
 そうでしょ、そうでしょ(笑)。あっという間に件数がかさんでいってますものね。僕もレス打つたびに軽い眩暈に見舞われてましたよ(笑)。
 でも、話が面白くて、ついつい止まりませんでした。

*冷めた目と仮面

(タンミノワさん)
 号外、興味深く拝読しました。仮面は、映画見た時は、何も考えず「仮面夫婦」の意味での仮面なんだろうとか思ってました。それじゃ、そのまんまですね。

(ヤマ[管理人])
 もちろん意味的にはそうですよね。人がかぶっている仮面の下には...っていうとこ、フロイトとも親交があったらしいシュニッツラーの原作時点で意図されてたものだと思います。

(タンミノワさん)
 私もGattaさんと同じく、鏡の中のニコの目が「アイズ・ワイド・シャット」に感じました。あの冷めた目。

(ヤマ[管理人])
 やはりただ者ではないと日誌に綴っていた僕としては、Gattaさんのこの書き込みは嬉しかったですね。

(タンミノワさん)
 馬鹿みたいに見えたトム君・・ わかる気が・・(笑)。

(ヤマ[管理人])
 男ってそんなもんですから、暖かく見てやってくださいな(笑)。

(タンミノワさん)
 人間は野生が目覚めると、倫理が滅ぶ、と言いますが、あの夫婦はあの後どうなったんだろうか・・。

(ヤマ[管理人])
 互いの理解が深まり、関係性が空疎から濃密へと変貌するなら多少のアブ・ラブはいいんじゃないですか?

*再びトム・クルーズ

(TAOさん)
 いやートムがこんなに認められていたなんて、うれしいな。

(ヤマ[管理人])
 僕も意外ですね。以前から口にする度に???って反応でしたから。

(TAOさん)
 私、「ハスラー2」が衝撃的な出逢いでした。普通、あの手の主人公って、途中で改心するでしょ? それなのに、トムは最後までアホが治らず、しょうがないからポール・ニューマンが御大みずから勝負に乗り出しちゃう。この底知れぬアホぶりはただ者じゃない、と感銘を受けました(笑)。

(ヤマ[管理人])
 でも、これって褒めてんだか(笑)。

(Fさん)
 トム・クルーズの調子こいてる青二才ぶりって素晴しいですね。

(ヤマ[管理人])
 うん。なんか愛嬌ありますよね。

(Fさん)
 で、あの青二才ぶりって、彼のモテぶりからあまり言われないんですけど、男の最大公約数的なキャラって感じもしますよね。自信マンマンなアホっていう(笑)。

(ヤマ[管理人])
 いかにも男性的おめでたさが微笑ましいですね。

(Fさん)
 考えようによっては、男映画を撮り続けてた黒澤映画にも、あの手の青二才キャラはいつも出てきましたよね。「姿三四郎」から「赤ひげ」まで。「赤ひげ」だと加山雄三ってそれじゃないっすか?? 若手スターの中で彼が頭一つ上に出た理由って、そんな男の最大公約数キャラを演じられたからじゃないかとひそかに思っております(笑)。

(ヤマ[管理人])
 おお、これは慧眼ですね。加山雄三って男からも支持されてたんですよね。トム・クルーズ的魅力を、日本ではトム以上に顕著に発揮していたのは、確かに彼ですね。

(Fさん)
 それに、結果的にいつも、俺ってバカだったな〜と思い知らされるわけで、決してカッコマンじゃないんですよ。そこがまた共感ですよね、男の目から見ても(笑)。いかがでしょう、ヤマさん??

(ヤマ[管理人])
 ここが大事なんですよ、悪意なきバカ! ずるさのないバカさ! それがイチバン大事ぃ〜♪ってね。

(Fさん)
 珍しくカッコマンやった「M:I-2」でのキメっぷりも、ほとんどギャグすれすれで、やりすぎくらい(笑)。あれ、普通の人だと照れますよ現場で(笑)。それを照れずにバカやりまくってるのがエライんです。僕はマジで高く評価してるんですよね(笑)。

(ヤマ[管理人])
 同感です。そんな僕がそりゃあキャラ違いだろうと思ったのが『7月4日に生まれて』でしたね。でもって、キャラ的にはその線なんだけど、いささか度が過ぎ、愛嬌なしのアホさだけが際立ってしまったのが『マグノリア』で、この二作のトムは、ファンとしては残念なものでしたね。

(ようこさん)
 キューブリックってあんまりよくしらんので、彼のねじれ具合がようわかりませんが、先に原作よんじゃってると「やっぱてめーもフロイトかあ」と思うだけだったよーな。(世紀末ウィーンの謎めいた雰囲気を現在NYにそのまんま移しかえるから不思議なことになるんですなー)かなり解りやすい筋にはなっていたけどね。

(ヤマ[管理人])
 おっ「ですなー」と来ましたね。先日、NHKの『クイズ、日本人の質問』だとかいう古館司会の番組でね、40代になるまでは、ほとんど使われないのに、なるとめっきり使用頻度が高くなる言葉ってのが出題されてて、それがこの「ですなー」と親戚の「ますなー」だったんですよぉ。
 おやぢ入ってきてますね(笑)。おやぢサイトに適ってますなー(笑)。
(「ますなー」使ってなくてよかったね。)

(ようこさん)
 ニコールは、世紀末的雰囲気を醸し出してるけど、如何に悩んでいる演技してもそうは見えない単純なところがトムって憎めない。

(ヤマ[管理人])
 これ確かに言えてるような気が(笑)。ふと『レインマン』思い出してしまいました。けっこう懸命にやってたような気がしたんですよ、ふと(笑)。

(TAOさん)
 つい先日、おりしもうちで話してたんですが、最近、男で苦労している友人の素朴な疑問。「なんの挫折もない男が、そのまま屈託なく歳を取ったら、どんな人になるんだろう?」 すかさず夫がこう答えました。「そりゃ、決まってる。加山雄三だ」

(ヤマ[管理人])
 イメージ的には解る気がするところがありますが、彼自身は、大借金やら大怪我やらでけっこう難儀したんじゃなかったっけ。

(TAOさん)
 トム、いまは好きだけど、このまんま歳を取ったら、ちょっといやかもしれない(笑)。

(ヤマ[管理人])
 トムはトムを貫いてこそのトムですから、そう言わずに(笑)。

(TAOさん)
 ニコールに捨てられて、少しは陰りなんかも出てくるかしら?

(ヤマ[管理人])
 無理なんじゃないでしょうか(笑)。あの笑い顔に翳りは似合いませんよ。

(belletさん)
 最近まで、トム・クルーズは、日本で言えば吉田栄作だなと思っていたのですが・・・。却下? 

(ヤマ[管理人])
 よくそんなもんが引き出しから出てきましたね(笑)。却下なもんか、大いにうけました!

(belletさん)
 ですが、最近何かで久しぶりに栄作さんをみかけたら、別人のようになっていました。な、何が彼に起こったのでしょ。

(ヤマ[管理人])
 性の迷宮でも旅してきたんでしょうかね、仮面つけて(笑)。

(Fさん)
 栄作と言うと・・・何だか佐藤栄作を思い出しちゃう僕は、古い男なんでしょうね(涙)。
 実は僕もなぜか今日、吉田栄作ってどうしちゃったんだろう?と思ってたんですよ。凄い偶然! ホントにどうしちゃったんでしょう??
 何で吉田栄作を思い出したかというと、今日「こころの湯」って中国の映画を見たからで、「こころの湯」から「心の旅」を思い出したという(笑)。 せっかく盛り上がってたのに、失礼いたしました(笑)。


by ヤマ

掲示板『間借り人の部屋に、ようこそ』より



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