■御蔵島2

日 程02.6.7〜9
内 容3ドルフィンスイム
透明度2〜8m
水 温20〜24℃ ウエットスーツ
見た魚ミナミバンドウイルカ、アオウミガメ
   


御蔵島には一度、三宅島ステイで行ったことがあるのだが、御蔵島に渡る時の大荒れの海、体力的にハードなドルフィンスイムと、その後は二の足を踏んでしまい、大好きなイルカも水族館でしか見る事がなかった (^^;;  しかし、ふとしたきっかけで誘われて再びドルフィンスイムに挑む事になり、3月中旬に宿などの予約をしてもらった。

しかし、ダイビング歴は8年で146本とそこそこあるものの、スノーケリングは波間に漂う程度のお遊びしか経験なく、潜ったとしてもいいとこ2〜3m。 いきなりの本番では不安が残るため、プールでの練習を紹介してもらい、5/18(土) 19:00〜21:00 辰巳国際水泳場で開催された「クラブドルフィン」の練習にビジターで参加させてもらう。 縦横25×25m、深さ5mのダイビングプールがあり、この日は2つのクラブで借りてて左右半分での利用で、各自が思い思いに練習し、代表者の市川氏が気づいた人に色々とアドバイスをしてくれる、というとてもフランクな感じである。

スノーケルもスクーバではほとんど使わないので使い慣れてなく、真水のプールに水着だけでは体も沈みがちで、水深5mのプールに入った瞬間は結構ドキドキするものである。 まずメンバーの方に教えてもらいながらのチャレンジで、ジャックナイフで潜るのはなんとかOK、しかし、少し息を吐いて立ったままの姿勢で水底に降りて行くのは、腹が水圧で押されるせいか息苦しくてNGである (^^;;  しかし次第に慣れてきて、水底に腹ばいになったり、水底に立ったりするのも何とかできるようになり、まさに行っといて良かった、という感じである。

しかし、普段から練習してる方々は、水底付近でペアでグルグル回ってイルカと遊ぶシミュレーションをしたり、潜ってる時間の長さといい、さすがである。 1回の練習でそこまでは到底無理であり、とりあえずジャックナイフで2〜3m潜って静止し、カメラを構えてこちらに来るイルカを迎え待つ、なんてシミュレーションとかもしておいた。

フィンワークを見てもらうと、普段ドライスーツの重装備で、あおり足でのんびり進む癖が染み付いてしまってるのか、フィンをちゃんと縦に蹴れず、無駄にX方向に蹴ってしまっているのだとか。 初心者向けプラフィンの影響もあるそうで、ミューがいいよと勧められ、ブーツの上からだがちょっと借りて履いてみたところ、すごく柔軟性があって蹴りやすく、確かにいい感じであった。

6/7(金) いよいよ当日を向かえる。 20:15 家を出て、路線バス、JRを乗り継いで 21:15 浜松町へ、駅から歩いて約15分、竹芝桟橋に到着する。 以前は寝場所確保のため、早くから並ばなくてはならなかったが、'01/1からは全席指定になったため、安心である。 21:45 今回ご一緒するメンバーと顔合わせし、22:15 さるびあ丸に乗船、22:30 出港する。

これまで伊豆大島に3回、三宅島に1回、八丈島に1回、行った事があるのだが、船に弱いため、ここ2回は飛行機で行ってしまっていたので (^^;; 久々の船中泊である。 和室、というか雑魚寝の大部屋であるが、一人分のスペースがビニールテープで区切られ、Noがふられていて、1枚100円の毛布を2枚借りて、敷き掛けにする。 本来は三宅島で降りるのだが、'00/9以来、噴火噴煙による全島民避難状態のため、現在は御蔵島を経由しての八丈島行きとなっている。 ほぼ満席の状態で、盛り上がる釣り客や深夜までウロチョロする人もいて、なかなか安眠という訳にはいかないが、幸い海況は穏やかでほとんど酔う事もなく、6/8(土) 6:00 東京から200kmの御蔵島に到着、すとれちあ丸がぶつかってしまった桟橋にも無事着岸した (^^;;

御蔵島の周囲は波に浸食された断崖絶壁ばかり、まさにお椀をひっくり返した感じで平らな土地は殆どなく、港からいきなりの急な坂道で村落へと向かう。 宿泊は港から車で2〜3分、3室で定員8名の小さな民宿「ティピ」。 ティピとはインディアンの使っていた移動式テントの事だそうで、庭にはまさに三角錐形のテントがある。 すぐに布団を敷いて仮眠を取り、7:30 朝食、8:30 港へと向かう。 日頃の行いが良すぎたのだろうか (^^;;、常連の人にしてみると、御蔵としては気味が悪いくらいのベタ凪だそうで、梅雨入り直前にも関わらず天気もピーカンである。

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妊娠中?尻尾の海藻...
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休息中で眠りながらの移動
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水面でひと呼吸ウミガメ
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海底に集まって...!?ひっかき傷/サメ穴
(by Canon PowerShot S30)
8:45 加藤船長の操船で、7〜8人乗りの「海豚人丸(うみとんちゅうまる)」で出港。 風の影響を考えて東回りで、周囲16kmの島の半分ほどの範囲をイルカを探しに向かう。 まもなく数分程で群れを発見、いよいよファーストエントリーである。 しかし海に入った瞬間、御蔵独特の青緑色であまり良くない透明度、水の冷たさ、スノーケル一つで浮いてる事への不安感などから、呼吸が浅く早くなってしまい、思いの他ドキドキしてしまう...。 とてもじゃないがイルカを追うどころでなく、まずは気持ちが落ち着くのを待って呼吸を整え、覚悟を決めてエイヤッ!とジャックナイフで潜ってみる。 5mmウエットに2kgのウエイトでちょっと苦労するも、2〜3m潜って浮上、スノーケルクリアと一通りやってみて、なんとか落ち着くことが出来た。 ボートに上がるのは、その都度L字型のはしごを降ろしてくれるので、後ろ向きにステップ部分に一旦座ってから立ち上がり、船べりをひとまたぎすればOK。 スクーバの時に比べたら全然楽チンである。

2回、3回とエントリーしていくと、次第に慣れてきて、イルカの様子を観察するゆとりもようやく出てくる。 妊娠しているのだろうかお腹が大きなイルカ、赤ちゃんの授乳シーン、赤ちゃんを隠すようにパッと人との間に身を入れる母イルカ、自分の姿が映るのが気にかかるのだろうか、他の人の一眼ハウジングの大きなポートを覗き込むイルカ、などなど。 とあるイルカが尻尾に海藻を引っ掛けて遊んでいるのかと思いきや、あとで写真をよく見てみると、尻尾に釣り糸か何かが絡んでいるのだろうか、そこに海藻がかかっているようで、ちょっと気になるところである。 (残念ながらこの子イルカKちゃんは10月に亡くなり、DOLPHIN CLUB・TAGより絵本「いるかのKちゃん」が'03年6月に出版予定)

11:00 頃に宿に戻り、シャワーを浴びて弁当を食べ、仮眠を取って午後に備える。 14:30 出発、午前と同じく東回りのコース。 ウミガメもたくさん出没するが素潜りでは、スクーバの様にゆっくり近寄る余裕はないので、あっという間に逃げられてしまう。 午前に比べるとイルカもおねむな感じで、そのまま行ってしまう事も多いようである。 まさにねむた眼であり、ちなみに今回のベストショットをパソコンの壁紙(1024*768dot)にしてみたので、奇特な方はぜひご利用いただきたい (^^ゞ

16:30 頃に宿に戻り、夕食前に村落を散歩する。 坂道ばかりで、駐在所、島唯一のATMのある郵便局、診療所、2つの商店、数件の民宿、稲根神社、保育園、結構立派な小中学校、ヘリポートなどなど、人口280人、1km程の集落である。 標高851mの御山をはじめ山深く、村落以外を行くには車と地元の人の案内が必要だろう。 18:50 夕食にはお約束の明日葉の天ぷらや、地場の魚のお刺身など。 船中泊に2ドルフィンとさすがに疲労し、翌日はヘリで帰る人に合わせて朝イチの出港となったため、早々に眠りに就く。

6/9(日) 6:45 出発、やや風波が立っているが、それでも普段よりはまだ穏やかな感じとの事。 やはり同じく東回りコースとなる。 昨日は素手だったが、さすがに冷たくて指先が痺れる感じがあったので、今日は手袋をする。 砂地の海底に十数頭が集まり、砂地のある一箇所に鼻先を突っ込むようにして何頭かでグルグル回り、水面へ浮上の繰り返しをしていたのだが、一体そこには何があったのだろうか?  他のボートも来て、イルカと人で海の中は大盛況。 徐々に浅瀬に向かいつつ、時間にして12〜13分も経っただろうか、いい加減フィンキックする足も疲れ果ててしまった位。 まさに早起きは三文の得、といったところだろうか。

2〜3頭のイルカが連れ立ってブブブッと糞幕を張ったのは、、、果たして人間に対する威嚇だったのだろうか、それとも単なる朝の生理現象? (^^;;  また、イルカの肌はツルツルな感じの印象を持っていたのだが、よく見ると、体のあちこちに傷がある。 白く筋になった引っかき傷は、岩場に擦ったり噛み合った跡だがすぐに消えてしまうため、個体識別には使えないそうである。 丸くなった銃創のような傷は、ダルマザメに噛まれたサメ穴で、回転しながら皮膚を食いちぎる為、こんな傷跡になるそうである。 ちなみに、この左脇腹にサメ穴のあるイルカは好奇心が旺盛の様で、何度も人間の方を覗きに近づいて来てくれてた。

御蔵の船長はイルカの生態や日々の様子も熟知しており、小さなボートで静かに群れを探し、まずイルカの状態を見て行くかどうかを判断、群れの進むスピードや方向から予測して、ドンピシャの所でエントリーさせてくれる。 1回2時間の出航で7〜8回エントリーし、今回は海況やイルカのご機嫌も良かったせいもあるかもしれないが、ほぼ 100%の確立でイルカが見られた。 ただしイルカと遊べるかどうかは、もちろんイルカの気分と、あとはエントリーした人間次第である (^^;;  出来るだけ静かにエントリーし、イルカの進路を邪魔しないように垂直に潜ってイルカの気を引くのがいいようである。

ちなみに、4/13「イルカの棲む島」御蔵島バンドウイルカ研究会でもお勉強 (^^ゞ したのだが、イルカが遊んでくれやすいのは、何となく群れてる「ミリング」、ジジジとクリックス音を発したりする「詮索」などの時で、逆に遊んでくれにくいのは、速く泳ぐ「移動」、水底を大きな群れでゆっくり移動する「休息」などの時だそうである。 確かに、ジジジとかキュイーンとかイルカの声が聞こえる時には、必ずと言って良い程どこからともなく姿を現してこちらの様子を伺い、なぁ〜んだ人間かとスッと行ってしまったり、時には遊ぼうよと回りをグルグル回り、誘ってくれたりもする。 逆に、移動や休息の時は全く声を発せず、まさに眠たそうな目で、こちらをチラッと見ても素通りしてしまう感じである。 また、早朝や夕方に活発に活動し、昼間は休息してることが多いとの事。

良く言われる、三宅島や伊豆半島から大きなボートで遠征して来る場合、船べりが高いので En/Ex が大変、小回りが効かないのでいいタイミングでエントリー出来るとは限らない、ダイビングの都市型ショップのガイドvs現地ガイドの様に、船長のイルカや御蔵の海への熟知度が違う、そもそも御蔵島に来るだけで大変、というのも十分納得である。 最も今なら、大きなさるびあ丸が直行しているので御蔵島ステイも楽だが、三宅島から本来の小さな定期航路船で渡るのも結構大変との事。。。

宿に戻って遅めの朝食を採って休憩後、先にヘリで帰る人を見送りに行く。 ヘリを間近で見るのは初めてで、ワクワクしながら到着するのを待つ。 凄まじい騒音と共に現れるが、意外と風圧は大した事がない感じ。 アイドリング状態で数名の乗客と手荷物を乗せ、すぐに離陸となるが、しかし離陸の瞬間はもの凄い風圧で、じっと立ってる事ができない位。 なるほど、着陸時は中性浮力(?)よりマイナス浮力にして降りてくるものの、離陸時は+αの浮力が必要なのだから当然だろう。

帰りしな、最近、島に初めて出来たと言う食堂「やまや」でかき氷を食べて、帰る身支度をする。 13:25 出港、ほどなく操舵室の見学サービスがあるというので見に行くと、結構な行列。 平成4年就航という割に、意外とアナログな感じのする操舵盤である。 「フィン引出」という表示があり、まさかエンジントラブル時に足ヒレでも出るのかいな!?と思ったら、高速時に両脇に出す横揺れ防止のための水中安定翼との事。 ふとこの場に似つかわしくない神棚を発見、もし最後の安全装置だとしたら、、、チト怖いカモ (^^ゞ  しかしこれまた、なかなか貴重な経験をさせてもらった。 残念ながら三宅島はまだ噴煙を上げてるようで、とにかく一日も早い復興を祈るばかりである。 そうそう、行き帰りとも、某 (^^;; 海洋生物学者J・M氏と同便で、何かのツアーだったのだろうか。 20:30 竹芝に到着し、御蔵港の待合所には土産物が売ってなかったため、竹芝客船ターミナルのショップで買い求め、22:00 帰宅した。

なお、今回かかった費用は、東海汽船「竹芝⇔御蔵島」往復船代(株主優待券で半額) 6,430円、3ドルフィン 20,500円、民宿1泊4食 8,400円 だった。 事前に、多少の船酔い対策筋トレ、一度プールでの素潜り練習をしたとはいえ、4〜5m潜って写真だけ撮ってすぐ浮上では、とてもじゃないがドルフィンスイムとは言えず、ストーカーみたいなもんである (^^;;  深さ的は7〜8mも潜れれば十分で、せめてそこから数秒間は水中に留まってイルカと遊べるよう、プールや海で十二分にトレーニングして次回は臨みたい。

  ・ 御蔵島
 リンク  
御蔵島村公認HP 島の案内

御蔵島イルカ協会 イルカの調査

クラブドルフィン 素潜りの練習
   東海汽船 伊豆諸島への航路

ICERC Japan イルカ・クジラの調査

辰巳国際水泳場 ダイビングプール


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