■ダイバーのためのトレーニング講座



ダイビングは、水中を漂ってる時にはほとんど無重力状態なのですが、1ダイブでの消費カロリーは 200〜300kcalというデータもあり、やはりそれなりの体力が必要になってきます。 例えば、潜るに至るまでの器材の運搬や長時間の移動、わずか数分とはいえ10数kgの器材の陸上での装着、水面や水中でのフィンキック、エギジット時の足のふんばり、等々。

日頃の不摂生がたたると、フィンキックで足がつってしまったり、酸欠で頭痛を起こしたり、水中で置いてけぼりをくらったり、それが原因でパニックに陥ったり、はたまた器材の装着時やエギジット時にバランスを崩して転倒して怪我をしたり、、、いい事はありません。

普段から、他のスポーツをしたり、よく体を動かしてる方々はいいのですが、会社勤めの典型的な現代人の場合、ついつい運動不足になり勝ちなのが現状かと思います。 そこで、学生時代に運動生理学やスポーツ科学もちょろっと学んだ経験を活かし、日常生活の中で簡単にできるダイバー向けのトレーニング方法を考えてみました。

#私自身は学生以来、ほとんどトレーニングしてない体力無し男なのですが...(__ゞ


筋力トレーニング

特にダイビングに限らず、まずは足腰の筋力アップが必要でしょう。 回数や負荷の強さは場合によりけりですが、まずは「10回(秒)×3セット」位が楽に出来る程度に、負荷の強さを調整しましょう。 慣れてきたら、筋力アップが目的ならより負荷を強く、持久力アップが目的ならより回数や秒数を多くしていくと良いでしょう。

また、息を止めたまま力を入れると血圧が急上昇するので、息を吐きながら力を入れると良いでしょう。 あと、筋肉のバランスを崩さないよう、関節を曲げるための「屈筋」と、伸ばすための「伸筋」はペアで鍛えましょう(例えば腹筋と背筋)。

腕立て伏せやヒンズースクワット、ダンベル体操などのように、体重やウエイトなどで負荷をかけた状態で筋肉を伸び縮みさせる「動的筋収縮」は、いかにも鍛えてるぞという感じですが、胸の前で手を併せてぐっと押し続けるような「静的筋収縮」でも、もちろん効果があります。 静的筋収縮は、鍛えてるという実感が得られにくいのが難ですが、例えばオフィスで椅子に座ってる時に腿を上げて腹筋を鍛えたり、通勤電車の中でも爪先立ちでふくらはぎを鍛えたりと、いつでもどこでも出来るというメリットがありますので、TPOに併せて鍛え方を選ぶと良いでしょう。

あと、事前と事後のストレッチをお忘れずに。 事前のストレッチは、筋肉や関節を痛めるのを予防しますし、事後のストレッチをするかしないかでは、翌日の筋肉痛の具合が変わってきます。 ストレッチは、痛くない程度に筋肉をゆっくりぐーっと伸ばします。 ラジオ体操のように、リズムに併せて反動をつけてというのは本来好ましくなく、下手をすればこれで筋などを痛めてしまうこともあります。 あくまで自分のペースで、筋肉や関節の硬いところなどを重点的にするのが良いでしょう。 ちなみに関節をポキボキ鳴らすのは、なんでも関節の骨液内でキャビテーション現象が発生してポキッという音になるそうですが、その衝撃波で軟骨を痛める危険性もあるので、余りよくないそうです。

背 筋エアタンクや器材など重い物を持ち上げる時に使ったり、腰と背骨、そしてフィンキックする足を支える肝心要の筋肉です。うつ伏せで足首を固定して上体を反らせる以外にも、うつ伏せで手足を反らせる、ブリッジをするなどバリエーションは沢山あります。ただし腰痛のある方は十分気を付けて、極めて軽い負荷からするようにしましょう。
腹 筋ウエイトベルトの重みで腰が沈み込むのをぐっとを支え、フィンキックで足を振り下ろすのにも必要です。昔は膝の上に座られ絶対膝を曲げるなとか言われたりもしましたが、これは腰に過度な負担がかかるので絶対にやってはいけません。必ず膝は曲げて行います。また、背中を丸めてじっとヘソの辺りを見るようにして腹筋に力を込める静的筋収縮でも十分に効果があります。足首を固定すると足の力も使えるので、腹筋への負荷はより軽くなります。椅子に座って腿を持ち上げるのもOKです。
上腕筋水中では余り腕力は必要としませんが、潜る前後の重たい器材の取り扱いにはやはり腕力が必要です。いわゆる力こぶが上腕二頭筋、女性が腕のたるみを気にする部分が (^^;; 上腕三頭筋です。腕立て伏せの場合、女性は膝をついてすればより負荷は軽くなり、男性の場合、手を付く位置を広くしたり狭くしたり、前方にしたり手前にしたりすることで、負荷の強さや、大胸筋などの鍛えられる部分が変わります。静的筋収縮なら、胸の前で両手を押しあったり引きあったり、椅子に座って机をぐっと押したり持ち上げたり、バリエーションは無限大にあります。
大腿筋フィンキック時のエンジンとなるのが太腿です。太腿の前が大腿四頭筋、後ろが大腿二頭筋です。ヒンズースクワットは腰を痛めないよう背筋を伸ばしてやりましょう。足首の硬い人は傾斜や本などを利用して踵を上げると楽にでき、勢いをつけず、よりゆっくりやる方が効果的です。女性の場合、屈伸しなくても、膝を曲げた状態でじっと堪えるだけでもOKです。悪しき伝統のウサギ跳びは、筋力を鍛える前に、着地の衝撃で疲労骨折などを起こしかねず、良い子(?)はやってはいけません。
下腿筋フィンキックで足がつらないよう、良く鍛えておきましょう。いわゆるこむら返りするのが腓腹筋で、踵の上げ下げは、階段の縁など踵が付かない所で、あるいは片足でやればより負荷が強くなります。電車などで立ってる時、爪先立ちをする静的筋収縮でもOKです。脛の前が前脛骨筋で、爪先の上げ下げは座った状態でも構いません。爪先を付けずに踵だけで歩く、踵歩きでも鍛えられます。


持久力トレーニング

水面や水中の移動で息切れを起こさないよう、鍛えましょう。 ただし、やはり「持久」と言うからには、ある程度のまとまった時間とそれなりの場所が必要かもしれません。

自転車
(エアロバイク)
お買い物や通勤など、地球環境に優しい (^^;; チャリンコで出かけましょう。自転車の時速は約15〜20km、結構遠くまで行けちゃうもんです。また、膝に負担をかけずに鍛えられます。
ジムにあるエアロバイク(固定された自転車みたいなもの)は、心拍数を測定しながら最適な負荷をかけてくれるので、より効果的に鍛えられます。
ウォーキング
(ジョギング)
エレベーターやエスカレーターでなく階段を使う、ひと駅分を歩く、などでもある程度鍛えられます。ウォーキングは普段より歩幅を靴一足分くらい大きく、軽く息が弾む程度に早足で歩くとより効果的です。
トレーニングと言えばまずはジョギングから、という感じもありますが、シャワーや着替え、走るのに適したコースや時間の確保など、なかなか大変です。街中の排気ガス臭いところを走るより、シャワーのあるジムで、心肺機能をより効率的に鍛えられるエアロバイクをこぐ方が無難かもしれません。
水 泳水辺や豪邸にお住まいの方以外は (^^;; 施設を利用しないと無理ですが、潜る前には1度でも泳いでおくと、水に慣れる意味からも有効でしょう。


三半規管トレーニング

多くのダイバーの悩みである船酔いと波酔いですが、トレーニングである程度は改善されます。 遠洋漁業の漁師も最初の数日は船酔いする人もいるそうですし、宇宙飛行士も宇宙(無重力)酔いに悩まされます。 要は慣れてしまう事だと思いますので、潜りに行く前に2〜3週間位やってみると、効果が実感できるでしょう。

回転トレーニング法やり方は極めて単純、その場でクルクル回るだけです (^^ゞ。詳細はダイビングよもやま話にあります。
ためしてガッテン法同じくダイビングよもやま話まで。こちらの方が、もう少し科学的かな (^^;;


注  意


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