■ 水中写真向デジカメとは(500万画素ズーム)



'02/5に2代目となるデジカメ「Canon PowerShot S30」を購入してから、はや2年半。 最初はハウジングのみから始めて、ワイドレンズストロボマクロレンズマクロ2枚目と、順調に投資を続けてます (^^ゞ  これまで20回潜りに行き、一度も水没する事もなく無事に使ってますが、単純に使用料を計算してみると、、、ナント1回当り1万円 (^^;;  ここまで拡張してしまうと、おいそれと買い換える事も出来ないのですが、未だ進歩のスピードの衰えないデジカメの世界、久しぶりにあれこれと調べてみました。

片ハサミガニ (^^;;
あくまで理想は「デジカメ本体とハウジングのみで、マクロからワイドまで、そこそこ撮れるもの。」なのですが、そう簡単にいくなら、まるでタラバガニのような二灯ストロボの巨大ハウジングは誰も持たないわけで…。

つまり、外付けでストロボや交換レンズなどを付けなくては、なかなか思うようには撮れないのが現状であり、パーツが増えれば増えるほど、運搬するのも、水中でも、重たくて邪魔ですし、準備や片付けも、メンテナンスも、手間が増えるばかりなのです。

もしかしたら、最近ぐっと手頃になってきた一眼デジカメに、ワイドから中望遠までカバーする、明るいズームレンズを付ける事で、外付けストロボを付けなくても、ハウジングと内臓ストロボのみで、結構いけるのかもしれません。 ただし、ざっくり一眼デジカメ10万、レンズ5万、ハウジング10万と、投資額は当然...(^^;;

前置きはこの位にしまして、いわゆるコンパクトタイプのデジカメで、機種を選ぶときの自分なりの考え方をまとめてみます。


クラス

デジカメのクラスを普及(実売で大体3万円/300万画素以下)、中級(4〜6万円/400〜600万画素)、高級(7万円/700万画素以上)と分けるなら、中級以上が良いでしょう。 陸上で普通に使う分にはそう大差はないものの、水中という特殊環境では、大きく差が出てくるように感じます。 海底で行列して (^^;; 同じように撮った写真を比べてみても、普及機では解像度以前に、青被りがひどくて殆ど色が出てないというのもよくある話。 特に高級機の場合、ストロボを焚かない時の色の再現性で、大きく差が出るように思います。

南国の強烈な日差しから、海底洞窟の暗闇まで、絞りや露出などを細かく適正に制御しなくてはなりませんし、CCDも高性能なものの方が白飛びや黒つぶれしにくく、色の再現性などでも有利なはずです。 オートフォーカスも、コントラストの弱い水中ではより合いにくくなってしまうので、少しでも高性能なもの方が良いでしょう。

ハウジングのない機種でも、DIVジリオンなどの専門メーカーに依頼すれば造ってもらえますが、電源とシャッターという最低限のボタンだけでも4〜5万円以上と、かなり割高になってしまいますので、純正ハウジング(2万円程度)のあるものを選ぶのが無難でしょう。

起動時間

電源オンから撮影可能になるまでにかかる時間の事で、これが遅いとシャッターチャンスを逃してしまうので、もちろん早い方が良いに決まってます。

ちなみに私が使ってるPowerShotS30は実測でナント約 4.8秒で、ズームの位置合せでジーコジーコやってから、液晶モニターがスタンバイになるまで待つのは、かなりイライラしてしまいます。 前にちょっと借りた事のある DMC-FX7の 2.5秒だと、まぁかろうじて許せるかな、という感じでした。

ただし、急に現れた被写体をサッと撮るような場合、やはり1秒以内でないと厳しいのではないでしょうか?

シャッタータイムラグ

シャッターを切ってから、実際に画像の取り込みが始まるまでの時差の事で、この分を予測した上で、シャッターを切るタイミングを計らなければなりません。 特に、多くの幼魚やクマノミのようにチョコマカ動く被写体を撮る時、今だ!と思ってシャッターを切っても、尻尾しか写ってなかったり、はたまた姿も形も写ってなかったり、というのもよくある話。 極力、短い機種を選ぶべきでしょう。

また、液晶モニターの反応が鈍いとその分も考慮しなくてはならないので、秒に何コマ表示されるか(fps)も気をつけるべきでしょう。

液晶モニター

サイズはもちろん大きい方が見やすく、私の使ってる1.8インチと、現行機種で最大の2.5インチで比べると、雲泥の差がありました。 普通に撮る時でももちろん、マクロでピントが合ってるかどうかの分かり易さ、表示される様々なアイコンや数値の見易さなど、比べ物にならない位です。

液晶の種類ですが、バックライトで裏から照らす、いわゆる通常の「透過型」は屋内向きで、晴天下の陸上はもちろん、浅瀬で背に日差しを受けた時など、手で覆っても殆ど見えません。 ハウジングにフードのついたものもありますけど、屋外向きの「反射型」と、透過型の両方の特性を持った「半透過型(ハイブリッド)」や、一時的にバックライトを強く出来る機能など、屋外でも見易く工夫されたものが良いでしょう。

あと1秒間に何コマ表示されるかも大切で、12fps(フレーム/秒)とかだとカクカクした動きになってしまうため、滑らかにフル表示される24fpsのものを選ぶ方が良いでしょう。

光学ズーム

光学ズームは3倍のものが大多数ですが、もっと欲しいという場面も多々あります。 透明度や浮遊物の関係から、そんな高倍率は必要ないという声もありますが、同じ被写体を撮った十数倍ズームのビデオ映像を見て羨ましいと思った事も数知れず。

ストロボ光がしっかり届くかどうかはさておき、5倍位あれば、ちょっと遠くにいるものをサッと証拠映像程度に撮ったり、マクロではハゼとか狙いやすくなったりすると思います。 もちろん高倍率になるほど、手ブレ補正などの機能や、高性能な光学系が必要になります。

ワイド

いわゆる35mmフィルム換算でいうと、標準の35mmから3倍の105mmまでをカバーする機種が殆どなのですが、物が1.4倍大きく見える水中では、ワンランク、ワイド感が損なわれてしまいます。 海中風景などワイド向きの写真を撮りたくても、28mmのちょっとワイドのものなら、水中では殆ど標準になってしまいます。 できるなら 24mmが欲しいところですが、今のところ高級機の Nikon「COOLPIX8400」しか対応しておらず、外付けのワイコンを付けざるを得ないでしょう。

なお陸上でも、例えば室内など、距離のないところで広範囲を移したい時など、ワイドはとても重宝します。 水中用の外付けワイドレンズを手で持ってデジカメのレンズ前に併せて、室内撮影をする事も時々あり (^^;;、陸上撮影の時、ハウジング無しでデジカメに直接固定できるようなスペーサーを作ろうかとも思うのですが、、、いかんせん、レンズを90度回転させてカチッと固定させる複雑なコネクター形状なため、手が出せずにいます。

マクロ

今使ってるのは最短撮影距離は10cmからとなってますが明らかに物足りなく、外付けのマクロレンズを2枚重ねて7cm程度。 あまり近付き過ぎてもストロボ光が回らないという問題もありますが、マクロ撮影をする時の感覚って、虫眼鏡で覗く時と似てるのでしょうか、何となく5cm位に近付けたくなるような気がします。 ただ性能ギリギリのところではピントも合いにくいので、3cm位からピントが合ってくれれば、感覚的にも非常に使いやすいかと思います。

マニュアルでのピント合せは、いくら液晶モニターで部分的に拡大表示してくれても、揺れる水中では極めて難しく、オートでパッと合焦してくれる精度の良い機種を選びたいところです。

メモリーカードの種類

スマートメディアなどの接点露出タイプは、指紋などの汚れから接触不良になったり、ちょっとした静電気でもデータや媒体が壊れてしまったり、昔はトラブルの多かったのですが、最近は改善されてるようです。

新しい規格のものは当然割高ですが、各種とも大容量化も進み、USBやPCカードを使ってデータの吸い上げは自由に出来るので、特にこだわらなくて良いのかもしれません。

1枚当りの容量は電池交換の考え方と同様にハウジングの開け閉めを少なくするため、そして万一の水没時のデータ損失のリスクも考えると、やはり1日分が1枚に収まれば良いのではないでしょうか。

電池

1日2〜3DIV分、電池交換の必要がなく、ハウジングを開けずに済むのが、余分な水没リスクを避ける意味からも良いでしょう。 1DIVで何枚撮るかは人それぞれでしょうけど、例えば自分の場合、全く撮らない時もあるし、時には50〜60枚撮る事もあります。

単純には2〜3DIV分の撮影可能枚数があれば良いのですが、、、もうひとつ、液晶モニターを点けて被写体を追う間の「連続撮影時間」が大切です。 実際には、こまめにON/OFFしたり、機種によってはハウジングではON/OFF出来ないため、オートパワーオフ機能や液晶モニターのみのON/OFFをしたりもしますが、、、極端な話、バッテリーが十分にもつなら、ずっと点けっ放しにしても良く、その方がシャッターチャンスを逃さなくて済むでしょう。 なおカタログには、連続再生時間しか公表されてなく、実際の連続撮影時間にすると、ざっくりこの1/3〜1/4程度になるでしょうか?  つまり、ホントに点けっ放しにしてると1DIVもつかどうか、といった感じでしょう。

発熱も、ハウジング内の結露しやすさに影響してきます。 これは機種によりけりですが、大きな電力を使うのはCCDと液晶モニターなので、一つの目安としては、高画素なもの、大きな液晶モニターのものほど、発熱も大きいのかもしれません。

手ブレ補正

まだまだデジカメでは採用されてる機種は少ないのですが、体が不安定な水中では、ビデオ同様にきっと効果があると思いますし、高倍率ズームになればなるほど、今後は必須機能になるのではないでしょうか?

ストロボ

ストロボは、レンズから少しでも遠い方が、マリンスノー(浮遊物の写り込み)が多少でも防げるのと、ワイコンを付けた時に被らないので良いでしょう。 CCDの感度にもよるのですが、ストロボが弱いとどうしても青被りした写真になりがちなので、ストロボの発光量を示すガイドナンバーは、大き目の方が有利でしょう。

機種一覧
個人的に興味のある、各メーカーの中級の代表的な機種を比較してみると、以下のようになりました。 グリーンの網掛けは+1点、網掛けなしは±0点、ピンクは−1点で、単純に足し算して、上位から順に並べてあります。 ちなみに今私が使ってる S30も一番下にエントリーしてますが (^^;;、やはり2年半の時の流れを感じてしまいますね。 CaplioR1が500万画素になり、2.5in液晶モニター、もっと明るいレンズ、手ブレ防止機能を搭載すれば、、、S30からの買い替えを考えるかな!? (^^ゞ

メーカー
機種
定価
(実売)
画素
(万)
起動
(秒)
タイム
ラグ
液晶
サイズ
液晶
工夫
焦点
距離
倍率F値マクロメモ
リー
撮影/
再生
手ブレ
補正
ハウジング
(税込定価)
Ricoh
CaplioR1
\OPEN
(\39,800)
4000.80.0031.8in透過型28-1354.8F3.3
-4.8
1cmSD/
MMC
500枚
?分
CASIO
EXLIM EX-Z55
\OPEN
(\54,800)
5001.60.012.5in35-1053.0F2.6
-4.8
6cmSD/
MMC
400枚
410分
EWC-40
\23,100
Panasonic
DMC-FX7
\OPEN
(\52,800)
5002.50.0082.5inパワー
LCD
35-1053.0F2.8
-5.0
5cmSD/
MMC
120枚
?分
光学式
SONY
DSC-T3
\OPEN
(\59,800)
5101.30.0092.5inクリア
フォト
38-1143.0F3.5
-4.4
1cmMS180枚
?分
MPK-THB
\24,150
MINOLTA
DiMAGE X50
\OPEN
(\44,500)
5000.50.062.0in37-1052.8F2.8
-5.0
6cmSD/
MMC
150枚
170分
MC-DG400
\26,250
OLYMPUS
CAMEDIA
C-5060WideZoom
\OPEN
(\86,900)
5003.01.8in27-1054.0F2.8
-4.8
3cmxD/
CF
600枚
?分
PT-020
\29,400
Canon
PowerShotS60
\OPEN
(\58,800)
5002.90.11.8in28-1003.6F2.8
-5.3
4cmCF140枚
210分
WP-DC40
\20,790
PENTAX
OptioSV
\OPEN
(\45,000)
5003.80.0651.8in36-1805.0F2.8
-4.7
3cmSD100枚
130分
Canon
PowerShotS30
\89,800
(\48,280)
※購入当時
3204.81.8in35-1053.0F2.8
-4.9
10cmCF160枚
150分
WP-DC300
\20,790

プラス点マイナス点

理想の水中写真向デジカメ!?
起動時間0.5秒以下
シャッタータイムラグ0.01秒以下
光学系F1.4〜2.8
24〜192mm相当(光学8倍)
マクロ1cm〜
光学式手ブレ防止機能
液晶モニター半透過型 2.5in以上(24fps)
電池連続撮影枚数 300枚以上
連続撮影時間 180分以上
 

これまでの話を集約して絵にしてみると、、、どこかで見たことがあるような、ないような!? (^^ゞ  こんなに明るいワイドレンズ、実際に作ろうとするとウン十万円になってしまうのかもしれませんが (^^;;、要は明るいレンズに高感度CCDの組み合わせならば、光量の小さな内蔵ストロボだけでも十分に使い物になると思います。 あとは元々のワイド寄りのレンズであれば、内蔵ストロボに被らないちょっとした外付けワイコンを付けるだけで、そこそこのワイドも撮れて、「ハウジングに外付けワイコンだけ」という組み合わせで、より手軽になるのではないでしょうか?

色々と細かく書いてしまいましたが、何が重要なのか、優先度はどれが高いのかなど人それぞれだと思いますし、もちろんカタログ値だけでは分からない部分も多々ありますので、あくまで選択の際のひとつの参考にしていただければと思います。

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