取水堰堤→浄水場→配水池

現在の清水沢浄水場は平成28年(2016)6月完成、
清水沢ダムの下流に存在し、4,100m3/日の処理能力がある。
PFI(Private Finance Initiative)という官民共同で設計から建設、
管理・運営まで行う民間主導の公共サービスにて運用されている。 夕張市



今回探索の浄水場跡は上記と別で遠幌加別川沿いとなる。
夕張市は炭鉱の開発と鉄道の開通によって、無人の山間に急速に発展した街だ。
街の変遷としては明治30年(1943)登川村、そして大正7年(1918)夕張町、
昭和18年(1943)市制を実施した。 アプローチ


すでに解体されつくした浄水場に到着だ。

夕張市の地勢は段丘高低、つまり山に囲まれた谷間に広がり、
地層は岩盤のため井戸の掘削が困難で水の便が悪かった。 浄水場


当初、河川水を使用するも上流地域への宅地造成によりそれも枯渇することがあった。
明治35年(1902)6月に大火があり、衛生と防火の立場から、
桂沢渓流から竹樋で引水する工事が行われた。 浄水場


その後、ポンホロカベツ川に堰堤を建設、取水井から旭町水系の浄水場に導水を行った。
旭町浄水場は緩速ろ過池5池があり、市街地へは3〜8インチ(75〜200o)の配水管3,342mにて給水した。
昭和3年11月完成であった。 マウスon 旭町水系浄水場


これは恐らくモータの回転数を制御するコントローラー。

当時、街の北側に連なる北海道炭砿汽船株式会社の夕張炭鉱事業地までの給水を拡張することを条件に、
同社から工事費の全額の寄付を受けることとなった。 コントローラー


これは 『アクセレーター』 の跡のようだ。

街と炭鉱のJVによる水道設備は昭和16年8月に完成したが、
第二次大戦以降、夕張炭鉱の開発は進み人口増加はさらに加速する。 アクセレーター


アクセレータは川からの原水をインペラ(プロペラ)で攪拌させながら、
凝集剤という薬品と混ぜて不純物を寄せ固めて沈める大型の浄水器だ。
処理水(浄水)は左上部から溢流、固まった汚泥はタンク下部から排出される。 アクセレータ


浄水施設が形状なく解体されている。

急激な人口増加により給水区域外にも新市街地が完成し、
やがて炭鉱会社が単独で敷設した専用水道も建設されるに至る。 浄水施設


浄水場から数キロ上流域の取水堰堤に到達だ。
建屋と堰堤は残るものの、
稼動している痕跡はない。 取水堰堤


奥が堰堤となる。
3,755t/日の水利権をもって建設、
当初は3,100人の給水人口で計画された。 堰堤


炭鉱専用水道は 真谷地専用水道登川専用水道大夕張の三菱鉱業専用水道
北菱産業(株)鹿島炭鉱専用水道、 そして今回探索の
北海道炭鉱汽船株式会社夕張鉱業所清水澤炭鉱専用水道などがこれに当たる。 取水堰堤


中流域に移動し配水池を目指す。
配水池は浄水場から送り出された水を一時的に貯留しておくタンク施設だ。
標高の高い場所にあり、自然の落差を利用して各家庭に給水する。 中流域


斜面の途中には配管が残る。
事前の机上調査ではあくまでも推論の位置特定なので、
こういった遺構から場所の確証を得られる。 配管


延々登ると人工物が2連見える。
夕張鉱業所清水澤浄水場配水池に到着だ。
周囲の地下タンクに留意して登る。 配水池


配水池は三か所に分かれる。

浄水場は昭和20年、北炭清水沢炭鉱の専用水道として建設された歴史があるが、
この配水池は後の拡張後の設備のようだ。 配水池


タンク上の痕跡はこの手動開閉台だ。
地下埋設のバルブやゲートの開閉操作を中間ロッドで操作軸を延長することで、
地上部にて開閉操作ができる開度目盛付の装置である。 手動開閉台


更に斜面の上部に存在する配水池。

清水澤浄水場は終戦後の発展に伴って拡張され、
昭和31年8月には急速ろ過池と沈殿池が設けられた。 配水池


配管やゲートバルブも色濃く残る。

浄水場は岳見町、清栄町、清湖町から清陵町一円にかけて配水し、
鉱業用水の一部も処理していた。 遺構


最上段には2連の配水池が並列する。

北炭の新鉱開発に伴い、市費助成のうえ総工費1億4千万円をかけて
昭和46年10月に清水澤浄水場は第二次の拡張を行っている。 配水池


配水池上には様々な機器が朽ちている。
恐らく溢流防止のための水位を計測する装置類のようだ。
タンク上は非常に危険なため登らない。 機器


水位計は今も5.3mを示す。
水頭圧から信号を検出する水位計のようだ。
配水池は高/低水位や限界水位を計測して補充や排出を行うのである 水位計


タンク内は雨水が残っている。
深さ4.52m、非常に危険な深さだ。 マウスon 深さ4.52m


給水用の太い配管が残る。
消防水利の関係からも、貯水量や給水能力は算出される。
この200Aのパイプとビクトリックジョイントは妥当な太さなのかもしれない。 配管


配水池は飲料水を供給する施設である。
衛生面や断水の対策は十分に検討されていたようだ。
この櫓は水位情報を浄水場に送るトランスミッター(送信機)のアンテナ架台かも知れない。 櫓


苔むして棄てられたコンクート施設。
昭和54年当時の周辺は世帯数2,110、人口7,219名に及び、
それに対応する配水量4,392t/日を誇った。 配水池






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手動開閉台
手動開閉台

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