北炭 夕張鉱業所 清水沢浄水場跡 探検: 北の細道 夕張鉱業所 清水沢浄水場跡

清水澤浄水場で水位を測る





北海道夕張市

 コンクリートによる円形構造物の中で配水池に利用される建築物はその性質上、水密性が要求される。
円形とする大きな理由は、角という不連続面が少ないため応力集中する弱い部分が限られるからだ。
側壁と底板の接点、側壁と屋根の接点が境界となり、その角部の連結方法が重要となる。
深さに比例した水圧、満水時と空水時の荷重差、止水構造の簡易さなどが考慮される。

コンクリートは基本、圧縮には強く引っ張りには弱い。
特に無筋コンクリートは引っ張りに耐える力が圧縮の1/10と言われる。
そのため構造物は鉄筋コンクリート(RC造/Reinforced Concrete)とするわけだが、
大きな引っ張りに対して鉄筋が抵抗するもののひび割れの抑制を完全に防ぐことはできない。

そこで配水池など負荷のかかる構造物はプレストレストコンクリート(PC造/Prestressed Concrete)にて施工する。
これはあらかじめ応力を与えられたコンクリートという意味で、引っ張りに対しての耐力を高めることができる。

実際には鉄筋の5〜6倍の強度を持つPC鋼材を引っ張った状態(=緊張)でコンクリートと固定する。
延ばされたPC鋼材が元に縮もうとする性質からコンクリートに圧縮力がかかり、
このストレスがコンクリートの引っ張りに対する強度の追加となる。


炭鉱の開発と共に繁栄した夕張は、狭い峡谷に急速に発展した街である。
過去の時代の上水道施設では、衛生面や防火の観点での問題が多数発生し、
上流に延びる街の発達によりやがて水道水の枯渇を招く。

明治時代の竹樋、大正時代の木菅水道、昭和の鋳鉄管への発展と
その水道施設は時代とともに進化する。
街の事業ではなく炭鉱会社が独自に水道を敷設することが炭鉱街の俗識であったが、
今回紹介の浄水施設も昭和20年に北海道炭鉱汽船株式会社によって建設された遺構となる。

現在その痕跡が辛うじて残る浄水場とその上流の取水堰堤、
下流の配水池の廃祉を訪ね、特有の進化を遂げた炭鉱水道の痕跡を探してみたいと思う。


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配水池
配水池





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