源氏物語「二葉の松 3/4」(薄雲)   問題

 源氏は明石で不遇な生活をしていた時、当地の明石の入道の娘の明石の君と結ばれます。明石の入道は都では出世がかなわず、明石で受領に身を落とし住みついたのでした。源氏と明石の君との間には姫君が誕生しました。この姫君を将来の后にと期待する源氏は、明石の君・姫君母子に上京をすすめますが、明石の君はわが身のほどを考えて思い悩んだ末に、都の郊外、大井の里へ移り住むことにしました。源氏は、明石の姫君を紫の上の養女とすることにし、姫君を二条院に移そうとしています。次の本文を読んで後の問いに答えよ。


 雪、霰がちに、心細さまさりて、あやしくさまざまにもの思ふべかりける身かなとうち嘆きて、常よりもこの君を撫でつくろひつつ見ゐたり。雪かきくらし降りつもる朝、来し方行く末のこと残らず思ひつづけて、例はことに端近なる出でゐなどもせぬを、汀の氷など見やりて、白き衣どものなよよかなるあまた着て、ながめゐたる様体、頭つき、後手など、限りなき人と聞こゆともかうこそはおはすらめと人々も見る。落つる涙をかき払ひて、「かやうならむ日、ましていかにおぼつかなからむ」とらうたげにうち嘆きて、
  雪ふかみみ山の道は晴れずともなほふみかよへあと絶えずして
とのたまヘば、乳母うち泣きて、
  雪間なき吉野の山をたづねても心のかよふあと絶えめやは
と言い慰む。

 この雪すこしとけて渡りたまへり。例は待ちきこゆるに、さならむとおぼゆることにより、胸うちつぶれて人やりならずおぼゆ。「わが心にこそあらめ。辞びきこえむを強ひてやは。あぢきな」とおぼゆれど、軽々しきやうなりとせめて思ひかへす。いとうつくしげにて前にゐたまヘるを見たまふに、おろかには思ひがたかりける人の宿世かなと思ほす。この春より生ほす御髪、尼のほどにてゆらゆらとめでたく、つらつき、まみのかをれるほどなどいへばさらなり。よそのものに思ひやらむほどの心の闇、推しはかりたまふにいと心苦しければ、うち返しのたまひ明かす。「何か、かく口惜しき身のほどならずだにもてなしたまはば」と聞こゆるものから、念じあへずうち泣くけはひあはれなり。【薄雲】

問1 ★

問2 ★

問3 ★

問4 ★

問5 ★

問6 ★

問7 ★

問7 「源氏物語」の成立した時代・作者の名・作者が仕えた中宮とその父親の名を順に記しなさい。★

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源氏物語「二葉の松 1/4」 雪、霰がちに〜けはひあはれなり。(薄雲) 問題 へ

源氏物語「二葉の松 2/4」 さかしき人の〜十二月にもなりぬ。(薄雲) 問題 へ

源氏物語「二葉の松 4/4」 姫君は、何心も〜きこえたまふ。(薄雲) 問題 へ



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