源氏は明石で不遇な生活をしていた時、当地の明石の入道の娘の明石の君と結ばれます。明石の入道は都では出世がかなわず、明石で受領に身を落とし住みついていて、明石の君が都の高貴な方と結ばれ一族が再興することを願っていました。源氏と明石の君との間には姫君が誕生しました。この姫君を将来の后にと期待する源氏は、明石の君・姫君母子に上京をすすめますが、明石の君はわが身のほどを考えて思い悩んだ末に、都の郊外、大堰(大井)の里へ移り住むことにしました。源氏は、明石の姫君を紫の上の養女として后がねにふさわしい環境で育てようとし、姫君を二条院に移そうとしています。次の本文を読んで後の問いに答えよ。
冬になりゆくままに、(明石ノ君ハ)桂の住まひいとど心細さまさりて、上の空なる心地のみしつつ明かし暮らすを、君(=源氏)も、「なほかくてはえ過ぐさじ。かの近き所に思ひ立ち aね」とすすめたまへど、「つらきところ多く試みはてむも残りなき心地すべきを、いかに言ひてか」などいふやうに思ひ乱れたり。「さらばこの若君(=明石の姫君)を。かくてのみは便なきことなり。思ふ心あればかたじけなし。対(=紫の上)に聞きおきて常にゆかしがるを、しばし見ならはさせて、 b袴着のことなども人知れぬさまならずしなさんとなむ思ふ」と、まめやかに語らひたまふ。 @さ思すらんと思ひわたることなれば、いとど胸つぶれぬ。「あらためて cやんごとなき方にもてなされたまふとも、人の漏り聞かんことは、なかなかにやつくろひがたく思されん」とて放ちがたく思ひたる、ことわりにはあれど、「 dうしろやすからぬ方にやなどはな疑ひたまひそ。 eかしこには年経ぬれどかかる人もなきが、 fさうざうしくおぼゆるままに、前斎宮(六条御息所ノ娘ノコト)のおとなびものしたまふを gだにこそあながちに扱ひきこゆめれば、ましてかく憎みがたげなめるほどを、 hをろかには見放つまじき心ばへに」など、 i女君の御ありさまの思ふやうなることも語りたまふ。
「げに、いにしへは、いかばかりのことに定まりたまふべきにかと、伝にもほの聞こえし御心のなごりなく静まりたまへるは、おぼろけの御宿世にもあらず、人の御ありさまもここらの御中にすぐれたまへるにこそは」と思ひやられて、「 j数ならぬ人の並びきこゆべきおぼえにもあらぬを、さすがに、立ち出でて、 k人も lめざましと思すことやあらむ。わが身はとてもかくても同じこと、 m生ひ先遠き人の御上もつひにはかの御心にかかるべきにこそあめれ。さりとならば、げにかう何心なきほどにや譲りきこえまし」と思ふ、また、「手を放ちて nうしろめたからむこと。つれづれも慰む方なくては、いかがは明かし暮らすべからむ。何につけてかたまさかの御立寄りもあらむ」など、さまざまに思ひ乱るるに、身のうきこと限りなし。【薄雲】
問1 ★
問2 ★
問3 ★
問4 ★
問5 ★
問6 ★
問7 ★
問7 「源氏物語」の成立した時代・作者の名・作者が仕えた中宮とその父親の名を順に記しなさい。★
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源氏物語「二葉の松 2/4」 さかしき人の〜十二月にもなりぬ。(薄雲) 問題 へ
源氏物語「二葉の松 3/4」 雪、霰がちに〜けはひあはれなり。(薄雲) 問題 へ
源氏物語「二葉の松 4/4」 姫君は、何心も〜きこえたまふ。(薄雲) 問題 へ
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