船の大型化

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フェリーさんふらわあの「大阪〜別府」航路にて、

2023年1月13日に就航した「くれない」に続き、2023年4月14日に「むらさき」も就航し、

先輩にあたる「あいぼり」「こばると」から完全移行しました。



「あいぼり」「こばると」の、全長153.0m、幅25.0m、 9245総トンに対して、

「くれない」「むらさき」は、全長199.9m、幅28.0m、17114総トンですから、

船が大型化したことになります。



【2乗3乗の法則】


小学校の算数では、

2年生で「長さ」について、4年生で「面積」について、5年生で「体積」について学びます。

1辺が1mの立方体から、1辺が2mの立方体に変化したとしましょう。

すると、表面積は、6mから24mに変化します。 4倍になりました。

一方、体積は、1mから8mに変化します。 8倍になりました。

「長さ」が2の1乗倍になるとき、「面積」は2の2乗倍に、「体積」は2の3乗倍になりますが、

このような関係を「2乗3乗の法則」と言います。

大きさの変化に対しては、面積よりも体積の方が変動幅が大きくなります。



【飛行機】


1903年に、アメリカのライト兄弟によって発明された「飛行機」は、

前進移動するときに翼で生じる「揚力」によって浮かびます。

飛行機を大型化すると、その分だけ重くなるので、より大きな揚力が必要ですが、

揚力は面積(2乗)に比例します。・・・なぜ、そうなるかは、一緒に授業で学びましょう!

一方、大型化する際、金属の重さは、その体積(3乗)に比例します。

・・・ということは、飛行機をどんどん大きくしていくと、揚力の増加が自重の増加に追い付かず、

ある大きさを超えると、飛行機は浮かび上がらなくなってしまいます。



“ジャンボジェット”の愛称で親しまれた「ボーイング747」や、

ANAの“ウミガメ”などで用いられた「エアバスA380」の生産が打ち切られ、

エンジン4発機が“絶滅危惧種”となり、これらを凌ぐ大型飛行機が開発されない理由は、

「2乗3乗の法則」が関係しているのかも知れません。



【船】


一方、船が海に浮かんでいられるのは「浮力」のおかげです。

中学1年生の理科で学びますが、浮力は、船が押しのけた海水の体積に比例します。

したがって、理論上、船は、いくら大きくしても沈みません。

貨物輸送において、海運が圧倒的な勢力を誇っているのは、このためでしょうか。



船が海上を進むときの抵抗力は、船底の面積(2乗)に比例します。

(なぜ、そうなるか、一緒に授業で学びましょう!)

一方、船が海上を進むときの推進力は、搭載するエンジンの大きさに比例するので、

体積(3乗)に比例することになります。

・・・ということは、船が大きくなるほど、エンジンへの負荷は小さくなっていくことになります。

これも「2乗3乗の法則」が関係しているのかも知れません。



「くれない」「むらさき」は、

@燃料の一部を、重油からLNGに変えたこと(こちらを参照)

A大型化

によって、環境に対して、よりやさしい船になったのかも知れません。



【199.9m】


なお、船は、大きくすればするほど良いのか・・・というと、そう単純な話ではありません。

「くれない」「むらさき」の全長は「199.9m」であり、200mのギリギリ手前です。

全長200mを超えると「巨大船」扱いになり、

入出港するときに、他の船をすべてストップさせなきゃいけない・・・など、

運行上の色々な制約が出てくるので、巨大化させ過ぎると、業務上の自由度が減ってしまいます。



北海道の苫小牧には、フェリーターミナルが2ヶ所(西港と東港)あります。

商船三井フェリーや太平洋フェリーなど、多くのフェリー会社が西港を使用していますが、

新日本海フェリーだけ東港を使用しています。・・・なぜ?

新日本海フェリーの全長は224mあり、200mを超える巨大船です。

入出港するときに、まわりのフェリーへ迷惑をかけないようにするため、

他のフェリーとは異なる港を使用しているのかも知れません。


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