偏微分と重積分

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【外積(ベクトル積)による面積計算】


連載 面積(#05)】以来、ようやく“曲面の面積計算”に戻ってきました。

もう一度、おさらいしておきましょう!



曲面 z = f( x, y ) 上にある点 P( x, y, z ) = ( x, y, f( x, y ) ) に対して、

x軸方向へ微小距離Δx だけ移動した点を Q( x + Δx, y, z )、

y軸方向へ微小距離Δy だけ移動した点を R( x, y + Δy, z )とし、

点 S を、四角形 PQSR が長方形となるようにとります。

したがって、S の座標は ( x + Δx, y +Δy, z )です。

これら3点 Q、R、S の真上に、曲面 z = f( x, y ) 上の点 Q'、R'、S'' があり、

それらの座標は、それぞれ Q'( x + Δx, y, f( x + Δx, y ) )、R'( x, y + Δy, f( x, y + Δy ) )、

S''( x + Δx, y + Δy, f( x + Δx, y + Δy ) ) です。



長方形 PQSR の辺 QS を少し持ち上げた四角形 PQ'S'R は、PR // S'Q'、PQ' // RS' だから平行四辺形、

さらに、この平行四辺形 PQ'S'R の辺 S'R を少し持ち上げた四角形 PQ'S''R' は、

PQ' // R'S''、PR' // Q'S'' だから平行四辺形です。

この微小平行四辺形 PQ'S''R' の面積を曲面全体に渡って集めると、曲面の表面積になることでしょう。

そこで、次なる課題は「微小平行四辺形 PQ'S''R' の面積」になります。

ここで、ベクトルの外積(ベクトル積)の知識を用いるので、一旦、話がそちらに逸れたのでした。



それらの話を終えた今なら、

ベクトル PQ' とベクトル PR' の外積から、平行四辺形 PQ'S''R' の面積が求まることがお分かりかと思います。



なので、これら2つのベクトルの外積は



となり、平行四辺形 PQ'S''R' の面積 ΔS は、外積の絶対値なので、



です。x, y の増加量に対する面積 ΔS の増加量の割合は



であり、Δx → 0、Δy → 0 のときの極限は、



となります。



【偏微分と重積分】


ここで、fx( x, y ) や fy( x, y ) は「偏微分」と呼ばれるものです。f( x, y ) は、x と y の2変数関数ですが、

片一方の変数を定数とみなし、もう一方で微分する“偏った微分”という意味合いです。

fx( x, y ) は y を定数とみなし x で微分したもの、fy( x, y ) は x を定数とみなし y で微分したものとなります。

さて、上記の式を x と y で積分すると、曲面の面積を求めることができます。



ここで、積分記号(インテグラル)が2つも登場しました。

さらに、x と y で積分すると言うけれど、x と y のどちらから積分するの?・・・という疑問も湧きます。

2変数関数の積分を「重積分」と言います。

高校数学で学ぶ「微分」と「積分」は、1変数関数を対象としたものでした。

「偏微分」と「重積分」は、2変数関数を対象にした微分・積分であり、大学数学の基礎になります。



【球の表面積計算の途中経過】


それでは、今まで学んだことを用いて、球の表面積に取り組んでみましょう!

原点を中心とする半径 a の球の方程式は



で表されます。これを z について解くと



以下では、球の上半分( z ≧ 0 の部分)の表面積を計算して、その結果を2倍することを考えます。



ここで、x で偏微分したもの、y で偏微分したものは、それぞれ



だから、上半球の表面積を Su とすると、



ここから先、円の面積を求めるときは、直交座標から極座標への変換を行いました。→ こちら

ここでも極座標変換を考えますが、2変数関数となると、変数変換も少々大変です。

改めて、次回に説明したいと思います。


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