曲面と2変数関数
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【連載 面積(#04)】では、「曲線の長さ」を、曲線 y = f( x ) を用いて考えました。 次に、次元を1つ増やして、「曲面の面積」を、曲面 z = f( x, y ) を用いて考えていきたいと思います。 1変数関数を扱っていた高校数学から、2変数関数を扱う大学数学への挑戦です。 【XYZ座標空間内の曲面は、2変数関数 z = f( x, y ) で表すことができる。】 「XY座標平面上の曲線が関数 y = f( x ) のグラフとして表せる、というのはイメージできるが、 XYZ座標空間内の曲面が関数 z = f( x, y ) で表せると言われてもイメージしにくい。」 ・・・という方がいらっしゃるかも知れません。 1つの例は、今から扱おうとしている「球」です。 原点( 0, 0, 0 )を中心とする半径 r の球の方程式は ![]() で表されます。これを z について解くと ![]() となります。 ![]() の2つが登場していますが、前者が球の上半分で、後者が球の下半分です。 いずれにしても、z が x と y の2変数による関数として表されており( r は定数)、 ![]() という形になっています。 そもそも、原点( 0, 0, 0 )を中心とする半径 r の球の方程式が ![]() で表されるのは、なぜ?・・・と思われる方がいらっしゃるかも知れません。 中学数学に登場する「三平方の定理」に戻りましょう。 横の長さが x 、縦の長さが y 、高さが z の直方体 ABCD - EFGH をイメージしてください。 ![]() この直方体の対角線である AG の長さは、いくらでしょうか? まず、底面である長方形 ABCD で「三平方の定理」を用いると、 対角線である AC の長さの2乗 AC2 は「 AB2 + BC2 」なので「 x2 + y2 」です。 次に、面 ACGE で「三平方の定理」を用いると、 ![]() AG2 = AC2 + CG2 = x2 + y2 + z2 となるので、 ![]() です。AG = r だとすると、 ![]() となります。A が座標空間の原点( 0, 0, 0 )だとすると、G の座標は( x, y, z )となるので、 この式は、原点から距離 r だけ離れた点を表しており、 そのような点の集合である「球」の方程式を表していることになります。 通常は、このままの形よりも、2乗したもので表すので、 ![]() となります。 【曲面の微小部分は平面とみなせる】 【連載 面積(#04)】で「曲線の長さ」を考えたとき、 「曲線の微小部分は直線とみなしてよく、その微小直線を集めたものが、結果として曲線の長さになる。」 という解釈をしました。今回も同じ考え方で、 「曲面の微小部分を平面とみなし、その微小平面を集めて、曲面全体の面積にしよう!」 という作戦に出ます。 ![]() 曲面 z = f( x, y ) 上にある点 P( x, y, z ) = ( x, y, f( x, y ) ) に対して、 x軸方向へ微小距離Δx だけ移動した点を Q( x + Δx, y, z )、 y軸方向へ微小距離Δy だけ移動した点を R( x, y + Δy, z )とし、 点 S を、四角形 PQSR が長方形となるようにとります。 したがって、S の座標は ( x + Δx, y +Δy, z )です。 これら3点 Q、R、S の真上に、曲面 z = f( x, y ) 上の点 Q'、R'、S'' があり、 それらの座標は、それぞれ Q'( x + Δx, y, f( x + Δx, y ) )、R'( x, y + Δy, f( x, y + Δy ) )、 S''( x + Δx, y + Δy, f( x + Δx, y + Δy ) ) です。 ![]() 長方形 PQSR の辺 QS を少し持ち上げた四角形 PQ'S'R は、PR // S'Q'、PQ' // RS' だから平行四辺形、 さらに、この平行四辺形 PQ'S'R の辺 S'R を少し持ち上げた四角形 PQ'S''R' は、 PQ' // R'S''、PR' // Q'S'' だから平行四辺形です。 この微小平行四辺形 PQ'S''R' の面積を曲面全体に渡って集めると、曲面の表面積になることでしょう。 そこで、次なる課題は「微小平行四辺形 PQ'S''R' の面積」を、どのようにして求めるのか?・・・です。 三角形 PQ'R' の面積を求めて2倍すれば良いわけですが、 三角形 PQ'R' の面積を求めるのが次のテーマというわけです。・・・次回に続く。 |
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