電子伝達系

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解糖系クエン酸回路で生成した NADH・H や FADH 由来の水素は、電子伝達系に移動します。

電子伝達系では、これらの水素を使って、大量のATPが合成されるわけですが、

高校化学で、NADH・H だと3分子のATPが、と2分子のATPが生成すると教わります。

これらの「3」や「2」といった数は、どこから出てくるものなのでしょうか?

最近、この「3」や「2」は「2.5」や「1.5」に置き換えられつつあります。

一体どういうことなのでしょうか?



学ぶ項目を、ステップを細かく分けて一覧にしました。

「この項目は大丈夫だな。」と思うものは飛ばしてもらって結構です。

自分に必要な項目だけを学べば良いでしょう。



【電子伝達系】・・・電子をリレーしく最中、多量のプロトンを移動させます。


(01)
複合体T・・・NADH・H の水素がユビキノンに渡されます。

(02)
4個のプロトン・・・電子が複合体Tを通過するとき、4個のプロトンが運び出されます。

(03)
複合体U・・・FADH の水素がユビキノンに渡されます。

(04)
0個のプロトン・・・電子が複合体Uを通過するとき、プロトンの運び出しはありません。

(05)
複合体V・・・ユビキノンからシトクロムcへ、水素が渡されます。

(06)
4個のプロトン・・・電子が複合体Vを通過するとき、4個のプロトンが運び出されます。

(07)
複合体W・・・シトクロムcから酸素へ、水素が渡されます。

(08)
何個のプロトン?・・・電子が複合体Wを通過するときのプロトンの数が問題です。



【ATP合成酵素】・・・通過するプロトンの数によって、3つの立体構造を取り得ます。


(09)
立体構造@・・・基質(ADP+リン酸)と結合しない構造です。

(10)
立体構造A・・・基質と結合するための態勢が整った構造です。

(11)
立体構造B・・・基質と結合している構造です。

(12)
合成機構@・・・プロトンが通過すると120度回転し、立体構造@から立体構造Aに変わります。

(13)
合成機構A・・・基質に対する酵素の親和性が増し、酵素と基質が結合します。

(14)
合成機構B・・・次のプロトンが通過すると、また120度回転し、立体構造Aから立体構造Bへ。

(15)
合成機構C・・・基質と酵素の親和性が更に高まり、ADPとリン酸からATPになります。

(16)
合成機構D・・・次のプロトンが通過すると、また120度回転し、立体構造Bから立体構造@へ。

(17)
合成機構E・・・基質と酵素の親和性がなくなり、ATPが離れていきます。

(18)
3個のプロトン・・・1分子のATP合成には、3個のプロトンが必要です。

(19)
もう1個のプロトン・・・次の合成のために、合成されたATPが出ていきます。 そのときにも必要。

(20)
合計4個・・・結局、1分子のATPを合成するのに、3+1=4個のプロトンが必要です。



【P/O比】・・・酸素1原子あたりのATP合成数です。


(21)
NADH・H・・・昔は、12÷4=3でした。 今は、10÷4=2.5です。

(22)
FADH・・・昔は、8÷4=2でした。 今は、6÷4=1.5です。



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