酢酸

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「酢」は、人類が作り出した最も古い調味料です。 紀元前5000年頃のバビロニアに記録が残っています。

当時は、お酒を空気に晒すと、自然に酢ができているのを使っていました。

古代から緑色の顔料として使われていた「ベルデグリ」には、酢酸銅が含まれていますが、

この顔料ができたきっかけにも酢酸が関係しています。



学ぶ項目を、ステップを細かく分けて一覧にしました。

「この項目は大丈夫だな。」と思うものは飛ばしてもらって結構です。

自分に必要な項目だけを学べば良いでしょう。

カッコ内は、文部科学省の学習指導要領に従った、目安となる履修学年です。



【酢酸製造法】・・・時代とともに、製造法は変化してきました。


(※)事前に、「アセトアルデヒド」について学んでおくと良いです。→ こちら

(01)
酢酸(高3)・・・食酢の主成分。 炭素数2のカルボン酸です。

(02)
氷酢酸・・・純度の高い酢酸です。 ルネサンス期、酢酸銅などの金属酢酸塩から酢酸を得ていました。

(03)
木酢液・・・木材の乾留により生じる煙を冷却して得られる液体です。

(04)
酢酸カルシウム・・・20世紀初頭までは木酢液から酢酸を得ていました。 その中間物質です。

(05)
1910年代〜・・・(アセチレン)→(アセトアルデヒド)→(酢酸)で製造していました。

(06)
1950年代〜・・・「水俣病」をはじめ、水銀汚染が問題になってきました。

(07)
1960年代〜・・・メタノールから酢酸を製造しています。 大きく分けると3段階。

              (※)以下では、その3段階について、詳しく見ていきます。



【第1段階】・・・メタノールとヨウ化水素を反応させてヨウ化メチルを得ます。


(08)
反応機構@・・・ヨウ化水素由来のプロトンにて、メタノールをプロトン化。

(09)
反応機構A・・・脱水により、カルボカチオンの生成。

(10)
反応機構B・・・ヨウ化物イオンがカルボカチオンを求核攻撃。



【第2段階】・・・ヨウ化メチルと一酸化炭素を反応させてアセチルヨウ素(ヨウ化アセチル)を得ます。


(11)
触媒・・・第2段階には、触媒として第9族元素を用います。

(12)
第9族元素・・・コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)が含まれます。

(13)
BASF・・・世界最大の総合化学メーカーです。 1966年にコバルトを触媒に用いました。

(14)
モンサント・・・アメリカにあったバイオ化学メーカー。 1970年にロジウムを触媒に用いました。

(15)
BPケミカルズ・・・BP(英)の日本支社です。 1996年にイリジウムを触媒に用いました。



【第3段階】・・・アセチルヨウ素(ヨウ化アセチル)の加水分解により酢酸を得ます。


(16)
反応機構@・・・水がカルボニル炭素を求核的に攻撃。

(17)
反応機構A・・・共鳴安定化。

(18)
反応機構B・・・ヨウ化物イオンの脱離。

(19)
反応機構C・・・共鳴安定化。

(20)
反応機構D・・・脱プロトン化。



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