塩素の製法
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二酸化マンガンに塩酸を加えて塩素を生成させるとき、生成した塩素の捕集法に気を配らねばなりません。 水と濃硫酸を用いて2段階のトラップを作るのですが、順序を間違えないようにしないといけません。 学ぶ項目を、ステップを細かく分けて一覧にしました。 「この項目は大丈夫だな。」と思うものは飛ばしてもらって結構です。 自分に必要な項目だけを学べば良いでしょう。 カッコ内は、文部科学省の学習指導要領に従った、目安となる履修学年です。 【塩酸】 (01)ジャービル・ハイヤーン・・・中世イスラム圏の錬金術師です。 硫酸・硝酸・塩酸を発明しました。 (02)塩酸(高1)・・・岩塩(塩化ナトリウム)に硫酸を加えると、塩化水素が発生します。 どうして? (03)ヨハン・グラウバー・・・「世界初の化学工学者」と呼ばれる“近世版のハイヤーン”です。 【マンガン】・・・7族元素は、17族元素と似た挙動を示す部分があります。 (04)マンガンの電子配置・・・ 1s22s22p63s23p63d54s2 。 (05)カール・シェーレ・・・1774年に二酸化マンガンを発見したスウェーデンの化学者です。 (06)ヨハン・ガーン・・・1774年にマンガンを単離したスウェーデンの鉱物学者です。 (07)酸化マンガン(U)・・・ 4s 軌道の電子2個を放出すれば、3d 軌道は半閉殻で安定しています。 (08)緑マンガン鉱・・・酸化マンガン(U)を主成分とする鉱石です。 (09)七酸化二マンガン・・・ 3d 軌道の5個と 4s 軌道の2個、合計7個の電子を放出します。 (10)過マンガン酸・・・七酸化二マンガンの水溶液を数か月放置すると、加水分解が起こります。 (11)過マンガン酸カリウム(高1)・・・過マンガン酸は、遊離酸として不安定なので、塩にして扱います。 (12)二酸化マンガン(高1)・・・ 3d 軌道の2個と 4s 軌道の2個、合計4個の電子を放出します。 (13)d軌道・・・縛りが弱く、ルーズなところがあります。 中途半端な3個の電子は 3d 軌道に収めます。 (14)軟マンガン鉱・・・二酸化マンガンを主成分とする鉱石です。 古くから黒色顔料としての利用あり。 【塩素の実験的製法】・・・シェーレが、二酸化マンガンに塩酸を加えることで発生させました(1774年)。 (15)化学反応式(高2)・・・ MnO2 + 4HCl → MnCl2 + 2H2O + Cl2 。 (16)2種類の酸化数・・・反応後の塩素の酸化数が「0」と「−1」の2種類あります。 どう解釈します? (17)塩素の酸化数・・・一部、増えています。 したがって、塩素は還元剤としてはたらきました。 (18)マンガンの酸化数・・・マンガンは還元されるので、酸化数は減ることになります。 (19)マンガンの半反応式(高1)・・・反応前の「+4」から減る方向だから「+2」になるのでしょう。 (20)電子の由来・・・酸素と塩素が候補に挙がるが、塩素の方が可能性が高いです。 その理由は? (21)イオン反応式(高1)・・・塩素の半反応式も考慮に入れ、電子を消去したら、どんな反応式になる? (22)捕集方法・・・塩素とともに塩化水素も存在しているので、捕集法にも気を使います。 【塩素の工業的製法】・・・イオン交換膜を使うことで達成できるようになりました。 (23)食塩水(中3)・・・塩化ナトリウムが、ナトリウムイオンと塩化物イオンに電離します。 (24)電気分解の陰極(高2)・・・ナトリウムイオンはそのまま。 水素イオンが水素になろうとします。 (25)電気分解の陽極(高2)・・・水酸化物イオンはそのまま。 塩化物イオンが塩素になろうとします。 (26)水溶液・・・ナトリウムイオンと水酸化物イオンが増えてきます。 (27)3つの生成物(高2)・・・食塩水の電気分解では、水素、塩素、水酸化ナトリウムが生じます。 (28)問題発生・・・塩素と水酸化物イオンが共存すると、反応してしまい、塩素が消滅してしまいます。 (29)陽イオン交換膜(高2)・・・ナトリウムイオンは通過して、塩化物イオンは通過しません。 なぜ? (※)「塩酸」に酸化力はありませんが、「塩素」には酸化力があります。 → こちら 「鉱産資源の探求」に戻る |
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