相続


預金の不正引出しについて


Q  母が死亡し、父は先に死亡しているため、法定相続人は私と妹の2人だけです。
 母の遺産は預貯金のみなのですが、母から聞いていた父からの相続分の残額や母自身の年金額から見て、母の施設入所費用等を勘案してもその残額が少なすぎるように思われます。
 母の生前、その預貯金を管理していたのは妹なのですが、妹は銀行ごとの預貯金の残額を示すのみで通帳等の資料は示さず、明解な説明もありません。
 どのように対処すべきでしょうか。
A  妹さんが通帳のコピーの開示等に応じなくても、あなたも相続人である以上、若干の費用はかかるにしても銀行に戸籍全部事項証明書等を提示して取引履歴を取得することができます。
 これをチェックし、施設入所費用等の承認できる費用に充てたとみられる項目以外の出金について妹さんに確認することになります。

 それで出金の不審点が解消される、ないしは、妹さんが出金の不当性を認めて、それを前提として遺産分割協議に入ることができるなら問題はありません。
 しかし、不審点の解消もされず、様々な弁解をして不当性も承認しない場合には、原則として、家庭裁判所での遺産分割調停等の手続では問題解決が図れず、これとは別に不当利得返還請求等を理由にして地方裁判所に訴訟を提起する必要が生じます。
 これは、大雑把に言えば、お母様の生前に失われてしまった金銭は、死亡時の財産を分割するのが建前の遺産分割の対象となりえないためです。

 このため、裁判所での手続が2種類必要になり、かつ、妹さんによる不当な出金が長期間にわたる場合には、事案によっては数百項目にわたる出金を正当なものと不当なものとに区分する必要が生じ、弁護士に依頼するにしても、以下のようなエクセル等で作成された表に、経緯を知るあなたが取引履歴を参照しながら入力し、弁護士がこれを確認し仕上げるといったような共同作業が必要になります。
 このような労力を掛けてでも預金引出の不当性を追求する必要があるとお考えなら、弁護士に相談することをおすすめします。



 

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