日本の統一地方選挙で最も注目したのは、当然ながら東京都知事選であった。結果は全く予想通りに「石原慎太郎」の圧勝に終わった。
バブル崩壊後の経済不況の中で、東京都も他の地方都市同様大きな財政赤字に陥っており、改善の糸口は全く見つかっていないという状況下にある。このような時期に求められる人物像は“強いリーダーシップ”、“実行力”の人であるが、前回の選挙で「青島幸雄」に“実行力”、“清潔さ”を期待した都民は、結果として同氏に期待を裏切られたという実感から、“強いリーダーシップ”の期待がもてる石原氏へ走ったということであろう。小生も、知名度の高い立候補者のなかでもリーダーシップと実行力と言う観点では、石原氏の右に出れる人は見当たらないという感触が強かった。
自民党が担ぎ出した、元国連事務次長で国際的な場面でも活躍し知名度も高かった「明石康」氏の4位という結果には驚かされた。自民党が好まれなかったのか、明石氏自身に期待感が薄かったのか、小生には理解し難い現象であった。
インドネシアでも、6月に国会選挙を控えて準備中である。スハルトの独裁から開放されて、しかも独立後初めての選挙らしい選挙(公正に行おうとしている観点から)が行われるということで、現在選挙民登録が進行中である。手を挙げている政党も60以上の数に及び大きな混乱が予想されるなか、その時に向かって着々と時は刻まれている。
経済不安のなかで、政情も不安定化し、全土で小さな暴動が続発している現状であるが、選挙時期には益々大きな混乱が発生するという大方の予想がある。現地日本人学校は1ヶ月間の休校を発表するなど、早々と手を打っているし、経済活動の停滞も避けられないとの判断がなされている。昨年5月のスハルトを退陣に追い込んだ暴動と比較してどうか、いまは誰も正確には予測しきれないと言う状況である。
小生の予想は、「選挙前は大した混乱はないだろう。選挙結果次第で、結果に満足しない連中が騒ぎ出し、選挙後からその後11月に予定されている大統領選出まで、大きな混乱が発生する可能性を秘めている」というものであるが、いずれにしろ、この国が早く安定し経済も回復することを祈らずにはおられない。
<1999年4月14日記>
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