道院開設の動機


社会人になるのと同時に始めた少林寺拳法は、暮らしの中で物事を正しく判断する力や、自らの持ち味を活かしながら良好な人間関係を築く生き方、そして苦しくても逃げない強さを、知らず知らずのうちに身につけさせてくれました。

このように自ら実感した少林寺拳法の素晴らしさを、より多くの方に知っていただきたいとの思いから、定年退職を機に豊橋芦原道院を開設しました。

 

私が勤めていた業界では開発から出荷までの工程に携わっている総ての人の質が製品の品質を決める要因』と捉え、 『品質管理』は『人質管理』 と言われていました。

『品質は工程で造り込め』とか『次工程はお客様』などと標語化され、責任を持って作業を行い、次の工程に喜ばれる形で仕事を渡すことを徹底するよう教育がなされ、 全体を見る眼・事実を見る眼・他人の立場に立った眼・やり方を反省する眼・先入観/利害/打算のない眼・など少林寺拳法と相通ずる捉え方(自己確立・自他共楽)が求められていました。

 

しかし「品質は良くて当たり前」と言われる環境で気を張り続けると心が疲弊します。そんな時に、心をリフレッシュさせてくれたのが少林寺拳法でした。 稽古に熱中し、空っぽになった頭で師匠の法話を聴けば、帰る時には心が穏やかになりやる気エネルギ−が補充されます。お陰様で逃げずに前向きに取り組むことや、上手に息抜きをする要領が身に付き、うつ病にもならずに定年を迎えることができたのだと思います。

今はちびっ子拳士たちから元気をもらい、健康で穏やかな日々を過ごしています。(^0^)

 

 

人は誰しも、程度の差こそあれ、強さ・優しさ・美しさ・弱さ・狡さ・汚さといった多様な面を持って生まれてきます。 そのため、「良心に基づいて行動しよう」とする心があっても、「少しくらい手を抜いてもいいだろう」という心が勝ってしまうことがあります。この「ちょっとぐらい」という気持ちが頭をもたげそうになったとき、それを抑え込む逞しい心を、稽古を通じて養っていきたいと考えます。

 

「長所をさらに磨く努力と、邪魔になるものを削ぎ落とす努力。」 この二つを継続できる力を身につければ、人は誰でも変化し、成長し続けられると信じています。 まだまだ未熟ではありますが、少林寺拳法という「調和」を大切にする環境の中で、眠っている善玉DNAのスイッチを互いにONにし合い、会社や地域で歓迎されるスキルを持った、どこか爽やかな香りのする仲間が増えることを願っています。

 

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