道院開設の動機


 

社会人になるのと同時に始めた少林寺拳法は、実社会において物事を正しく判断する力、自らを活かしながら対人関係を良好に保つ生き方、 苦しくても逃げない生き方を、知らずしらずのうちに身につけさせてくれました。
自分自身で実感したこの少林寺拳法の良さを、更に多くの方たちに知って頂きたくて、 定年退職と同時に豊橋芦原道院を開設しました。

 

 

 


長い会社勤めを振り返れば業務を円滑に進める為、己のそして関係部署のスキル向上を追い求める日々でした。
☆計画や準備、段取りを手際よく行う。
☆対応力に優れ関係者から信頼が得られる。
☆自分の仕事に責任を持ち最後まで粘り強くやり遂げる。
☆指示、催促を受けずとも自発的、意欲的に仕事に取組む。
☆組織の一員として皆と協力し他からも協力を得ることができる。
☆上司の仕事の代行、後輩の指導ができる。

などなど企画力、判断力、行動力、調和力、を伴った人間であることが要求されました。

 

私が働いていた業界では開発から出荷までの工程に携わっている『総ての人の質が製品の品質を決める要因』と捉え、『品質管理』は『人質管理』からと言われていました。
『品質は工程で造り込め』とか『次工程はお客様』などと標語化され、責任を持って作業を行い、次の工程に喜ばれる形で仕事を渡すことを徹底するよう教育がなされ、 全体を見る眼・事実を見る眼・他人の立場に立った眼・やり方を反省する眼・先入観/利害/打算のない眼・など少林寺拳法と相通ずる物事の捉え方が要求されていました。

 

しかし、出荷する部品の「品質は良くて当たり前」と言われる世界で気を張り詰めて仕事をしていると前向きなエネルギ-が次第に減少し心がしぼみます。 そんな時に気持ちを癒してくれ、リフレッシュさせてくれたのが少林寺拳法でした。 拳技の稽古に熱中して空っぽになった頭で師匠の法話を聞けば、帰る時には心にエネルギ−が補充され心が軽くなっています。
お陰様で、逃げることなく楽しんで前向きな気持ちで取組むこと、上手に息抜きをすることを心掛けることができ、うつ病にもならずに定年を迎えられたのだと思います。
職場を離れた現在は、ちびっ子拳士達からエネルギ−をもらって送る、健康で平和な日常にホッとしていますが ・ ・ ・ ・ (^0^)

 











 

仕事に限らず、社会生活の中では知識を所有しているだけでなく、『時・処・位』を的確に捉え、持っている知識や経験、情報を正しく活用することが求められます。

生まれたときには同じスタ−トラインに居たはずなのに、歳月と供に知識や経験を活用するスキルが違ってしまうのは何故なのでしょうか。
『自分の行為が他人に喜びを与えたとき幸せを感じるDNA』 を誰もが持っていると言われていますが、このDNAのスイッチをONにさせる事が一つの鍵だと思います。

これまでに自ら行動を起こしたことで、自分だけでなく関係する人たちにも喜んでもらえた体験を、誰もが大なり小なりお持ちだと思います。
日常生活の中でこのDNAのスイッチをONにする体験の回数を積極的に増やすことで人柄が錬られ、求められているスキルが身に付いて行きます。
もちろん、個人の努力が大前提に成りますが、個人を取り巻く環境の如何に大きく影響されます。
私の場合は 『半ばは自己の幸せを 半ばは他人の幸せを』 と言う基本理念を持つ少林寺拳法に度々このスイッチをONにさせられ、挫折や失敗を繰り返すたびに師匠や仲間に励まされ、思いやる気持ちや協調性が多少は向上してきたのだと思います。

 

人は個人差こそあれ誰でも、強さ、優しさ、美しさ、弱さ、狡さ、汚さ、を持って生まれてきています。 従って「良心に基づいた行動を取ろうとする心」に「ちょっとぐらい手を抜いても良いだろうと思ってしまう心」が勝ってしまう事が時として起こります。
この「ちょっとぐらい」が頭をもたげそうになった時に、それを封じ込める逞しい心を稽古で養ってゆきたいと思います。

 

長所を更に磨く努力、邪魔になる余計な物を削ぎ落とす努力、この二つの努力を継続させる能力を持つことで、誰でも変化し成長し続けられると信じます。

 

まだまだ若輩者ではありますが、少林寺拳法という調和を大切にする環境の中で、まだ眠っている善玉DNAのスイッチをONにする訓練を互いに行い合って、 会社・地域で歓迎されるスキルを持った『何処となく良い香りのする爽やかな仲間』が増えることを望みます。

 

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